「還暦ルーキー 60歳でプロゴルファー」平山 譲
2018/01/08公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★★☆(85点)
■古市忠夫という
プロゴルファーがいます。
彼は55歳のとき
阪神淡路大震災に自宅で被災し、
自分のカメラ店を失いました。
消防団員の彼は、
火災が近づく自宅を省みず
延焼していく火災への対応で
周辺地域を走り回ります。
その後も、災害に強い街づくりのため
地域の意見をとまとめ
区画整理を決めました。
すべてが終わってみれば
手元に残ったのは自宅を新築したため
2000万円という借金だけだったのです。
・震災後に忠夫は、「三つの顔」を見た。茫然自失して動かずにいる人の顔。他人のことはかえりみず、自分のためだけに動く人の顔。そして自分のことはかえりみず、他人のためだけに動く顔。どれも人間らしい、自然の顔なのだと思った・・忠夫は自らのことをすべて後まわしにした(p114)
■震災で家は失ったものの、
車とゴルフ道具だけは
奇蹟的に残りました。
何が奇蹟かといえば、
震災の1ヵ月前に地主から言われて
駐車場を移動しておいたおかげで、
車が火災から避けることができた。
さらに、傷がつかないように
自宅に保管していたゴルフバックが、
なぜか車のトランクに入っていた。
なぜゴルフバックを車に
置き忘れたのかは
わかりませんでした。
ただ、神さまがゴルフクラブだけは
自分に残してくれた。
それで、著者はなぜか
ゴルフで食べていこうと
決意したのです。
・俺は仕合せもんや・・テストに受かる、受からんやない、ゴルフをできる、ただそれだけで、俺は仕合せもんなんや(p146)
■そして著者は60歳にして
プロテストを受験しました。
毎年、上位50位タイ以上で合格という
狭き門で、60歳のおじさんが
受かるはずのないテストなのです。
そしてプロテストは
ドラマのように合格。
著者の人生とは、
何なのだろうかと思いました。
人のために生きる。
やりたいという直観に生きる。
それに挑戦できていることに感謝する。
ゴルフコースに向かって
一礼する著者の姿が目に浮かびました。
古市さん
良い本をありがとうございました。
■この本で私が共感したところは次のとおりです。
・ぼやいたらあかん、年とったと泣き言を口にした瞬間から、人は老いていくんや、俺、年とったと思たことないで、朝から晩までゴルフしたって、いっこもしんどくないで(p50)
・おまえ、落ちてみい・・崖にしみがみついているその二本の指を、離してみい・・俺はな・・受かるやの、落ちるやの、そないな結果を考えてゴルフしとらんで、俺、最初から、手ぇ離しとるで、手ぇ離して、自由に動かしてゴルフしとるで(p165)
・俺、満足してしまいたくないんや、ゴルフでも、人生でも、満足してしまいたくないんや・・六十歳になっても、もっともっとゴルフが上手うなりたいし、七十歳になっても、もっともっと眼ぇ輝かせて人生歩きたいんや、そやから、今も、夢を追いかけてんのや(p167)
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【私の評価】★★★★☆(85点)
■目次
鈍色の一番ティー
哀愁のサンデーゴルファー
神戸市長田区鷹取商店街
平成七年一月十七日
瓦礫とゴルフバッグ
二つの復興
最後のプロテスト
黄昏色の十八番グリーン
神戸からのティーショット