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「外科医の腕は何で決まるのか がん手術のすべてがわかる」羽鳥 隆

2017/01/06公開 更新
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外科医の腕は何で決まるのか がん手術のすべてがわかる (幻冬舎新書)


【私の評価】★★★☆☆(78点)


要約と感想レビュー

 スティーブ・ジョブズの死因となったすい臓がんの専門医である羽鳥さんの一冊です。すい臓がんは5年生存率が30%程度と治りにくい「がん」です。たとえ手術したとしても合併症が起こりやすく、非常にやっかいな難病といえるのでしょう。


 この本では、合併症がどれくらの確率で起きるかは、脾頭十二指腸切除で40~50%、尾側膵切除で30~50%と書かれています。著者はそのためか、手術をするのかどうか決めるのは患者であると割り切っています。医師ができることは、選択肢とその予想される結果をデータで示すことだけなのです。何もしなければ5年生存率が〇%。手術をすれば5年生存率が△%で、亡くなる可能性は◎%、合併症となる可能性は×%。あなたはどれを選びますか、という感じでしょうか。


・治療を受けるのはあくまでも患者さんご自身であり、仮に100%治る治療法があっても、ご自身の信念や生活環境から、それを選択しないという権利も患者さんにはあります(p82)


 「がん」の真実と正面から向き合わない人もいますが、著者は向き合うタイプのようです。がん検診を受けていないと公言しているのも率直な先生だと思いました。手術を受けるにしても、医師の話をよく理解したうえで決断をするべきと断言しており、少しでも疑問があるようなら、別の病院でセカンドオピニオンを聞くことを推奨しています。


 担当医が怒らないか忖度したり、心配している患者さんが多いようですが、患者はお客様です。医者から情報をもらって、自分で判断すべきなのでしょう。羽鳥さん、良い本をありがとうございました。


この本で私が共感した名言

・患部の周りを広く切除することで、がんの再発や転移を防げると思っていたからです。ところが、がんの周辺の臓器や組織を必要以上に切除してしまうと、患者さんのQOLが著しく低下してしまいます(p26)


・がんの程度が少し進んでしまった人の場合は、手術前に抗がん剤治療を行い・・効果があるかどうかのデータは完全にそろっていないとはいえ、それでもやる価値はあり、順調に回復したケースもたくさんあります(p110)


・私自身は、医者なのに、がん検診を受けたことがありません・・・検査嫌いであるうえに、検診を受ける時間がなかなか取れないのと、与えられた天命を精一全うしよう、と思っているからです(p126)


外科医の腕は何で決まるのか がん手術のすべてがわかる (幻冬舎新書)
羽鳥 隆
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【私の評価】★★★☆☆(78点)


目次

第1章 腕のいい外科医は何が見えているのか
第2章 腕のいい、悪いは何で決まるのか
第3章 なぜ膵臓がんは医者の腕が試されるのか
第4章 医療に百パーセントを求めてはいけない
第5章 治療をしないとがんは確実に進行する
第6章 がんも「病は気から」
第7章 がん治療と外科医はこれからどうなるか


著者経歴

 羽鳥隆(はとり たかし)・・・肝胆膵外科医。国際医療福祉大学三田病院教授。医学博士。1986年群馬大学医学部卒業、東京女子医科大学消化器外科入局。その後、東京女子医科大学消化器外科准教授を経て、現職


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