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「「原発ゼロ」の決意: 元総理が語る福島原発事故の真実 」菅直人

2024/03/09公開 更新
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「「原発ゼロ」の決意: 元総理が語る福島原発事故の真実 」菅直人


【私の評価】★★★☆☆(70点)


要約と感想レビュー

菅直人は天才なのか

私にとって菅直人氏は、難しい研究対象です。単純に頭が悪いのか、それとも天才であることを隠して活動している活動家なのか。いくら調べても、菅直人氏がどちらなのかわからないのです。私は一つの仮説を立てました。菅直人氏は基本的に頭が悪いので、それを共産勢力(ロシア、中国、朝鮮、左翼を含む)に利用され、コントロールされているというものです。この本で検証していきましょう。


まず菅直人氏は、「東日本大震災で外部電源の鉄塔が倒れ、また変電所も壊れた」ことを指摘して、原発も壊れた可能性を指摘しています。外部電源が断たれたことは事実で、原発設備が壊れたのは推測です。どうしてこの2つがつながるのか。外部電源が断たれたことが炉心溶融事故の原因ですから、外部電源は2系統とした国の指針が十分なのか、なぜ変電所は1か所だけでOKだったのか、と問題の核心を指摘するのならわかります。


ところが、なぜか福島第一の設備も壊れているかもしれないという推測に飛んでいくのです。この発想のロジックがわかりません。仮に原子力の危険性を強調したいのなら、放射線の風評被害や原子力の脆弱性などのほうが説得力があるはずなのにです。こうした合理性と客観性と論理性のなさが、私を混乱させるのです。


地震で、複数来ている外部送電の鉄塔も全部倒れ、また変電所も壊れていますので、原発の中に張りめぐさられた複雑な配管が、どこかでずれたり漏れたりしていた可能性は当然あります(p28)

菅直人氏が再生可能エネルギーを導入する

菅直人氏は、再生可能エネルギーを導入したのは自分だと自慢しています。野党時代、東電の社長から、太陽光や風力は不安定で導入する設備投資も高額だし、それをカバーする発電所は維持しなくてはならないのでコストが上がるだけで非現実的と言われたと批判的に書いています。


さらに、再エネ導入したドイツで電気料金が高くなっていることについて、ドイツは負担が若干増えたが再エネの割合が23%まで上がって大成功と表現し、日本は1%なのでこれからです、と言っています。実はドイツでは再エネ賦課金や環境関係の税金で家庭用の電気料金が2倍になっているのです。


つまり、不安定で高額な再エネを導入すれば、ドイツのように電気料金が上がるのは菅直人氏は理解しているのです。私には菅直人氏が再エネ導入によって日本の電気料金を上げて、国際競争力を下げようと画策しているように見えるのです。実際、ドイツは家庭用だけに再エネ賦課金を課していますが、日本では再エネ賦課金は家庭用、工業用同じように課しているので、工場の生産コストは日本だけ上昇しているのです。


私の仮説を前提とすれば、共産勢力が日本の電気料金を高くして日本を弱くするため、「原発を止めて、再エネを導入すればいい」と菅直人氏に吹き込んで、菅直人氏は頭が悪いので、「それはいい!」と動いたのではないかというストーリーになります。


私も原子力が日本に必ず必要だとは思っていません。ただ、原子力を辞めれば、これだけ電気料金が上がります、ということを告知して国民の理解を得てほしいということです。いくら総理大臣とはいえ個人の判断で原子力が運転できないように画策して、日本の燃料輸入量を増やすということが可能となったことに恐ろしさを感じるのです。


ドイツの例を挙げて、電気料金が高くなると言う人がいますが、それは、ドイツは再生可能エネルギーの割合を電力全体の23%まで上げて大成功したことによって、逆にその負担が若干増えた部分がありますが、まだ日本は1%からのスタート、これからです(p35)

現地に行ってベント準備作業を止める

菅直人氏が頭が悪いのではないかという仮説は、東日本大震災の翌日にヘリで福島第一に菅直人氏自身が行っていることでも強化されます。緊急時は「総司令官はここに在り」と言われるように、情報や報告を一元化することが重要とされています。確かに情報が少なかったのは事実ですが、現地に行かなくても、電話でもいいはずです。


実際、電源のない中でベント作業の準備していた現地作業が、菅直人氏が来るということで中断しています。その後1日もたたずに福島第一発電所1号機が水蒸気爆発するのです。菅直人氏が行っても行かなくても何も変わらなかったかもしれません。ただ、菅直人氏は、今になっても「やっぱり行ってよかったですよ」と言っているのです。人は自分の失敗を認めるのは難しいことですが、総理大臣経験者としては反省する姿勢のない人だとわかります。


(3・11の)翌朝、ヘリコプターで福島第一へ行ったわけです。それで、邪魔になったとかいろいろ言われる・・情報を持ってくるように言っても誰も持ってこないようだったら、情報があるところに自分から行くしかない。そう思ったから、「じゃあ、明日の朝行こう」ってヘリコプターで行った。やっぱり行ってよかったですよ(p96)

東電撤退問題

菅直人氏は、東電が撤退するという情報を聞いて、激怒して東京電力に乗り込んで「日本がつぶれるかもしれない時に撤退はあり得ない。会長、社長も覚悟を決めてくれ。60歳以上が現地へ行けばいい。自分はその覚悟でやる。撤退はあり得ない。撤退したら、東電は必ずつぶれる」と言っています。


言っていること自体は正論だと思います。ただ、私が疑問に思うのは、私なら「日本人なら撤退しないだろう」と思っている部分があるのです。ところが菅直人氏は、「撤退するのはふつう」と考えているのです。つまり、自分なら撤退するから、東電が撤退を検討していると聞いて、びっくりして東電に行って上記のように話したのです。


普通の人なら「日本のために頑張ってくれ。それを政府は支援する」と言うと思うのですが、「東電は必ずつぶれる」と言っているということは、自分なら「菅直人は必ずつぶれる」と脅されれば従うと考えていたということだと私は推測せざるをえないのです。


東電撤退問題・・ふつうなら逃げます。わりといまの若い人は優しいですから、やっぱりこれは危ないよと思うのがふつうなんです。私もとびきり右翼でもなければ、とびきりの左翼でもないふつうの人間ですから、逃げてもいいと思います。しかし、原発事故というものが、どういうことを意味しているのか、私なりにきちっとした確信を持っていましたから、ここは逃げたって逃げられないと考えた(p89)

菅直人氏の発言には裏がある

菅直人氏は、自分が首相の時に、再稼働の条件を厳しくして、原子力を停止させ、原発がなくてもなんとかなるということを証明したと書いています。日本の電力会社は原子力がすべて止まっても、地震が起きても、事故が起きても大丈夫なように予備の発電設備を持っていました。だから、原子力を止めてもなんとかなるのは関係者なら誰でも知っていることです。


問題は原子力をすべて止めたことで、当時年間3兆円の燃料費が増えたことでしょう。消費税1.5%増税相当の電気料金が上がったのです。そのことは一言も言わず、菅直人氏は原子力がなくても問題ない。再エネを導入しようというのです。再エネも燃料価格しだいですが、賦課金が3兆円つまり消費税1.5%相当まで増えたことがありました。菅直人氏は、原子力停止と再エネ賦課金で消費税3%増税に相当する日本国民負担を増やしたのです。


また、菅直人氏は日ロ間の海底ケーブルを皮切りに、将来はモンゴル、中国、朝鮮半島を含む東アジア全体のスマートグリッドにつなげることも夢ではないと書いています。私の予想となりますが、菅直人氏が誰からか吹き込まれているのでしょう。ヨーロッパがロシアのガスに頼って困ってしまったように、日本に中国や韓国に頼らざるを得ない状況を作ろうとしているのです。


真の問題は、菅直人氏が自分が主張していることの結果、日本の富、競争力、安全が脅かされるということを理解していないことでしょう。仮に理解しているとすれば、日本を弱体化し革命を目指している素晴らしい天才的な活動家である可能性があります。


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この本で私が共感した名言

・アメリカは9・11の後、そういったテロによる電源喪失の備えを相当しています・・電源喪失という事態が起きた時にどうするか、いろいろな対処方法を考えています・・日本ではそんなことはありえないのだから、そんなことまで気にする必要はないと、結局一顧だにしませんでした(p42)


・浜岡原発でも、炉の中にはまだ核燃料が入っていて、たんに運転を止めているだけ・・全電源が喪失された状態が続けば、福島第一と同じような状態になります(p71)


▼引用は、この本からです
「「原発ゼロ」の決意: 元総理が語る福島原発事故の真実 」菅直人


【私の評価】★★★☆☆(70点)


目次

第1章 脱原発の決意(
第2章 3・11の首相として語ることが、私の天命
第3章 日本の病根を照らし出す―「国会事故調査委員会議事録」より



著者経歴

菅直人(かん なおと)・・・1946年、山口県宇部市生まれ。第94代内閣総理大臣。1970年、東京工業大学理学部応用物理学科卒業。衆議院議員(11期目)を務める。弁理士。1980年、衆議院議員選挙に初当選。社会民主連合副代表、新党さきがけ政調会長などを経て、1996年、第一次橋本内閣の厚生大臣を務め、薬害エイズ問題を徹底究明、被害者に謝罪。同年民主党を結成し、共同代表に。1998年に新たに結成された民主党の代表、政調会長、幹事長を歴任。鳩山内閣では副総理、国家戦略担当大臣、財務大臣を務めた


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