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「変わり続ける―人生のリポジショニング戦略」出井 伸之

本のソムリエ 2022/06/25メルマガ登録
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「変わり続ける―人生のリポジショニング戦略」出井 伸之


【私の評価】★★★★☆(81点)


要約と感想レビュー

 ソニーの元社長である出井 伸之さんの訃報を知り、出井さんとはどういう人間だったのかと思い手にした一冊です。


 出井さんは職場で自分の考えや職場の不都合な真実をそのまま口に出してきたため、常に上司とぶつかり、何度も左遷されたという。とにかく新入社員のときから、「言うべきことは言う」という日本人らしからぬ人間であり、その姿勢はついに変わらなかったようです。


 武勇伝としては、新入社員のときに2年目から2年間留学したいと主張して、会社に認めさせたのに1.5年で卒業できず中退して帰ってきたという事件も起こしています。変わり者だったのです。


・上司と衝突することも、そのことで配置転換になることも、長い目で見れば、失敗ではないのだ(p67)


 そして2つ目の特徴は、出井さんの戦略は「逆張り」であったということです。ソニーは理系の人材が事業部長となる慣例がありましたが、出井さんは文系出身。それでも出井さんは事業部長になりたいと思いました。そこで出井さんが考えた作戦は、だれもやりたがらないジリ貧のオーディオ事業部長となることだったのです。


 実際にオーディオ事業部長になりたい!と会社と交渉して事業部長となり、その後はCDを開発して事業部を立て直してしまうのですから、これは実力なのでしょうか運なのでしょうか。その後、出井さんは社長にまでなってしまうのです。会社に言われたことをやるのではなく、自分がやりたい!と手を挙げるのが出井流であり、そうした人を上に引き上げてきたソニーという会社もおもしろい会社だと感じました。


 ちなみに出井さんは社長スタッフを打診された時、その内示を断ったこともあるというので、自分の思ったことをどうどうと主張するのは、筋金入りであることがわかります。


・大不況のときに、大不況部門の事業部長を希望する(p96)


 出井さんは企画から物流センターに左遷されたときも、自由な時間が多いので楽しく遊んでいたらしい。職場の一人ひとりと昼食に行ったり、夜は六本木に繰り出して、劇団四季や芸能人や経営者と遊んでいたという。このように出井さんは部署が変わるごとに、3人の人脈を作っていました。人脈とは自然にできるものではなく、ゆるやかなつながりを維持しながら作るものというのが出井流なのです。


 でも出井さんが社長にまでなれたのは、ソニー創業者の盛田昭夫さんと個人的にテニスやゴルフや映画を見たりして一緒に遊んでいたからかもしれません。出井さんは、「釣りバカ日誌」のハマちゃんのようなつもりだったかもしれませんが、盛田氏の自宅で一緒に食事までしていたというのです。


 出井さんはソニーのハマちゃんであり、ハマちゃんが社長になっちゃった!というのが、この本の「落ち」なのかもしれません。出井さん、良い本をありがとうございました。


この本で私が共感した名言

・楽しんで働くためには、自らの価値を高めることが不可欠である。他の人とは違う強みを持つ・・・(p4)


・時間があれば、真っ白な紙にペンで何かを書き出している(p53)


・本当のことを口にしてたくさん失敗したが、本当のことを言ってくれる人に助けられたことも事実だ(p88)


・もとより会社というのは、変革したくない人たちの集まりになりがちだ。部長クラスは、特に変えたくない人たちである(p161)


・本を1冊買うというのは、パチンコ玉を1つだけ持ってパチンコ屋に行くようなものだと僕は思っている。1個では戦えないのだ(p192)


・「年を取ってきたら、そんなに数字にこだわるな」これは、ソニー創業者の盛田昭夫さんに教わった言葉だ(p201)


▼引用は、この本からです
「変わり続ける―人生のリポジショニング戦略」出井 伸之
出井 伸之 、ダイヤモンド社


【私の評価】★★★★☆(81点)


目次

序章 人生は「岐路」の連続だ
第1章 「当たり前」は続かない―少しの勇気で一歩踏み出す
第2章 失敗は必ずするもの―耐える力と復元力を身につけよう
第3章 誰もやりたがらないほうを選ぶ―みんなが嫌がる役回りを引き受ける
第4章 人との距離感を保つ―フラットな人間関係が何よりも大事
第5章 「3つの時間」を確保しよう―人生を豊かにする「時間」のつくり方
終章 リポジションを成功させる4つの法則



著者紹介

 出井伸之(いでい のぶゆき)・・・クオンタムリープ株式会社 代表取締役 ファウンダー&CEO。1937年東京都生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、1960年ソニー入社。オーディオ事業部長、コンピュータ事業部長、ホームビデオ事業本部長などを歴任後、1989年取締役就任。1995年から2000年まで社長兼COOとして、2000年から2005年までは会長兼グループCEOとして、約10年にわたりSONY経営のトップを担った。2005年にソニー会長兼グループCEOを退任後、クオンタムリープ株式会社を設立、現在に至る。他に、フリービット、レノボ・グループ、マネックス・グループの社外取締役や、清華大学アドバイザリーボードなども務めている。


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