「八甲田山死の彷徨」新田 次郎

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八甲田山死の彷徨 (新潮文庫)

【私の評価】★★★★☆(83点)


■「天はわれ等を見放した!」で有名な
 199名の死者を出した八甲田山雪中行軍を
 描いた小説です。


 弘前から出発した徳島大尉の小隊は
 八甲田雪中行軍を成功させ、
 一方、青森から出発した神田大尉中隊は
 199名の死者を出しています。


■当時は、ロシアとの戦争を控えながらも、
 まだ寒気に対する装備が十分ではなかったため、
 寒気の中での軍事行動の実験として
 八甲田山雪中行軍が行われました。


 同時期に行われた雪中行軍ですが、
 成功と失敗の差は
 どこにあったのでしょうか。


■まず、徳島大尉は、上司に対し、
 雪中行軍の危険性を指摘し、
 「すべてをおまかせ願いたいのです」と
 上からの口出しに釘を刺しています。


 しかし、一方の神田大尉は、
 上司である山田少佐の機嫌を伺いながらの
 計画立案になってしまいました。


 そのために、案内人を同伴できず、
 出発までの時間も少なく、
 天候悪化による出発延期もできず、
 不幸な結果となったのです。


■私は、上司の機嫌を伺う優柔不断な
 神田大尉を否定できません。


 私の経験でも、山田少佐のように
 まったく部下の意見を聞かない人が
 実際に存在します


 そして、そうした人に限って、
 自分の考えに自信満々で、
 それを否定されるのをとても嫌がるのです。


■神田大尉は、心に不安を持ちながらも、
 上司という権威の前に
 自分のやりたいことができませんでした。


 神田大尉は、「天はわれ等を見放した!」と叫びましたが、
 山田少佐と一緒に仕事をすることとなり、
 山田少佐に対して意見できなかった時点で、
 運命は決まっていたのでしょう。


■「明日は我が身」という言葉が響く、怖い小説でした。
 実際にありそうなのが、本当に怖いので、
 ★4つとします。


─────────────────

■この本で私が共感したところは次のとおりです。


  ・当時の将校の履歴を見ると
   ほとんどが士族又は華族出身
であり、
   平民で将校になれたものは非常に珍しかった(p15)


  ・「軍隊の監獄は普通の監獄より恐ろしいところだそうだ」
   誰かがそんなことをいうと、他の者は、そこからみんな
   揃ってその監獄へ行くかのように震えるのだった(p210)


▼引用は、この本からです。

八甲田山死の彷徨 (新潮文庫)
新田 次郎
新潮社
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おすすめ度の平均: 4.5
5 超迫力の描写
5 遭難とは
5 研究と訓練なのにこうなっちゃうの?
4 一気に読める冒険もの
5 雪の恐さを知った

【私の評価】★★★★☆(83点)



■著者紹介・・・新田 次郎(にった じろう)

 1912年生まれ。1980年没。
 中央気象台に就職し、富士山測候所勤務等を経験
 56年「強力伝」で直木賞を受賞。
 「縦走路」「孤高の人」「武田信玄」など著書多数。


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