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「電力と国家」佐高 信

本のソムリエ 2017/12/17メルマガ登録
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電力と国家 (集英社新書)


【私の評価】★★☆☆☆(65点)


要約と感想レビュー

 電力業界の歴史についてまとめた一冊です。類書は多いのでそうした本を基に書いているようです。何が云いたかったかといえば、原子力発電をやることになった経緯なのでしょう。


 原子力発電の良いところと、悪いところは電力会社もわかっていました。原子力を国策としてやることになったとき、無責任な役人に任せるより、自ら原子力をやると判断したのです。そうした覚悟があったのなら、千葉にでも原発を作れば、しっかりした原子力発電所ができたのかもしれませんね。


 佐高さん、良い本をありがとうございました。


この本で私が共感した名言

・やっと釈放された松根のために新橋で慰労会をしてやったのが、松永安左エ門であった。・・「松根君、人間は死ぬような病気の経験もなく、命がけの恋愛をせず、くさい飯をくったことがないのでは大した人間にはなれぬ。君は願ってもない経験をしたのだ」(p63)


・「身を挺することを知らないお役所仕事で、電力事業などできるわけがない。官僚にできるのは、電力と国を滅ぼすことくらいだ」と、隠遁した山荘で、茶をたてながら、つぶやいていたという松永安左エ門。その予言は、ほどなく的中する(p75)


・関東配電常務・木川田一隆・・「過当競争と国家統制との弊害を身をもって経験したわたくしの結論は、人間の創意工夫を発揮するためには、民有民営の競争的な自由企業とすること」という信念のもと、松永安左エ門らと九電力体制を作り上げていくのである(p107)


・松永が次の取り組んだのは、電気料金の改定という大仕事だった・・「もし政府案の3%という低率では日本経済の復興は期しがたい。米国で電源開発資金について話し合う折りは8%を主張してほしい」・・(p125)
 

・松永は各社首脳を集め、「適正原価にもとずく採算可能な電気料金」の算出を命じた。その際、減価償却を定額法でなく定率法で実施するよう言い渡した。各社が、公益委に出した値上げ申請率は、平均76%であった(p126)


・GHQは定額を主張し、それによって値上げ率を切りつめると値上げ幅は平均30%となり、8月に実施された・・そして翌27年5月に、電力九社は再度、平均28.8%の値上げをした。このときも非難轟々だったが、公益委の認可が下りた以上どうにもならなかった(p130)


・当時、原子炉の受け皿をどこにするのか、政府内で対立が起っていた。原子力委員長の正力松太郎は、迅速かつ柔軟な対応が可能な民間企業を受け皿にすべきだと主張し、経済企画庁長官・河野一郎は、まだ不安定要素が多い原発は、国家機関で慎重に行うべきだと主張していた(p138)


・日本原子力産業会議の代表常任理事だった橋本清之助・・「われわれ原子力関係者は社会とファウスト的契約を結んだ。すなわち、われわれは社会に原子力という豊富なエネルギー源を与え、それと引きかえに、これが抑制されないときに、恐るべき災害を招くという潜在的副作用を与えた」と。(p142)


・日本航空は倒産させ、会社更生法によって再建を図っている。どうして東京電力は倒産させられないのか。資本主義の社会のはずなのに、突如そうではなくなる日本の縮図を見たような東電の株主総会だった(p170)


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【私の評価】★★☆☆☆(65点)



目次

第1章 国家管理という悪夢―国策に取り込まれた電力事業
第2章 誰が電力を制するのか―「鬼の棲み家」で始まった民の逆襲
第3章 九電力体制、その驕りと失敗―失われた「企業の社会的責任」
おわりに 試される新たな対立軸


著者紹介

 佐高信(さたか まこと)・・・1945年山形県酒田市出身生まれ。慶応義塾大学法学部卒業。高校で赤軍派教師と呼ばれ、総会屋系経済誌「現代ビジョン」編集長を経て、評論家。社民党社会党を支援する。


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