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「平時の指揮官(リーダー) 有事の指揮官(リーダー)―人を動かすには、何が必要か」佐々 淳行

2013/11/22公開 更新
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平時の指揮官(リーダー) 有事の指揮官(リーダー)―人を動かすには、何が必要か


【私の評価】★★★★☆(80点)


要約と感想レビュー

危機管理のエキスパート、佐々 淳行(あつゆき)さんの一冊です。危機とは、いつ起こるかわかりません。だから日頃の準備が必要となります。


ここでいう準備とは、危機にあってリーダーが決断できるのか。リーダーの決断に組織として行動できるのかということです。また、指揮官はつねに最悪な事態のことまで考えておく必要があるというのです。


・後藤田正晴元官房長官の「五戒」・・・
 一、省益を忘れ、国益を想え
 二、嫌な事実、悪い報告をせよ
 三、勇気を以て意見具申せよ
 四、自分の仕事に非ずというなかれ、自分の仕事であるといって争え
 五、決定が下ったら従い、命令は直ちに実行せよ(p145)


面白いところは、リーダーとして、部下の人心の掌握が大事であるということでしょう。そのために、部下の名前を覚える。自ら勉強する。だから部下がついてくるのです。


著者は新しい職場に着任したら、まず部下の人事記録を通読し、学歴、経歴、家族事情、資格技能、性格などを頭に叩き込んだという。ただし、前任者たちの勤務評定、性格分析などは、その人を知るうえでの一つの手掛かりであり絶対ではないというのです。リーダーとは、いかに人間的なものであるかということなのでしょう。


・ジュリアス・シーザーは、自己の軍団のすべての人を名前で呼ぶことができたと伝えられている(p105)


また、どこの組織にも必ず人の意見に逆らって片意地を張る人がいるものだという。上司としては、会議の席上、反対されたからといって怒ることはできません。異論を出されたら、すぐ「あなたならどうしますか?あなたの考えている代案を聞かせてください」と、相手に教えを乞う形で、問題を相手に投げ返せばいいというのです。


最後に、個人として必ず一つ研究問題を持っておくことが大事だと思いました。一つひとつ学び、一つひとつエキスパートになる。その積み重ねが、プロとしての厚みになるのだと思います。佐々さん、良い本をありがとうございました。


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この本で私が共感した名言

・衆議院議員・後藤田正晴氏(元副総理・元官房長官)は・・・自分の意見は言わずに自分の嫌いな人物、能力を評価していない部下のことを、「あれは、たいへんよい人物で仕事もできると思うが、君はどう思う?」と、わざと逆表現で意見を求める手法を用いるのが常だった(p112)


・『海軍次室士官心得』の「艦内生活一般心得」を読んでみよう。「つねに研究問題を持て。平素において、つねに一個の研究問題を自分にて定め、これに対し成果の捕捉に努め・・・(p179)


平時の指揮官(リーダー) 有事の指揮官(リーダー)―人を動かすには、何が必要か
佐々 淳行
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【私の評価】★★★★☆(80点)


目次

序章 現場指揮官の行動原理
第1章 「アフター・ユウ」と「フォロー・ミイ」
第2章 上司と部下の実践的・人間学
第3章 情報伝達の基本マニュアル
第4章 有事、リーダーは何をなすべきか
第5章 現場指揮官における「統率の原理」
付章 こんな上司は失格だ



著者経歴

佐々淳行(さっさ あつゆき)・・・1930年東京生まれ。東京大学法学部卒業後、国家地方警察本部(現警察庁)に入庁。目黒警察署勤務をふりだしに、警視庁外事・警備・人事課長、警察庁調査・外事・警備課長を歴任、「東大安田講堂事件」「連合赤軍あさま山荘事件」等では警備幕僚長として危機管理に携わる。その後、三重県警察本部長、防衛庁官房長、防衛施設庁長官等を経て、86年より初代内閣安全保障室長をつとめ、昭和天皇大喪の礼警備を最後に退官。以後は文筆、講演、テレビ出演と幅広く活躍


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