「商店街再生の罠」久繁 哲之介

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商店街再生の罠:売りたいモノから、顧客がしたいコトへ (ちくま新書)

【私の評価】★★★★☆(82点)


■地域再生プランナーとして、
 シャッター商店街とお役所を見てきた
 著者の率直な感想です。


 そこには、やる気のない商店街と、
 やる気のない公務員がいました。


 商店街は、面倒くさいことはしたくないが、
 補助金が欲しい。


 公務員は、自分では商店街を使わないのに、
 商店街を元気にする企画を考えている。


 これでは成果が出るはずもない。


・公務員が机上で作文した論理的には美しい計画書が、
 全く実現しない理由・・・
 自分が利用したくないものを、市民が利用するはずがない・・
 だから、成功事例の表面的な模倣しか頭に浮かばない(p132)


■現状を要約すると、
 公務員は評判になっている事業を視察して、
 同じような事業を計画し、予算を取ってくる。


 商店街はそれに乗っかり、
 他県で成功した観光客向けの施設ができる。


 しかし、周囲の商店街はあいかわらず
 シャッターが下りている。


 そもそも、観光客向けの事業ですから、
 地元の顧客は戻らないのです。


 計画した公務員も商店街も、
 その結果どうなるか真剣に考えているわけではなく、
 考えるだけの経験や能力があるわけでもなく、
 成果に責任を持っているわけでもないのです。


・大分県豊後高田市の「昭和の町」・・・
 昭和ロマン蔵の周辺と、食べ歩きができる商品を
 扱う店には、観光客が少しは居るのですが、
 そこから離れた場所は「シャッター商店街」(p21)


■シャッター商店街の原因は、
 事業用宅地の相続税が安いためという
 結論が印象的でした。


 そして、著者がお勧めするのは、
 まず自分で現場を見て、考えること。


 施設ではなく、人のつながりで
 人を集客すること。


 そうした仕組みがある程度できたら、
 それを支えるために補助金が
 あってもいいという考え方です。


 こんな補助金や公共事業はいらない!
 という著者の叫びが聞こえるような一冊でした。


 久繁 さん、
 良い本をありがとうございました。


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■この本で私が共感したところは次のとおりです。


・東京都江東区の亀戸香取勝運商店街・・・
 レトロ化の事業総額は約2億6000万円、
 うち8割(2億1000万円)が補助金・・
 1店あたりの補助金額は約750万円になります・・
 日曜日が定休日の店は約4割・・
 よその観光地で成功したと言われる事例の表面だけを
 安易に模倣したのでしょう(p47)


・商店主の努力不足を「自治体の(予算を獲得したい)都合」
 が加速させた・・・本音は「役所の予算を獲得したい都合、
 役所の実績づくり
」にあります(p52)


・ダメな商店街は、個店に意欲・工夫がないまま、
 いきなり「商店街の個店が平等に結果・利益を
 得られるような取組」だけを実施したがります(p71)


・多くの自治体職員や議員は、「ググる」程度の
 事前準備すらしないで公費で視察に何回も行きます
 そして、視察に行っては「ググれば調べられる程度の
 表層的な質問」をして、現地案内人から「非常識な人
 (能力と意欲のない人)」と呆れられている(p146)


・80%の商店主は「そんな面倒なこと、できない」と言い、
 自治体に次の支援を要求。・・・
 20%の意欲ある商店主で取組を始めてしまう(p174)


・シャッター商店街の本質は節税・・・
 事業用宅地(店舗兼住宅)を事業継承する場合の
 相続税は、事業用宅地400m2までが
 評価額を20%に減額して優遇されます(p178)


・交流戦略は「人の繋がり、コミュニティの強さ」
 を活かした顧客づくりです。(p197)


商店街再生の罠:売りたいモノから、顧客がしたいコトへ (ちくま新書)
久繁 哲之介
筑摩書房
売り上げランキング: 56,654

【私の評価】★★★★☆(82点)

■目次

第1章 レトロ商店街の罠
第2章 キャラクター商店街の罠
第3章 B級グルメ商店街の罠
第4章 商店街を利用しない公務員
第5章 意欲が低い商店主
第6章 再生戦略1 「シェア」で、雇用・起業を創出
第7章 再生戦略2 「地域経済循環率」を高めて、第一次産業と共生
第8章 再生戦略3 趣味を媒介に「地域コミュニティ」を育成


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