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「指示なしで動くチームの作り方」吉野 創

2022/04/05公開 更新
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「指示なしで動くチームの作り方」吉野 創


【私の評価】★★★★☆(83点)


要約と感想レビュー

 著者は指示命令で動く組織から、自発的に考えて行動していく組織に変えるコンサルティングを行っています。著者の目指すチームは、ノルマを達成したらボーナスが出る会社ではなく、上司が部下の「働く目的」を支援してくれる会社です。なぜなら、著者はノルマを部下に押し付け、部下に行動を指示する会社で、優秀な社員から会社を去っていくという経験をしたからです。


 そこで著者は、部下のタイプ別に対応を変えることにしました。部下のタイプは「働く目的」によって、3つに分けます。それは、「時間」「お金」「キャリア」です。人はそれぞれ大切にしているものが違うので、それぞれに違う対応が必要なのです。


・「働く目的」は・・・3タイプあります。「お金が大事」「自分の時間が大事」「キャリアが大事」(p5)


 まず、「時間」を大切にする人は効率的に仕事で成果を出して、定時に帰りたいと考える人です。あまり無駄話をしないので、愛嬌がないように見えることがあるかもしれません。人間関係より効率的に仕事をして仕事が終わったらプライベートの時間を楽しむタイプですので、意味を見い出さないとやる気にならないタイプです。仕事のすべてに「意味」を伝えていく必要があります。例えば、一手間かけることで、顧客に感動を与えることができるかもしれない。「掃除」は環境整備だけでなく心も整えるなど、目に見えないことも伝えていくことが大事になるのです。


 次に「お金」「キャリア」は上を目指すという意味で似ています。「お金」にどれくらい執着があるかに、ちょっと差があるということでしょう。「お金」を大切にする人は、自分の給料アップ、評価アップにこだわる人です。自分の仕事の成果と評価をシビアに見ていますので、外国人に近い人。


 「お金」を大切にする人には、ちゃんと見てあげて得意と苦手を伝えてあげること。個性を承認してあげること。頑張りに感謝を伝えてあげることが大事になります。人事評価の仕組みを説明して、誤解がないようにしておくことも大事でしょう。


・経営陣や社長に、部下の頑張りを伝える(p147)


 最後に「キャリア」を大切にする人は、能力が高いことが多く、将来の幹部候補となる可能性があります。ただ、勉強家で積極的がゆえに、敵を作りやすいという危うさも持っています。つまり、「キャリア」を大切にする人は、業務改善のタスクチームのリーダーに任命されることも多いだけに、大きな成果を出すこともあれば、嫉妬から足を引っ張られてボロボロになるリスクもあるわけです。


 上司としては、本人のビジョンや将来構想を聞いてあげて、それを支援してあげる。足を引っ張られたり、ベテラン部下にイジメられないように根回ししたり、サポートしてあげることが大事なのです。例えば、部下をプロジェクトマネジャーに指名するとしたら、上司はチームメンバーが足を引っ張らないように事前に説明したり、根回しをしておくのです。


 「1分間マネジャー」シリーズのように部下によって対応を変えるということだと思いました。人は興味のあることにしか自律的には動きません。だからその人の興味に合わせて対応を変えるのです。人によって対応を変えるということは、その人の興味を知ってあげて、その人を尊重することであり、人に寄り添った対応だと思いました。だから成果が出るのでしょう。


 著者が「指示なしで動くチームの作り方」を確立するまでに、多くの苦労や失敗を経験したと思います。そうした苦労を聞いてみたくなりました。吉野さん、良い本をありがとうございました。


この本で私が共感した名言

・あなたが時間を書けるのは優秀な2割のメンバーでいい(p205)


・「部下は自分の半分位働けば御の字」と理解すると、イライラが減ったり、優しくなれたりする(p17)


・進捗確認の頻度は、普段の本人の仕事ぶりから個別に決める(p152)


・社員を講師にして勉強会を開くなど、社内研修を企画し、実施させる(p165)


・本人の誕生日だけでなく、「家族の誕生日」も大切にする(p116)


▼引用は、この本からです
「指示なしで動くチームの作り方」吉野 創
吉野 創、ぱる出版


【私の評価】★★★★☆(83点)


目次

第1章 部下はそもそも働かない
第2章 「お金が目的」の部下の掌握術
第3章 「時間が大事」な部下への寄り添い方
第4章 「キャリア志向」の部下は向上心を満たせ
第5章 部下から大切にされる上司になれ
第6章 できない部下がいても、理想のチームはできる



著者経歴

 吉野創(よしの はじめ)・・・株式会社トゥルーチームコンサルティング代表取締役/一般社団法人 自走式組織協会 代表理事。北九州大学法学部卒業後、ジーンズメーカーEDWINで営業に従事。その後、経営コンサルティングファームにおいてマネジメント責任者、支社長などを歴任。動かない人に深く関わる合宿や研修を延べ5000人へ実施。社員が自発的に動く成長ノウハウを見出し、体系化。2014年「株式会社トゥルーチームコンサルティング」を設立。「自走式組織R」として2018年に商標登録。100社以上のクライアントで3年で売上2.1倍、経常利益4.3倍、わずか1年で粗利益率7.9%改善や、離職率を0%にするなど多くの成功事例を持つ。


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