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「安保法制下で進む! 先制攻撃できる自衛隊―新防衛大綱・中期防がもたらすもの」半田滋

2019/11/24公開 更新
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「安保法制下で進む! 先制攻撃できる自衛隊―新防衛大綱・中期防がもたらすもの」半田滋


【私の評価】★★☆☆☆(68点)


要約と感想レビュー

赤旗で見かける人の主張

共産党のセミナーや赤旗で見かける半田滋という人はどんな本を書いているのかな、と思って手にした一冊です。著者は元東京新聞記者で、各種メディアで中国側に尖閣諸島等への侵略の意図はないと主張し続けています。また、当然ながら憲法9条改正反対、特定秘密保護法反対、安全保障関連法反対、「共謀罪」法に反対。一体どんな理由付けをしているのでしょうか。


まず特定秘密保護法・安全保障関連法制・共謀罪法を制定することには、著者は反対です。特定秘密保護法は情報をスパイされることを防ぐための法律ですが、取材・報道が制約されるという理由で反対しています。スパイでなければ困らないのではないかと私は思いますが、どうなのでしょうか。できれば、取材・報道の自由がない中国に行って、批判してもらいたいものです。


特定秘密保護法・・・取材・報道の自由が制約されかねないので、民主主義の根幹であり、憲法で認められた「知る権利」が損なわれるちう大問題をはらんでいます(p28)

防衛費はいらない

また、自民党は安全保障関連法制の制定など、一貫して日本を守るために自衛隊が戦える環境整備をしてきましたが、F35購入、潜水艦・イージス艦建造、イジスアショアの検討などは、そんな金があれば社会保障費にすべきと、著者は主張しています。


2018年度防衛費の高出力レーザーシステムの研究に87億円や、電磁パルスを発生させて敵のレーダーや通信網を無力化させるEPM弾の研究に7億円を計上しているのは、攻撃的な兵器なので反対しています。また、イージス・アショア1基の取得費1202億円も社会保障にまわせばいい。


武器輸出の禁止も「防衛装備の移転」と言い換えて可能にしたことも許せないようです。中国を刺激することが問題なのでしょうか。


待機児童問題が表面化して何年もたちます。戦闘機を1機買うのをやめれば、認可保育所が100か所以上もつくれるのに、政府は武器購入をやめようとしません(p7)

著者はプロフェッショナル

また、中国が海軍力、空軍力を強化するのは、台湾独立を支援する米国に対抗するためであり、石垣島や宮古島を占領する意図が中国にあるとは、とうてい思えませんと言っています。ということは、中国は石垣島や宮古島を狙っているということです。


半田はプロフェッショナルですから、なるほどこのように堂々と嘘で人々を誘導していくのだなと、感心しました。もっともらしい主張の根拠を分析し、本当は何を意図しているのか判断する必要があるのでしょう。


中国が海軍力、空軍力を強化するのは、対談を軍事的に支援する米国に対抗する狙いがあるためです・・・日本人が普通に生活し、中国からの観光客も多い石垣島や宮古島を占領する意図が中国にあるとは、とうてい思えません(p57)

本当の意思を隠して主張する

世の中には頭の良い人がいます。デモクラシーとかヘイトをやめろとか最もなことを言いながら、実は共産勢力のために活動しているように見える人たちです。そうした人たちはどういうロジックで、自分の本当の意思を隠して表向きの意見を主張するのか確認したいと思い、手にした一冊です。


あとはどこから資金をもらっているのかということですね。半田さん、良い本をありがとうございました。


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この本で私が共感した名言

・安倍晋三首相・・・秘密を漏らした公務員や記事にした記者に厳罰を科す特定秘密保護法をつくり、自衛隊による海外での武力行使に道を開く安全保障関連法を施行し、市民運動を弾圧しかねない「共謀罪」法を制定しました(p16)


・安倍政権が改正した現行の教育基本法は「愛国心」を教育の目標の一つに掲げ・・・愛国心を養い、国家の期待する通りの道徳心を持った国民を育成すれば・・・国の都合を優先させて戦争の危険の中に飛び込んでいく国民となることでしょう(p38)


▼引用は、この本からです
「安保法制下で進む! 先制攻撃できる自衛隊―新防衛大綱・中期防がもたらすもの」半田滋


【私の評価】★★☆☆☆(68点)


目次

1章 安倍首相のもとで変化する日本
2章 防衛大綱からみえる自衛隊の変化
3章 専守防衛を逸脱する18大綱
4章 イージス・アショア、F35― 米国製武器が呼び込む混迷
5章 施行された安保法制
6章 はじまった米軍防護、揺らぐ防衛政策
7章 米国製武器の爆買いと私たちの生活



著者経歴

半田 滋(はんだ しげる)・・・1955年(昭和30)年生まれ。東京新聞論説兼編集委員。下野新聞社を経て、1991年中日新聞社入社、1992年より防衛庁取材を担当。東京新聞編集局社会部記者を経て、2007年8月より編集委員。2011年1月より論説委員兼務。


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