「リーダーは最後に食べなさい! チームワークが上手な会社はここが違う」サイモン・シネック
2022/02/03公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★☆☆(79点)
要約と感想レビュー
リーダーこそ一番苦労するべき
サイモン・シネックはリーダーシップを伝授するコンサルタントです。そのリーダーシップとは、タイトルのとおり従業員ファースト。リーダーこそ一番苦労し、最後に利益を得るということです。だから著者のお勧めは、終身雇用の職場であり、業績が悪くなってもレイオフでクビを切らない一体感を持った企業なのです。なんだ、これじゃ日本企業そのものじゃないか、というのが第一印象でした。
著者にとって最悪なのは、従業員のクビを切って、見かけの数字を良くして、多額の報酬を得て去っていく経営者たちです。アメリカの経営者というと、業績が悪くなると、すぐに従業員をクビにするイメージがありますが、やはり従業員は頭にきているのです。
・投資銀行のリーダーたちが法外かつ不相応な報酬を得ていると、頭にくる・・・特典を享受しておきながら、私たちをまったく保護しないからだ(p99)
レイオフが会社を破壊する
この本では、アメリカでも従業員を信じる経営者に変わったら業績が良くなった例を示し、雇用を守る経営を推奨しています。従業員が安心してろくに仕事をしないのも問題ですが、従業員がクビが怖くてビクビクしているのも問題なのです。
例えば、GEのジャック・ウェルチは儲かる事業だけを残し、GEを高収益会社に作り変えました。しかし、現在のGEはどうなっているでしょう。GEは業績が非常に悪くなっています。GE凋落の原因がすべてウェルチのせいではないと思います。ただ、GEでは従業員が安心して仕事ができる環境ではなかった、というのも事実なのです。
・ウェルチらは、1980年から、投資家の利益のために人材を使い捨て資源として利用しはじめた・・・レイオフを利用する企業が徐々に増えてきた(p246)
日本式経営によいところもある
著者は、会社でチームが一丸となって協力して仕事をして、そうした仲間意識が良い思い出なのだと主張しています。つまり、人間は社会的動物であり、同じ仲間から称賛されたいと思うし、称賛を必要としているというのです。
日本ではアメリカの成果主義を真似て、業績評価で給与を補正したり、早期退職で若返りをはかる会社が主流になってきました。日本的経営のぬるま湯の中で仕事をするのも問題ですが、アメリカ式の経営を取り入れ過ぎるのも従業員のモチベーションに悪影響となる可能性もあるということです。
こうした本を日本人が出版しても、日本では売れないでしょう。なぜなら当たり前だから。日本的経営の良い点を再確認する一冊でした。シネックさん、良い本をありがとうございました。
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この本で私が共感した名言
・海兵隊員たちが食事をしている場に同席すれば、もっとも下位の者が最初に食事を配られ、もっとも上位の者が最後に配膳される(p9)
・誇りを継続して感じるには、それを支える師、親、上司、コーチ、リーダーとの人間関係が不可欠だ(p98)
・勤め先に帰属意識があれば、公的な場で誇らしげに会社のロゴ入りTシャツを着るだろう(p190)
▼引用は、この本からです
サイモン・シネック、日本経済新聞出版
【私の評価】★★★☆☆(79点)
目次
第1部 人間は安全を求める生き物である
第2部 なにが人を突き動かすのか
第3部 現実の世界
第4部 私たちが選んできた道
第5部 抽象化という落とし穴
第6部 リーダーのための5つのレッスン
第7部 依存症の社会
第8部 リーダーになるために
著者経歴
サイモン・シネック(Simon Sinek)・・・コンサルタント。2009年のTEDトークに登壇し「WHYの力」を紹介。その動画は、視聴者数ランキング第3位となる3700万回再生を記録し、45言語の字幕がつけられた。TEDトークを発展させた書籍『WHYから始めよ!』は全米で100万部を突破するベストセラーに。ランド・コーポレーションの非常勤研究員を務めるかたわら、精力的に講演活動もおこなっている。ニューヨーク市在住。
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