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「いかなる時代環境でも利益を出す仕組み」大山健太郎

2021/06/22公開 更新
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「いかなる時代環境でも利益を出す仕組み」大山健太郎


【私の評価】★★★★★(96点)


要約と感想レビュー

問屋をバイパスする

宮城県に本社を置くアイリス・オーヤマはプラスチック製品の下請け加工からスタートし、業界の常識を壊しながら、売上7000億円にまで成長してきました。アイリスの経営の基本は、「いかなる時代環境においても利益を出す仕組みを確立する」というものです。これはオイルショックで需要が急減し、半数の社員をリストラした悪夢から大山会長の経営理念となりました。


そのために時代に合わせた新製品を常に作り出すこととし、売れ筋しか扱わない問屋はバイパスするという決断もしてきました。問屋をバイパスすることで、製造から営業、在庫管理から売り場作りまで一気通貫でアイリスが行っているのです。


・確実に売れるものを求めたがる問屋は取り扱いに難色を示しました。そこで私は新興勢力のホームセンターとの直接取引を狙い、問屋機能を包含した「メーカーベンダー」という業態を確立します(p23)


利益の50%が3年以内の新製品

アイリスでは経常利益の50%を3年以内の新製品で生み出すことを経営目標としていますが、なぜこれだけ多くの新製品を生み出せるのでしょうか。それを可能とするのが毎週開催される「プレゼン会議」という新製品の提案会議なのです。社長を議長として、現場の若手が自分の開発した新商品をプレゼンしその場で、決定、否決、修正が指示されます。


情報をオープンにして共有し、短時間に意思決定していくことで現場からのフィードバックを受けた新製品がどんどん製造されていくのです。普通の会社では月1回の会議がせいぜいでしょうが、週1回開催とすることで決断する機会を増やして、制約にならないようにしているのだと理解しました。


・プレゼン会議・・・アイリスでは毎週、トップから現場までが一堂に会して話し合うわけです。年間50回の提案会議・・・事前の根回しは一切禁止(p65)


開発社員が利益にも責任を持つ

利益管理については当然ながら製品別に管理していますが、開発社員が発売以降も一貫して利益管理することがアイリスオーヤマの特徴でしょう。新製品を開発した社員が最初から最後まで、つまり、その新製品の部品調達、価格設定にまで関与し、発売後も利益管理を行うのです。


まさに、自分で製品を作り、自分で売り、利益にまで責任を持ち、自分で会社に貢献しているという実感を持つことができるのです。アイリスには自分で動かず、管理だけをしているような人に居場所はない、というだけのことはあるな、と感じました。


・アイリスの利益管理は、発売3年以内の新製品が営業利益ベースで10%以上の利益を出すこと・・・特徴は開発社員が製品発売以降も利益管理をする点でしょう(p201)


設備の稼働率は常に7割以下

設備の稼働率は常に7割以下など、予想外の需要増にも対応できる生産体制を取っていることも印象的でした。また、自動生産設備も、汎用機を買ってきて自前で改良して作り上げるという点もトヨタに近いと感じました。


その一方で、社員評価では360度評価で2年連続でワースト1割に入ると降格させられるという厳しさもある。大山会長の長年の努力と工夫により作り上げられたアイリスの経営の仕組みです。★5としました。大山さん、良い本をありがとうございました。


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この本で私が共感した名言

・アイリスでは、あらゆる設備の稼働率を7割以下にとどめています・・・何かの需要が急に出現したときに、その予備スペースで瞬時に増産できる(p15)


・アイリスはビス1本から自前で作るくらい、内製化率が高い・・・投資して手間をかけてユーザーの望む価格を実現することと、外注して手間をかけずにユーザーが望まない価格で提供すること。どちらがリスキーかというと、後者です(p39)


・アイリスでは、毎年、経常利益の50%を設備などの投資に回します・・・企業は常に経常利益の50%分を、新市場の開拓費用に振り分けたほうがいいと思います(p48)


・アイリスでは、設備機械の改造は内製化しています・・・汎用機を改造して使います・・自動化ラインを設計・構築する専門スタッフが200人以上います(p127)


・主任以上の約700人には、年初に課題論文を書いてもらい、それが評価の対象になります・・・論文はA4で2枚・・・優秀な人には持ち時間15分でプレゼンをしてもらいます(p165)


・360度評価・・・ワースト1割に入ると、1回目は「イエローカード(気づきカード)」。2年連続でワースト1割に入ると「レッドカード」に入り、降格です(p166)


▼引用は、この本からです
「いかなる時代環境でも利益を出す仕組み」大山健太郎
大山健太郎、日経BP


【私の評価】★★★★★(96点)


目次

序章 効率偏重経営の終わり
1章 製品開発力 売れる製品を最速で大量に生む仕組み
2章 市場創造力 流通を主導し、顧客と結びつく仕組み
3章 瞬発対応力 急な外的変化を成長に取り込む仕組み
4章 組織活性力 仕事の属人化を徹底的に排する仕組み
5章 利益管理力 高速のPDCAで赤字製品を潰す仕組み
6章 仕組みの横展開
7章 ニューノーマル時代の経営



著者経歴

大山健太郎(おおやま けんたろう)・・・アイリスオーヤマ会長。1945年生まれ。大阪で父親が経営していたプラスチック加工の大山ブロー工業所(1991年にアイリスオーヤマに社名変更)を、父の死に伴って1964年、19歳で引き継ぐ。経営者を56年間と長きにわたり務め、生活用品メーカーからLED照明・家電メーカーに業容拡大。2018年会長就任


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