「USJのジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか?」森岡 毅
2014/07/18公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★★☆(88点)
要約と感想レビュー
ハリーポッター投入で非常に元気なユニバーサル・スタジオ・ジャパンですが、ハリーポッターは著者の森岡さんが計画したものです。マーケティング執行役員として、アイデアを連発して、入場者数を年間700万人→1000万人に引き上げました。今年はハリーポッターが投入されますので、1200万人はいくのではないでしょうか。
ハリーポッターを導入したのは、家族客を集めるという明確なマーケッティングの戦略から行っています。そして関西以外から顧客を集め、百万人単位で来客数を増やしていこうという戦略です。
・1段目のロケットは、・・「家族連れ客(ファミリー)」を取り込むこと。2段目のロケットは、遠方からゲストを集客できる「ものすごい何か」を作って関西依存の集客から脱却すること。・・3段目のロケットは・・・(p26)
アイデアの源泉は、森岡さん自身がゲームやパークが好きであることでしょう。そして世界の娯楽施設を見て体験していることも、プロとして素晴らしい。インプットがはんぱないのです。
USJと恐竜ゲーム「モンスターハンター」とコラボ企画をするときには、執行役員の著者自ら「モンスターハンターポータブル 2nd G」を買い込んで、自分自身で「モンスターハンター」をやっています。そして、ファン視線でUSJで感動してくれるかどうか検証しているのです。
そして、アイデアだしでは、目的と条件を設定したうえで、徹底的に考えています。考えすぎて歩いていて、頭をぶつけることもあるという。ここまでやっているマーケッターがどれだけいるでしょうか。
・真っ先に私がやったことは、アイデアが世の中に落ちていないか調べることでした。世界中のパークやエンターテイメント施設でやっていることをもう一度理解して、我々のリノベーションに応用・・(p126)
クリスマスツリーを設置する企画があれば、いっそのこと、世界一のクリスマスツリーにしています。高さ36メートルのツリーを設置し、ギネス認定まで取得しています。
これだけのアイデアマンの森岡さんですから、いかに反対の人を説得したのか、もっと詳しく教えてほしいと思いました。上も下も反対でどうやって説得するのか。私の場合、どうしても引いてしまう場合が多いので、教えてもらいたいのです。やる気のない人は非常に強いので、修行が必要なのです。森岡さん、良い本をありがとうございました。
この本で私が共感した名言
・別料金(4000円程度)でゾンビに遭遇するイベントをひっそりとやっていた・・・アイデアは「ハロウィーン・ホラー・ナイト」として実現されました(p73)
・戦術段階での細部の注意が足らずに、せっかくのアイデアが実らなかったことがよくありました。・・絵にするところで失敗したり、大きなプロジェクトでTVCMまで強力に準備できたのに、店頭展開プランへの注意が手薄で勝利が半減・・(p188)
・後ろ向きコースターのアイデアがそんなに消費者にウケる素晴らしいアイデアならば、世界中にいるコースターの専門家が既に思いついているはずです。どこにもそんな後ろ向きの高速コースターが存在しないことを見れば、それをやらない方が良い理由が必ずあるはずです(p140)
KADOKAWA/角川書店
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【私の評価】★★★★☆(88点)
目次
プロローグ: 私は奇跡という言葉が好きではありません
第1章: 窮地に立たされたユニバーサル・スタジオ・ジャパン
第2章: 金がない、さあどうする? アイデアを捻り出せ!
第3章: 万策尽きたか! いやまだ情熱という武器がある
第4章: ターゲットを疑え! 取りこぼしていた大きな客層
第5章: アイデアは必ずどこかに埋まっている
第6章: アイデアの神様を呼ぶ方法
第7章: 新たなチャレンジを恐れるな! ハリー・ポッターとUSJの未来
エピローグ: ユニバーサル・スタジオ・ジャパンはなぜ攻め続けるのか?
著者経歴
森岡毅(もりおか つよし)・・・1972年生まれ、神戸大学経営学部卒。1996年、P&G入社。日本ウィダルサスーン、北米パンテーンのブランドマネジャー、ウェラジャパン副代表等を経て、2010年にユー・エス・ジェイ入社。革新的なアイデアを次々投入し、窮地にあったUSJをV字回復させる。2012年よりUSJチーフ・マーケティング・オフィサー、執行役員、マーケティング本部長。2017年にUSJを退社し、マーケティング精鋭集団「刀」を設立。
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