「ハイツひなげし」古川 誠
2018/12/26公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★☆☆(71点)
■東京の郊外にある「ハイツひなげし」に住む
10人の住民の人生を語る小説です。
ある人は母を亡くし、
会社に行けなくなる。
ある人はミュージシャンを目指し
挫折し、次の道を歩もうとしている。
また、ある人は校正の仕事をしながら
小説を書こうとしている。
■面白いのは、
それぞれの人生があり、
それぞれの人が悩んでいる
ということでしょう。
成功し幸せそうな人も
悩みはある。
人とは孤独なものです。
孤独がゆえに、人との
コミュニケーションが
大事になるのでしょう。
・もうこの年になるとそれが正義だったかなんて、
どうでもよくなってきました。
そこにあったのは正義か悪かとかじゃなくて、
ただの選択だったんじゃないかって、
もちろん、そう思えるまでに
だいぶ時間がかかりましたけどね(p76)
■自分では解決できないことも
人との会話の中で
何か得られるものがあるものです。
いずれにしろ、
自分の人生は自分で判断し
決断しなければならない。
そういえば「ハイツひなげし」の
住民はみな独身。
結婚を考えてみてはどうでしょうか。
古川さん
良い本をありがとうございました。
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■この本で私が共感したところは次のとおりです。
・お昼休みに外に出てみると、
たくさんの人が生き交うこの広い世界の中で、
わたしはひとりで行き場をなくしてしまったような
寂しさに襲われた。
わたしのことを本気で考えてくれる人は、
もう誰もいない(p11)
・でも本屋さんで本に囲まれていると、
もうひとつ襲ってくる感情がある。
それは、そこになるのはわたしが
まだ読んだことのない本がほとんどで、
わたしの知らない世界がまだこんなに
あるのだという畏れのようなもの(p27)
・もしそれを悔いているのなら、彼のことを思い出して、
毎年忘れずにお墓参りに行ってあげたら
いいんじゃないでしょうか。忘れないこと。
それだけが今からできることじゃないんですか?(p239)
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【私の評価】★★★☆☆(71点)
■目次
1話 7号室 露草雫
2話 1号室 丸山夏
3話 10号室 香田次郎
4話 3号室 矢野恭平
5話 2号室 小松ふゆみ
6話 6号室 吉田真之介
7話 9号室 多田良雄
8話 4号室 葛西沙織
9話 5号室 袖島正一
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