「ニュータイプの時代 新時代を生き抜く24の思考・行動様式」山口 周
2022/03/23公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★★☆(80点)
要約と感想レビュー
成功者の思考を整理
新時代はニュータイプの思考が成功すると主張する一冊です。ニュータイプとは、WHY(意味)を与える人、仕事に遊びを盛り込む人、とりあえず作って試し、ダメならまた試す人、提言し、採用されなければ、組織を出る人、素人の門外漢の意見も聞く人などです。
24の思考を例示していますが、一般的な考え方も含まれており、なんでもかんでもニュータイプというのはいかがなものかと思いますが、成功者の思考を整理することは有益だと思います。
例えば、ネットとグローバル化の時代だからこそ、すべてをオープンソース化して多くの人の知恵を集めたり、違う業界の専門家の意見を聞くことで意外な成功をもたらす可能性があるようです。
専門家の問題解決能力を門外漢のそれが上回る理由・・・門外漢だからこそ、革新的なアイデアを思いつくことができる(p228)
未来は自ら作り出す
興味深かったのは、「未来は予測できない」としているところでしょう。だから、未来は予測するのではなく、「未来をどうしたいのか」考えるのがニュータイプであるとしています。私に言わせると未来は予測するものでもなく、未来をどうしたいのか考えるものでもなく、「未来は自ら作り出す」のがニュータイプであると私は思います。
著者も似たような意味で、ニュータイプは「おかしいと思うことにはオピニオンを出して反論し、受け入れられないことが度重なれば組織をエグジットします」と最後に紹介しています。そういえば、松下幸之助氏は関西電燈を7年で辞めているし、稲盛和夫も3年で退社しています。会社が不満で退社する人が多いと思いますが、その後の結果で評価がわかれるのでしょう。
「未来予測」は原理的に不可能(p68)
未来は自ら作り出す
著者がニュータイプと表現しているものは、21世紀の思考、経営の考え方をまとめたもののように感じました。こうした思考法は、単に読んだだけでマスターすることは難しいと思いますが、こうした本で知ることで、応用できる可能性は高まるのでしょう。成功例を羅列したコンサルタント的な本だなと思ったら、著者はコンサルタントでした。
コンサルタント先でのなまめかしい事例があると、素晴らしかったのではとも感じました。読者としてはこうした先人の業績を分析し、活用することで、よりよい未来を作ることが求められているのだとも感じました。山口さん、良い本をありがとうございました。
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この本で私が共感した名言
・グローバル化が進めば・・・勝者総取りが発生し、世界中のほとんどの企業は生き残ることができません(p116)
・「意味」を引き出すニュータイプの能力こそが組織の競争力を左右することになります(p86)
・グローバル×ニッチ・・・先進国だけでも12億人の人がいる(p101)
・フェラーリやランボルギーニなどの超高級車・・・役に立たないけど、意味がある(p119)
・革新的な業績を数十年にわたって起こし続けている企業の多くが・・・絶妙に「遊び」を盛り込んでいる(p158)
・大量に試して、うまくいったものを残す(p236)
・ゼロックスのパロアルト研究所は、マウスやGUI、オブジェクト思考プログラミング言語・・・先駆的に開発したにもかかわらず、何一つそれらを商業化できず・・・果実をすべて他社に取られてしまいまいた(p161)
・バーベル戦略・・・アインシュタインは特許庁の役人というリスクの極めて小さい仕事をしながら科学論文を書き、その論文でノーベル賞を取ったわけです(p198)
【私の評価】★★★★☆(80点)
目次
第1章 人材をアップデートする6つのメガトレンド―ニュータイプへのシフトを駆動する変化の構造
第2章 ニュータイプの価値創造―問題解決から課題設定へ
第3章 ニュータイプの競争戦略―「役に立つ」から「意味がある」へ
第4章 ニュータイプの思考法―論理偏重から論理+直感の最適ミックスへ
第5章 ニュータイプのワークスタイル―ローモビリティからハイモビリティへ
第6章 ニュータイプのキャリア戦略―予定調和から偶有性へ
第7章 ニュータイプの学習力―ストック型学習からフロー型学習へ
第8章 ニュータイプの組織マネジメント―権力型マネジメントから対話型マネジメントへ
著者経歴
山口周(やまぐち しゅう)・・・1970年生まれ。慶應義塾大学文学部哲学科卒業、同大学院文学研究科美学美術史学専攻前期博士課程修了。電通、ボストンコンサルティンググループ、A.T.カーニー等を経てヘイ・グループに参加。グローバル組織のデザイン、組織開発、リーダーシップ開発、キャリアデザイン等のプロジェクトに従事
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