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「アイデアにセンスはいらない」梶 淳

2021/06/09公開 更新
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「アイデアにセンスはいらない」梶 淳


【私の評価】★★★★☆(80点)


要約と感想レビュー

 どらえもん、クレホンしんちゃん、仮面ライダーシリーズなどに関わってきた辣腕プロデューサーが教えるアイデアの作り方です。著者の場合はキャラクター番組担当ですので、例えば番組リニューアルを考えてみましょう。


 長い歴史のある番組をリニューアルするということは重大な決定です。あなたなら、どうやって企画を考えるでしょうか。著者はまず、誰に、何を伝えるのか?変えてはいけないものは何か?ということを考え続けました。そのために過去の作品を読んだり、作家の別の作品を見たりします。


 そのうえで、関係者と雑談の中で「何を伝えるのか」というテーマを掘り下げるのです。例えば、ドラえもんのリニューアルなら「国民的アニメの国民って誰なんでしょうね、という雑談をするわけです。


・国民って誰なんでしょうね・・・向かい合っている相手は常に1人(p45)


 ある程度、アイデアが出てきたら、次はアイデアをより具体的に組み立てていきます。頭の中でイメージして、その商品が顧客から見て魅力的かどうか考えてみる。アイデアのパーツの材料を入れ替えてみる。


 商品の魅力は何か、物語性があるのかアピールポイントを考えます。最後は、製造・流通・販売のコストカットを考えたり、販促でブランドを使ったり、エコでPRするなど多面的な見せ方を考えるのです。


・アイデアを組み立てる・・・イメージする・・必要なパーツだけ選ぶ・・アピールポイント・・コストカットを検討・・多面的に見せる(p101)


 会社という組織の中では、アニメの企画だけでもこれだけ考えているのだなと、感心しました。それだけ考えていなければ、上層部を説得することができず、企画が通らないのでしょう。


 実はアイデアというものは単純でシンプルなものかもしれませんが、それを組織内の多くの人に理解され、納得してもらうためにも多面的な考察と文書化が必要なのでしょう。


 梶(かじ)さん、良い本をありがとうございました。


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この本で私が共感した名言

・アイデアのゴールとは・・・「欲望」が生む人の感情・・・アイデアは、喜怒哀楽につながっています(p26)


・「仮面ライダー」・・・ラフスケッチを息子に見せて選ばせ、それがバッタモチーフだったとか、宮崎駿監督は、よく遊びに来ていた幼い女の子を対象に「千と千尋の神隠し」をつくり上げた(p61)


・そのアイデアは「新しいか?」「面白いか?」「珍しいか?」(p119)


・「より便利になった新製品」は次々にライバルが生まれるので、なかなか出合えない「初めて美味野菜」を目指すべきなのです(p122)


・子どもアクセル8:大人ブレーキ2のハンドリング・・・タブーの「キワキワ」を攻めることがポイント(p123)


・アイデアが対立したとします・・・自分が納得できる「Bに寄せたAのアイデア」と「Aに寄せたBのアイデア」を・・・相手にどちらかを選んでもらうのです(p130)


・優れたアイデアの企画書は、とても「美味しそう」に見える・・・割烹料理「お品書き」のよう(p144)


・アイデアを口コミで広げていくときのコツは、「認知」の拡散よりも「幸せ」の拡散」(p154)


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▼引用は、この本からです
「アイデアにセンスはいらない」梶 淳
梶 淳、ダイヤモンド社


【私の評価】★★★★☆(80点)


目次

序 章 なぜ経験を積むほどアイデアは出なくなるのか
第1章 思いつく
 アイデアは半径3メートル以内で発見できる
第2章 組み立てる
 当てる法則はないが、外さない法則はある
第3章 確かめる
 アイデアを効率よく診断する
第4章 伝える
 アイデアは伝え方で完成する
第5章 継続する
 長く愛されるものはアイデアに秘密がある


著者経歴

 梶 淳(かじ あつし)・・・1967年大阪府生まれ。1989年テレビ朝日入社後、2年目から若くしてキャラクター番組プロデュースデビュー。2005年「ドラえもん」リニューアルのほか、30作以上のアニメ特撮番組および映画作品を手掛ける。「クレヨンしんちゃん」「あたしンち」「平成仮面ライダーシリーズ」「スーパー戦隊シリーズ」「機動新世紀ガンダムX」など、国民的キャラクター作品を主に担当。現在はコンテンツビジネス局でキャラクター作品のマルチユース戦略部署に所属。


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