「なぜ2人のトップは自死を選んだのか」吉野 次郎

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なぜ2人のトップは自死を選んだのか

【私の評価】★★★☆☆(75点)


■相談役、社長が
 相次いで自殺した
 JR北海道を取材した一冊。


 二人が自殺した原因は、
 何だったのでしょうか。


 まず、
 JR北海道は民営化の時点で、
 赤字を運命づけられていました。


 そのために、
 赤字を補てんする6800億円の
 経営安定基金が準備されたのです。


赤字の規模は毎年500億円・・・
 現在、(経営安定基金)運用益は
 当初の半分の250億円程度まで落ち込んでいる。
 だが、「廃線」の2文字は依然として
 経営のタブーとして残る(p91)


■金がないなら、
 知恵を出すしかありません。


 しかし、現場は組合が強く
 組合の了解がなければ、
 物事が決まらない状況です。


 そうした中で、
 人員削減、コスト削減
 続けてきました。


 結果して、
 脱線事故、設備トラブルが
 頻発することになるのです。


・「真っ先に戦線を離脱することをおわびいたします」
 普通、経営者が「戦線」と言えば、
 ライバル企業との戦いを指す。
 だが、中島にとっての戦場は、
 トラブルを繰り返す社内に存在した(p7)


■金はない。


 国の支援もなく、
 赤字路線の廃線はできない。


 現場も組合で動かない。


 政治家・この本のようなマスコミ・
 従業員は文句を言うだけ


 経営者として
 どうすればいいのかわからない。


 だれも助けれくれないし、
 理解もしてくれない。


 その時、残った選択肢が、
 自殺しかなかったのでしょう。


 吉野さん、
 良い本をありがとうございました。


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■この本で私が共感したところは次のとおりです。


・国鉄時代の1970年代、組合は現場協議制を
 利用して職場支配を強めていく。
 現場管理職は組合との現場協議を経ないと
 物事を進められない
状態になった。
 協議がつるし上げの場と化し、多数の
 現場管理職が自殺に追い込まれるなど、
 職場は荒廃した(p66)


・函館線大沼駅構内で18両編成の貨物列車が
 脱線した。・・脱線現場のレール幅のズレを
 「39mm」から「25mm」に書き換えた・・
 レールの異常放置と検査データの改竄が
 繰り返されていた(p34)


・JR北海道は、JR貨物からわずかな
 「線路使用料」しか受け取っていない・・
 「アボイダブル・コスト・ルール」という
 計算方式を導入したからだ(p28)


・札幌保線管理室の社員は、
 「保線の現場では人員が明らかにたりない。
 利用客の少ない区間では、枕木などの資材も
 満足に割り当てられていない」と明かす(p10)


赤字路線を維持する以上、運用益の減少は
 コスト削減でカバーするしかない。
 JR北海道の経営陣が目をつけたのが、
 人件費と設備の補修費だった・・
 2010年度は1996年度比でレール維持費が11%、
 車両維持費が9%ほど少ない。(p94)


・3つある少数派組合を「仲間外れ」にする・・
 飲み会には呼ばないし、仕事も教えない、
 会話もしない。・・・
 「お前、キタロウ(北労)か」と侮蔑したり、
 取り囲んで所属組合の変更を迫ったりする実態も、
 裁判で明らかになっている(p143)


なぜ2人のトップは自死を選んだのか
吉野 次郎
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【私の評価】★★★☆☆(75点)



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■目次

第1章:胚胎 JR北海道の三重苦
第2章:堕落 動労トップのコペルニクス的転回
第3章:呪縛 政治にもてあそばれた赤字路線
第4章:傾倒 「夢」の犠牲になった安全運行
第5章:対立 労働組合に分断された滑稽な職場
第6章:挫折 JRタワー、都市開発路線の功罪
第7章:審判 "再国鉄化"に未来はあるか?


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