【書評】「ティム・クック-アップルをさらなる高みへと押し上げた天才」リーアンダー・ケイニ―
2019/12/19公開 更新

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【私の評価】★★★☆☆(70点)
要約と感想レビュー
コンパックからアップルに転職
Apple表参道にCEOのティム・クックが来たというニュースを聞いて、手にした一冊です。ティム・クックがコンパックからアップルに転職したのは1998年。
倒産しそうなアップルにスティーブ・ジョブズが戻ってきて、iMacが発売された頃です。クックはコンパックで受注生産方式を推進しており、アップルでも同じ手法で貢献できると考えていたようです。
1998年3月11日、クックはアップルへ入社した。当時は多くの人が働きたいと望むような環境ではなく、倒産寸前の状況で従業員の士気も低かった・・ジョブズは何も売っていなかった(p96)
クックは堅実な仕事屋
ジョブズが改革者とすれば、クックは堅実な仕事屋といえるのでしょう。実際にクックは製造をアウトソーシングすることで、アップルの在庫を激減させ、経営を安定させます。
シンプルで革新的な製品を作りだすジョブズと、それを短期間で大量に供給する仕組みを構築したクック。この二人の組み合わせが絶妙だったのでしょう。
アップルに来てちょうど7ヶ月が経った頃、クックはそれまで30日間あった製品の在庫をわずか6日分にまで減らしていた(p113)
アップルが自動運転者に投資
アップルが自動運転者に投資していることは初めて知りました。アップルは利益も出ているので、新製品の開発を拡大させているのでしょう。最近、アップル製品の種類が増えてきたように感じるのですが、大丈夫なのでしょうか。
今後もアップルを注視していきたいと思います。ケイニ―さん、良い本をありがとうございました。
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この本で私が共感した名言
・2014年9月には、セキュリティとプライバシー保護をさらに強化したiOS8がリリースされ、法執行機関からの令状があってもiOSデバイスのロックを解除しないことを約束する新たなプライバシーポリシーが追加された(p251)
・外部の提携企業に生産をアウトソーシングすることにより、クックはアップルの最大の問題の1つである在庫に関する問題を解決することができた(p114)
・アップルが密かにロボットカーを製造しているという噂があり、もし成功すれば、携帯電話業界を圧倒したのと同じように、2兆ドル(約220兆円)規模の世界の自動車産業を崩壊させる恐れがある(p6)
・ジョニー・アイブはApple Watchがスティーブ・ジョブズと全く関わりを持たない最初の主要製品であることを明らかにした(p214)
・スティーブの話し方、部屋に漂う独特な空気感、彼と私だけの空間でした。彼と一緒なら働けるとわかったのです。アップルが抱える問題を見て、私はここで貢献できると思いました・・・当時は若かったのです。理屈ではありませんでした(p108)
・スティーブ・ジョブズは、アップルのチップ製造業者が十分な量のチップを期日どおりに納品できなかった場合、彼らに面と向かって「お前たちは腰抜けのクソったれだ」と言うような(そして実際に言った)人物だった(p132)
・アップルとIBMはヘルスケア分野だけで、公に利用可能な病院向け法人プログラム、および特定の顧客に向けたカスタムアプリを数十個開発したという・・BYOD(Bring Your Own Divice、自分の端末を用いる)時代・・自ら所有するデバイスを仕事で使うことを好む人が多い時代(p205)
・30歳以下の社員のうち、36%は女性であり、2014年と比べると5%増加していた。全体で見ると、労働力の32%は女性だった。管理職の女性率は29%だが、30歳以下にしぼると39%を占めていた(p309)
【私の評価】★★★☆☆(70点)
目次
第1章 スティーブ・ジョブズの死
~ジョブズのコピーになるのではなく、クックならではの使命を決意~
第2章 深南部で形作られた世界観
~クックの懐の深さは、幼き頃の人種差別経験にあり~
第3章 ビッグブルーで業界を学ぶ
~新卒入社のIBMで大成功し、コンバックから引き抜かれる~
第4章 倒産寸前の企業に加わる一生に一度の機会
~倒産寸前のアップルに入社し、いきなり成功を収める~
第5章 アウトソーシングでアップルを救う
~クックがジョブズの右腕になるまで~
第6章 スティーブ・ジョブズの後を引き継ぐ
~CEOに就いた瞬間、前途多難となる~
第7章 魅力的な新製品に自信を持つ
~iPhone 6で爆発的ヒットを果たす~
第8章 より環境に優しいアップル
~実は環境への意識が強いアップル。その仕掛人もティム・クック~
第9章 クックは法と闘い、勝利する
~お客様のために、メディアと政府と戦い、勝利をおさめる~
第10章 多様性に賭ける
~多様性の受け入れは、道徳的にも商売的にも理にかなっている~
第11章 ロボットカーとアップルの未来
~ジョブズとは違った革新を実現させるクックが率いるアップル~
第12章 アップル史上最高のCEO!
~ジョブズは製品開発こそ一流だが、CEOとしては二流だった~
著者経歴
リーアンダー・ケイニ―(Leander Kahney)・・・ WiredやMac Weekの元シニアリポーターで、Cult of Macの運営者。20年以上にわたって、コンピューターやテクノロジーに関する記事の執筆を行っており、4点の書籍を出版しているベストセラー作家。邦訳書に、アップルの最高デザイン責任者を紹介する『ジョナサン・アイブ』(日経BP)がある
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