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「新版「週刊ポスト」は大相撲八百長をこう報じてきた角界の闇に斬り込んだ30年間の取材記録」

2019/02/28公開 更新
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新版「週刊ポスト」は大相撲八百長をこう報じてきた 角界の闇に斬り込んだ30年間の取材記録 (小学館101新書)


【私の評価】★★★★☆(81点)


要約と感想レビュー

日馬富士に殴られた貴ノ岩と日本相撲協会の改革を目指す貴乃花親方は、結果的に角界から追放されました。では、貴乃花親方は日本相撲協会の何を改革しようとしていたのでしょうか。貴乃花親方は、なぜ貴ノ岩が殴られたことを許せなかったか。そんな思いでこの本を手にしました。


本書では主に大相撲における、八百長の実態についての証言が整理されています。1996年、八百長を告発しようとした元・大鳴戸親方は、記者会見の直前、その同調者ともいえる橋下成一郎氏と伴に、同日に同じ病院で同じ病で変死しています。


大鳴戸親方は、注射(八百長)で地位を買った力士として、陣幕親方、出羽海理事長(元横綱・佐田の山)は少ないけれども、北の湖、時津風(元大関・豊山)、伊勢ケ浜(元大関・清国)、高砂、佐渡ヶ嶽(元横綱・琴桜)と皆、八百長をやっていると証言しています。そもそも八百長をせずに上位に上がることはむずかしいというのです。


七勝七敗の力士が勝ち越してしまう確率が高いのは、八百長をやっているからなのです。八百長の相場は、優勝がかかった取組などは100万円くらいですが、普通は70万円が相場だという。ガチンコ相撲ばかりでは大関、横綱も力士寿命が持たないから、八百長で星勘定を合わせていたというのです。


例えば、百長相撲の仲介をする「中盆(なかぼん)」であった元小結・板井圭介氏は2000年、日本外国特派員協会の講演で今場所、八百長をやっている力士として、横綱・曙、大関・千代大海ら幕内力士18名の名前を読み上げています。また、1988年の九州場所での千代の富士の星取表では、「ガ」はガチンコ、「ハ」は八百長として〈ガハハハハハハハハガハハハガハガ〉で「ガチンコ」が4つしかなかったという。


2010年には力士の野球賭博事件で押収された力士たちの携帯メールに星の売買の記録が残っていたことから、日本相撲協会も八百長を認めることになりました。


・元・大鳴戸親方、そして親方の手記を裏付ける証言をしてきた橋下成一郎氏が同じ日に同じ肺炎で同じ病院で突然、逝ってしまった・・元・大鳴戸親方は・・・著書『八百長~相撲協会一刀両断』(鹿砦社刊)の刊行を目前にした矢先の急死だった(p160)


ガチンコだけでは、安定して勝ち続けることは難しいのが相撲なのです。どうしても勝ちたいときに買うこともあれば、勝てそうもない相手に、どうせなら受けてもらうこともあるらしいのです。そして大鳴戸親方によれば、八百長を受けるのが好きだった北の湖は敵が少なく、年寄になってからも協会内の受けがよいというのです。一方、大鵬や千代の富士は、星を買うことで優勝回数を重ね過ぎたために協会内でも敵が多いというのです。


結局、協会幹部の大半が八百長相撲の経験者であるため、ガチンコ力士は引退後も要職につけないという。んとなく大相撲の雰囲気が伝わってきました。元・貴乃花親方も本当のことを言えるのは、死の直前かもしれませんね。週刊ポスト編集部さん、良い本をありがとうございました。


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この本で私が共感した名言

・八百長を暴いた時、協会の関係者から"もっとやってほしい"と電話を受けた。彼の弟子の千代大海が同じように八百長で大関になったことを苦々しく思っている人もいるのです(板井圭介)(p17)


・【注射】八百長相撲を意味する隠語。打てばすぐに効果があるということから、勝敗の決まっている相撲のことをいう。相撲協会では「無気力相撲」と表現する(p8)


・角界が抱える問題は八百長ばかりではない。数億円ものカネが飛び交う親方株の売買問題、一門制度に縛られた閉鎖的や理事選挙、財団法人でありながらブラックボックスとなっている協会の余剰金の運用・・(p20)


・実は協会は、税務対策として税務署の署長をしていた人物を協会の事務の責任者にしているのです。だから、各部屋への税務調査はないというのが親方たちの間では常識(p149)



【私の評価】★★★★☆(81点)


目次

序章 平成23年「八百長」をついに認めた相撲協会
第1章 昭和55年元十両・四季の花
第2章 昭和63年双羽黒の付け人
第3章 平成8年元・大鳴戸親方~刑事告訴
第4章 平成8年板井の付け人
第5章 平成9年高見旺~不起訴



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