「働きアリからの脱出 個人で始める働き方改革」越川 慎司
2021/06/21公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★☆☆(76点)
要約と感想レビュー
本当の働き方改革とは何なのか、と問いかける一冊です。よくある働き方改革は、育児・介護や在宅勤務の仕組みを整備する企業もあれば、モバイルやAIを導入したり、月末金曜日はプレミアムフライデーにしたりすること。
一方、著者の考える働き方改革は、仕事を簡素化して残業時間を減らしたり、離職率が改善するような取り組みです。重要な仕事を見極め、それ以外の仕事は意図的にそぎ落とすことで、最少の時間で成果を最大にする。つまり、数字で会社の業績向上や社員の労働が実際に変わったことが計測される施策なのです。
・求められる人材は、早く帰る人ではなく、早く帰れるように日常業務を自ら率先して改善し、業務に必要となるスキルを磨いていく人です(p43)
そうした会社の制度改革もよいのですが、著者のお勧めは、個人がコントロールできること(内円)を変えていくことです。つまり自分の仕事や生活を振り返り、改善していくことで、仕事で成果を出し、自分の能力を上げていくのです。
例えば、自分が担当者なら資料の作り方を変える。自分が課長ならチームのルールを変える。自分が役員なら人事制度を変えるのです。自分がコントロールできることだから簡単に変えることができて、成果が出れば、出世が早くなり、より権限が大きくなり、できる範囲が大きくなってくるということです。
・自分でコントロールできる内円を意識して成果を積み重ねていけば、社内外で評価され、それによって自由と責任が増えていき、内円を押し上げることができます(p83)
会社や相手が変わるのを待つのではなく、自分が変わることで自由と権限を拡大していこう!という一冊でした。自分が変わるためには、自ら学び知識を得るだけでなく、人間性を高め、人を動かすモノの言い方を磨いていかなくてはなりません。つまり、人はロジックではなく、感情で動くのです。
正しいことでも協力してもらえないこともあるでしょう。相手を強制的に動かすことで対立することもあるでしょう。判断が感情に左右されることもあるし、社内で活躍し、社外の評価も高くなれば、妬まれることもあるのです。そんなことは織り込み済みなのです。
社外でも評価される人材となるためにメンターがいたほうがいいし、社外で副業してみるのもいい、というのが著者の考えです。まず、自ら変わるという点が素晴らしいと思いました。 越川さん、良い本をありがとうございました。
この本で私が共感した名言
・「自分でコントロールできる領域」を内円・・・自己管理(体調・時間)・コミュニケーション力・作業の工夫・人を巻き込むこと・スキルアップの努力(p82)
・過去のスケジュールを書き出す・・・内円リストの中で反省点を書き出し・・・ムダなもの、やめるべきことをリストアップ(p85)
・社外で働くことは、ずばり市場価値を知る機会になります。本業の時間を圧縮し、副業のチャンスを増やしましょう(p55)
・どう言えば相手のメリットになるか、もしくはどう言えば断ることができないかを考えるのです・・・「一緒にプロジェクトを成功させてて、あなたの能力を最大限発揮しましょう!」(p128)
・中途半端なコミットはするな・・・曖昧な約束はしない一方で、約束すると決めたこと(コミットメント)は、定量的な目標を付けて言語化して周囲を共有してください(p112)
【私の評価】★★★☆☆(76点)
目次
第1章 「働き方改革」は個人が成長するチャンス
第2章 100年ライフで知っておくべき3つのこと
第3章 働きアリから脱出して目指すべきもの
第4章 脱出に必要な5つの気構え
第5章 内円で時間を創り出す
第6章 今日からできる働き方改革(ソフトスキル編)
第7章 今日からできる働き方改革(業務スキル編)
著者経歴
越川慎司(こしかわ しんじ)・・・株式会社クロスリバー代表取締役社長、アグリゲーター。国内大手および外資系通信会社に勤務し、ITベンチャーの起業を経て、2005年に米マイクロソフトに入社。業務執行役員としてPowerPointやOffice365などのOffice事業部を統括。2017年に働き方改革の支援会社である株式会社クロスリバーを設立。
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