「ローマ法王に米を食べさせた男」高野 誠鮮
2012/10/05公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★★★(96点)
■テレビのアイデア放送作家が
石川県羽咋(はくい)市神子原(みこはら)地区という
過疎の村にやってきました。
その地区の農家の平均年収は87万円。
これでは、後継者はいません。
過疎になるのも当然でしょう。
そこで、
・集落の活性化
・農作物のブランド化
という目標に向けた5ヵ年計画を立てました。
・そして何より感動したのが、
「俺は定年まであと3年ある。
その間、何をやってもいいぞ。
犯罪以外なら、オレが全部責任を取る。」(p35)
■まず、集落の活性化です。
農家の家と遊休農地を
都会住民に貸し出すことにしました。
それもお金を出すのではなく、
村人による面接試験をする。
入村が決まれば、
村民が集まって飲み会をする。
さらに大学生など若い人に
農家に2週間泊まってもらう制度も開始します。
ニューヨークからも
学生が来ているんですよ。
・過疎地域に若い人を呼ぶ試み・・・
「お願いですから来てください」とは一切言いません。
頭は下げません。
「来るんだったらどうぞ、そのかわり試験します」(p43)
■次は農産物のブランド化です。
何をしたのか。
うまくいっている農産物の直売所を視察。
棚田のオーナー制度をはじめる。
農家カフェを作る。
棚田ひな祭りで集客。
天皇陛下へお米を献上。
ローマ方法へお米を献上。
エルメスの書道家に米袋をデザインしてもらう。
地元のお米で日本酒を造り、1本3万円で売る。
人工衛星で米の品質管理をする。
いやー、すごい行動力ですね。
・私たちに何が足りないのか?
行動する力がまったくないんです・・
計画書を1000冊積み上げても、
村は何一つ変化しないんです。(p29)
■放送作家のアイデアに驚き、
その行動力に驚愕しました。
そして、当然、予想される
役所の妨害。上司からの叱責。農家の反対。
そうした抵抗をものともしない
高野さんのしたたかさにも脱帽です。
高野さん、
良い本をありがとうございました。
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■この本で私が共感したところは次のとおりです。
・「そちらでは学生を泊めて、料金をもらっているんですよね。
法律違反ですから、ただちにやめてください・・・
石川県庁の薬事衛生課から5~6回呼び出しがありました。
1回も行きませんでした。そのかわり別の人間をやったんです。
・・・朝日新聞と読売新聞の記者を取材に行かせたんです(p68)
・「40kgの玄米を3万円で渡したのか。本当かよ!」・・・
当時、JAに出したら60kgで1万3000円ですよ。
それが40kgの玄米で3万円(p66)
・「みずほの村市場」には20人ほどの農家を連れて行きました。
・・・1つの品種は2人以上に作らせて競わせて売る・・・
出品者の取り分は85%・・・「農業でもこんなに儲かるんだ」
と、みんなは度肝を抜かれたようです(p60)
・JAに出したら数十円のかぼちゃが、
1.5次産業化させて切ったら値段が上がるんです。・・・
かぼちゃ1個から、かぼちゃプリン、かぼちゃのまんじゅう、
シフォンケーキなどさまざまなものを「神音カフェ」で売っています。
それらをすべて足すと、かぼちゃ1個で
だいたい1万円ちょっとの儲けになるんです!(p97)
・日蓮宗には、かつて若者に農業を教えた宮沢賢治がいました。
今になると、賢治の自立した農家を育てようとした気持ちが、
ほんの少しでもわかるような気がします(p211)
講談社
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【私の評価】★★★★★(96点)
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農業政策のあり方については、
いろんなメディアで取り上げられて
様々な情報が入ってきますが、
単に補助金をばら撒くだけでは駄目だなぁと
思っていたのですが、
この本をみて農業政策のあり方を政治家や官僚の方には
勉強して欲しいと思いました。
自分も是非読みたいと思いました。