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「やっぱり! インフレがやって来る 」澤上 篤人

2014/08/15公開 更新
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やっぱり!  インフレがやって来る (アスカ・ビジネス)


【私の評価】★★★☆☆(70点)


要約と感想レビュー

 この本では、投資顧問会社社長が、日本の経済について自分ならどうするかを教えてくれる一冊です。


 まず、バブル崩壊は、人災であるというのが著者の感想です。あれだけ高値を付けた不動産に取引規制をするのですから、一気にバブルは収縮しました。土地と株価を担保とした経済は、大蔵省と日銀の手によって、泡と消えたのです。


・後手後手の金融引き締め政策と、懲罰的な土地取引の総量規制が、地価や株価の暴落を必要以上に加速させてしまった(p32)


 経済活性化のためには、規制緩和や民営化が必要です。つまり、役人が経済をコントロールしない、ということです。現場の経済を知らない素人が、経済運営に口を出すから失敗するし、失敗してきたのです。できるだけ、自由な経済活動が、最終的には妥当なバランス点に落ち着くものであるということです。


・市場経済の要諦は「お金」と「モノ」を動かすこと・・新規参入者にも広く門戸を開き、自由闊達な競争をさせるのが一番。(p96)


 著者の提案は、納税者番号制度を導入と所得税減税です。法人税25%と租税特別処置法廃止。ところが、財務省は消費税増税を行うでしょう。


 当然のことですが、最終的には国がどうであろうと、国に頼らず個人個人がしっかりお金を稼ぐしかありません。澤上さん、良い本をありがとうございました。


この本で私が共感した名言

・「金融機関の立て直しには、公的資金投入もやむなし」とする世論形成にまで漕ぎつけていった・・放漫経営の後始末が国家事業にすり替えられ・・「日本の金融界の他力本願おねだり力、とりわけ族議員をつかった政治力はお見事」(p42)


・時々刻々と参加者の間で利害調整がなされてい行くのが経済活動である・・・日本の場合、秩序維持とか社会安定といった表現が、経済の現場にもひんぱんに顔を出す。秩序とか安定とかいうが、その実体は既得権擁護と競争抑制である(p53)


・旧国鉄民営化が議論されていたころ、旧国鉄所有地の売却が検討された・・・公開入札に出せば土地投機を煽るだけ、という反対意見が続出して結局は売却見送りとなった・・・土地投機が好ましくないのなら、土地の供給を増やしてやればよい(p86)


・80年代に入って、「日本人は働きすぎだ」ということで、国を挙げての「のんびり生きよう」キャンペーンが本格化した・・国民が働かなくなって栄えた国など、歴史上どこにもないというのに・・(p136)


・大事なのは、暴落相場など株価の大幅下落時にしっかり買いをいれること。投資なんて安く買って高く売るだけのこと。(p212)


・官営のビジネスは効率が悪くコスト高で、スピードも鈍い・・・規制緩和や民営化がどれほど重要か(p229)


▼引用は下記の書籍からです。
やっぱり!  インフレがやって来る (アスカ・ビジネス)
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澤上 篤人
明日香出版社
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【私の評価】★★★☆☆(70点)


目次

第1部 どうして「失われた20年」になってしまったのか?
第2部 生活防衛に立ち上がろう



著者経歴

 澤上 篤人(さわかみ あつと)・・・ 1947 年 3 月28 日生まれ。さわかみホールディングス代表取締役、さわかみ投信会長。1971 年から 1974 年までスイス・キャピタル・インターナショナルにてアナリスト兼ファンドアドバイザー。その後 1979 年から 1996 年までピクテ・ジャパン代表を務める。1996年にさわかみ投資顧問(現さわかみ投信)を設立。販売会社を介さない直販にこだわり、長期投資の志を共にできる顧客を対象に、長期保有型の本格派投信「さわかみファンド」を 1999 年から運営している。同社の投信はこの 1 本のみで、純資産は約 3300 億円、顧客数は 11 万 5000 人を超え、日本における長期投資のパイオニアとして熱い支持を集めている。


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この著者の本


コメント(1)

毎日、参考にさせていただいています。

 ふと気づいたのですが、本の出版年度を記載していただけると、ありがたいです。
 例えば「最新~」という本でも、今から10年・20年前だと、こちらの受け止め方も変わってきますので。

 今後も美味しい本をいろいろ紹介して下さいね。

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