「オシムの言葉」木村元彦

オシムの言葉 (集英社文庫 き 10-3)

【私の評価】★★★★★(93点)


■著者紹介・・・木村 元彦(きむら ゆきひこ)

 1962年生まれ。大学卒業後、独立映画製作会社
 「疾走プロダクションを経て独立。
 ノンフィクションライター、ビデオ・ジャーナリスト。


●2003年、サッカーJリーグのジェフユナイテッド市原の監督として
 イビツァ・オシムが就任しました。

 そして就任してすぐに、オシムは、激烈なまでに走りを重点にした
 練習メニューを選手に課しました。

 それまで、ソフトな監督に率いられていた選手には
 不満がたまっていきます。

 ・意図は分かる。監督の意図は分かるが、吐き気がするほど苦しい練習を
  課す相手にすぐに素直になれるほど、人間は素直な動物ではない。
  (p16)


●毎日、午前、午後2時間ずつの激しい練習。
 そして、休日さえも計画されず、前日に告げられる。

 選手からは、
 「ここは部活動かよ!」「ナンダヨ、この監督」「もう、勘弁してくれ」
 という声さえ上がります。

 ・選手からは・・・不満が起きた。しかし、オシムは、
  「君たちはプロだ。休むのはオフになってから、あるいは引退してからで
  十分だ。シーズン中はサッカー以外のことなど考えるな」と取り合わない。
  (p14)


●ところが、シーズンが始まり、試合をしてみると、
 入替戦の常連であるジェフユナイテッド市原は勝利を重ねていきます。

 俺たちは強くなっているのではないか・・・、
 だんだんと選手たちに自信が広がっていきました。

 2003年は1stステージ3位、2ndステージ2位となり、
 それ以降、優勝争いの常連となっています。

 ・DFは集中できずに、ピッチで寝ているのなら、ホテルに帰って
  寝ていてくれ!・・・もし、負けるようなことがあっても、自分たち
  のできることをすることで我々のプレーを見せよう。やることをやって
  負けるのなら、胸を張って帰れるはずだ(p182)


●今では選手の信頼を勝ち得ているオシム監督ですが、
 その信念に満ちた厳しい指導に、当初は強い反発がありました。

 はじめからオシムは、選手の反発を予想していたし、
 折込済みだったわけです。

 厳しいが、各選手の将来まで考え、平等にチャンスを与えるオシムに、
 日本代表監督のオフォーが来るのもうなずけるでしょう。


●オシム監督の偉大さと
 リーダーとは何かというものを考えさせられる一冊でした。
 文句なく★5つとしました。


■この本で私が共感したところは次のとおりです。


 ・レーニンは『勉強して、勉強して、勉強しろ』と言った。
  私は、選手に『走って、走って、走れ』と言っている(p27)


 ・作り上げることより崩すことは簡単なんです。家を建てるのは難しい
  が、崩すのは一瞬。サッカーもそうでしょう。攻撃的ないいサッカーを
  しようとする。・・・ただ、それを壊すのは簡単です。戦術的な
  ファウルをしたり、引いて守ったりして、相手のいいプレーをブチ壊せ
  ばいい。つまり攻めることは難しい。でもね、作り上げることのほうが
  いい人生でしょう。そう思いませんか?(p201)


▼引用は、この本からです。

オシムの言葉 (集英社文庫 き 10-3)
木村 元彦
集英社
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おすすめ度の平均: 4.5
5 これは語録本ではない。
5 真摯な姿に・・・
4 オシム氏の凄さと同時にスポーツが戦争のプロパガンダに利用される悲しみ
4 オシムは本当に優秀でいい監督
5 書き手と対象の幸福な出会い

【私の評価】★★★★★(93点)


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