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「だまされた!「だましのプロ」の心理戦術を見抜く本」多田 文明

2021/06/10公開 更新
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「だまされた!「だましのプロ」の心理戦術を見抜く本」多田 文明


【私の評価】★★★★☆(84点)


要約と感想レビュー

 2020年の特殊詐欺は13000件、被害額は285億円だという。1日当たりに換算すれば毎日40人が200万円を騙し取られているということです。


 最近はオレオレ詐欺よりも預貯金詐欺、架空請求での被害が多いという。この本では100箇所以上詐欺現場に潜入した著者から詐欺の手口を教えてもらいましょう。


 まず詐欺師は騙しやすい客に近づくことから始めます。ニセ息子からの電話はオレオレ詐欺。メールや電話での架空請求。弁護士や警察を名乗って近づく詐欺師もいるという。


・詐欺の手口・・・鞄を落とす・・・小切手やカードなどが入っており・・すぐに手元に現金が必要だ・・・不倫をした・・中絶費用が必要・・会社のお金を使い込んだ・・・弁護士が出てきて、和解金などを請求するといった具合だ(p30)


 相手は組織的なプロですので、その手口はマニュアル化され、実行役は教育されたとおりに詐欺を実行します。たとえばキャッチセールスなら客を連れてくる誘い役は、「すごい人がいるので手相を見てもらいませんか」と誘います。


 その後、説得役にバトンタッチしてこの壺を買わないと不幸になる、などと脅して、壺を買わせるわけです。潜入捜査として入った著者でさえ、契約しそうになったこともあるようで、普通の人が詐欺から逃れるためには事前に学習していなければ難しいのでしょう。


 例えば、お悩みをお聞かせくださいと聞かれて、相談したところ、あなたには金運アップのブレスレットが必要です。40万円ですと言われて、断れるかということです。買わないと運が悪くなると言われたりすれば、躊躇してしまう人も多いのではないでしょうか。


・ABCテクニック・・・A:アドバイザー(説得役)、B:ブリッジ(誘い役)、C:カスタマー(客)・・・まず知人が「ブリッジ(B)」として、「友人(客)」に声をかけて、説得上手なベテラン、アドバイザーのもとに連れてくる・・・霊感商法をおこなってきたキャッチセールスも同じだ(p211)


 詐欺被害額300億円のすべてが詐欺師の収入だと考えると、詐欺は一大産業です。プロの詐欺師として組織を作ってビジネスとして生活している人たちが一定数いるということです。こうした本でその手口を学び、簡単に騙されないようにしたいものです。


 なお、著者は大学時代に「統一教会」に入信させられ、多くの人を騙して入信させ、献金させ、破産した人も多かったという経験を持っています。「統一教会」は宗教であり、信者が勝手にやったこととしていますが、実質的に詐欺商法と類似しているのかもしれません。多田さん、良い本をありがとうございました。


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この本で私が共感した名言

・詐欺師は数多くの人に電話をかけており、疑われているような声の反応が返ってくれば、電話をさっさと切り・・疑いなく息子だと信じた人のみに、二度目の詐欺電話をする(p17)


・「本当に口がうまいヤツだな」と思えたのは2割程度・・・口のうまい百戦錬磨な勧誘者は、だましの実績を上げると組織内で地位が上がり、現場から離れて新たな勧誘者を育てる立場になるからだ(p160)


・架空請求詐欺・・・あなたはエロ動画を繰り返し見ていますので、サイトの運営会社に対して未納料金が発生しています・・・近くのコンビニに言って、プリペイドカードを購入してきて、そのカードの裏面にある番号を教えてください(p65)


・海産物などを勝手に家へ送りつける「送りつけ商法」・・・「家族の誰かが注文したのだろう」と思い、1万円ほどの金を払ってしまう(p127)


・雑誌のモデルになりませんか?・・・当社と提携している美容クリニックの無料体験に行ってきてもらえませんか?・・・脱毛コースを受けておいたほうがいいですよ・・・その金額は100万円である・・・今日、契約してくれたら半額にします(p81)


・ジャパンライフは・・ネックレス(磁気治療器)を、100万~600万円で販売するが、その商品は客に渡さず商品自体を会社で預かり、それを別の客に貸し出して、その時に得たレンタル料金(年6%)を購入客に支払うシステム・・・被害総額は50億円にものぼるという(p43)


・通話先の相手に事前に「この電話は、振り込み詐欺対策として録音されています」という警告メッセージ・・・私も以前から、こうした電話を勧めている(p143)


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▼引用は、この本からです
「だまされた!「だましのプロ」の心理戦術を見抜く本」多田 文明
多田 文明 、方丈社


【私の評価】★★★★☆(84点)



目次

1・進化を遂げた詐欺師たち
2・衣に包まれた「罠」
3・誰が詐欺師に騙されているのか
4・詐欺に「巻き込まれる」とき
5・詐欺集団の組織力
6・詐欺師の勧誘システム
7・詐欺師から身を守る


著者経歴

 多田文明(ただ ふみあき) ・・・ルポライター。1965年生まれ。1988年日本大学卒業。2001年、雑誌『ダカーポ』で「悪質商法に誘われたらついてく」を連載。これまでキャッチセールスなど勧誘先へ潜入した数は100以上。マインドコントロール手法にもくわしい。「キャッチセールス評論家」 「悪徳商法評論家」「潜入ルポライター」などとも称される。


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