「朝日新聞 日本型組織の崩壊」朝日新聞記者有志

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朝日新聞 日本型組織の崩壊 (文春新書)

【私の評価】★★★☆☆(75点)


■朝日新聞記者有志という
 不思議なグループによる
 朝日新聞内の実情報告です。


 驚くべきことは、朝日は最近まで
 平和運動活動家などからの情報は
 そのまま記事にしていたらしい。


 記事の真偽を確認する裏取りは
 記者の基本・常識と思っていましたが、
 朝日新聞では裏取りしないらしいのです。


 慰安婦問題の根拠になった
 吉田清治氏の証言も
 裏取りしていなかった。
 (検証したら偽証だった)


 吉田調書の誤報(原発作業員が
 吉田昌郎所長の命令に反し、
 原発から撤退していたとの誤報)も
 裏取りしていなかったのです。


・先の大戦に関するいわゆる"平和報道"の際、
 研究者や平和運動活動家から提供される資料の
 裏取りなどはせずに記事にするのは当たり前
 だった(p63)


■驚くべきことは、新入社員は
 他社の取材妨害や写真の捏造など
 "図太さ"を教育されること。


 さらに、吉田調書の原発退避誤報は、
 意図的に捏造したのではなく
 エッジを利かせた程度の認識だった。


 つまり、この程度のエッジ、
 メリハリ加工が朝日社内では
 行われているということなのです。


・吉田調書報道について・・
 彼らは「意図的に記事を加工した」
 という自覚さえ持っていなかった。
 許される範囲でエッジを利かせた、
 記事にいくばくかの大袈裟なメリハリをつけた・・
 その程度の認識だったのだ(p96)


■本書では、こうした問題は、
 朝日新聞の人事や官僚的な構造に
 原因があるとしています。


 確かに朝日新聞の文化というか、
 組織に浸透しているもののように
 感じました。


 朝日新聞記者有志、
 良い本をありがとうございました。


───────────────


■この本で私が共感したところは次のとおりです。


・古手の記者からは、自分の肉親の写真を
 判別不能なピンボケに加工して被害者写真
 として代用・・アルバムを何冊も遺族から
 借りっ放しにして他社が写真を掲載できない
 よう妨害したことなど、さまざまな武勇伝
 を聞かされ、図太さを身に着けるよう
 迫られる・・(p29)


・木村英昭記者は・・
 吉田調書を政府関係者から入手してきたのは木村だ・・
 菅直人首相と東京電力が対立する構図の中で、
 木村のスタンスは明らかに菅首相側に立っていた・・
 「吉田調書」の入手先についても、朝日社内では
 「菅直人ではないか」との憶測が絶えない(p83)


・吉田調書問題については・・
 「担当次長(デスク)は記事掲載翌日の21日、
 原発取材経験のある(特報)部員からの
 指摘を受けて、現場にいた所員に取材する
 必要があると考え、取材記者たちに指示した・・
 なんと取材班は、記事が出た後に、
 あわてて現場の取材をしようと
 していたのだった。あたかも
 アリバイ作りをするかのように(p101)


・「慰安婦問題取材班」・・・
 今回の取材班の当初の目的は、
 吉田証言の信憑性について結論を
 出すことではなかった。
 あくまで従軍慰安婦の「強制性」を検証し、
 「これまでの朝日の報道が間違っていなかった」
 ことを証明するためのチームだった(p138)


・ところが実際に検証作業を進めてみると、
 やはり「吉田調書」がネックとなった。
 朝日の正当性をいくら説いても、
 吉田証言を虚偽だとして訂正すれば
 「捏造」と非難される(p139)


・12年、若宮啓文主筆(当時)が女性秘書を
 伴って中国に行き、往復のビジネスクラス
 航空券など巨額の経費を会社に不正請求・・
 若宮主筆は、ときに「竹島を韓国に」などと
 過激なコラムで物議を醸したことはさておき、
 取材力と筆力は群を抜き、次期社長候補の
 呼び声も高い人物だった(p195)


・2013年10月16日に発売された『週刊朝日』
 (10月26日号)に掲載された佐野眞一氏の連載
 『ハシシタ・奴の本性』が、差別的な表現に
 満ちているとして橋下大阪市長から猛抗議を
 受けた。橋下市長の怒りはもっともだった。
 記事には出生や血脈によって橋下市長を
 否定するかのうような部分が多数あった(p201)


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■目次

はじめに 朝日新聞社の病巣は何か?
第1章 内側から見た朝日新聞
第2章 吉田調書事件の深層
第3章 慰安婦問題 消された「謝罪」
第4章 権力闘争とモラルハザード
第5章 企業研究 朝日新聞は生き残れるか?



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