【書評】「スティーブ・ジョブズ1」ウォルター・アイザックソン
2012/04/16公開 更新

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【私の評価】★★★☆☆(75点)
要約と感想レビュー
自分の作品を作り上げる
非常に売れている本ということで、読んでみました。既読感があったのは、すでに「スティーブ・ジョブズ神の交渉術」や「アップルを創った怪物」を読んでいたからかもしれません。
この本で新たに明確になったのは、ジョブズが自分の作品を作り上げるために、いかに人を罵倒しコントロールしようとしたかということです。その状況を見た人は、ジョブズの「現実歪曲フィールド」と表現しました。ジョブズは決して妥協せず、自分のイメージ、つまり最高を目指す人間なのです。
カリスマ的な物言い、不屈の意思、目的のためならどのような事実でもねじ曲げる熱意が複雑に絡み合ったもの・・それが現実歪曲フィールドです(p194)
部下は自分の作品を作る道具
現実歪曲フィールドではコストも、時間も、お金も、人の感情も、配慮すべきものではありません。部下は自分の作品を作るための道具でしかないのです。例えば、部下の部屋に入ってくるなり、『クソみたいなデザインだな』などと平気で言っていたという。
よく「なぜ日本ではジョブスが育たないのか」という論点がありますが、こんな人は日本にはいないでしょう。オレはすごい。天才だ。お前はアホだ。手伝わせてやってもいいぜ。こんな日本人はほとんどいませんよね。
なんとも不思議な誘惑の仕方で、『本当はお宅なんか必要ないんだけど』『我々はこんなすごいことをしている』と言われるわけですよ・・・『お宅は不要だけど、参加させてやらないこともないよ』という営業モードだったわけです(ゲイツ)(p274)
作品に署名を入れる
もし、『スティーブ、それはコストがかかりすぎます』とか『それは無理です』と言うと、『この役立たずが』と言われてしまうのです。ジョブズと話していると、自分がすごく頭が悪いような気になってしまうという。
すべてのマッキントッシュの内側には、関係者のサインが掘り込まれています。これはジョブズが「アーティストは作品に署名を入れるんだ」と、関係者全員に署名を求めたものなのです。
ジョブズは、多くの芸術作品を残して亡くなりました。ジョブズの思いどおりの人生だったのでしょう。合唱。
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この本で私が共感した名言
・私が出会ったころのスティーブは、恥ずかしがり屋でおとなしく、引っ込み思案な男でした。売り込みの技術や、自分の殻を破り、積極的に行動して状況をコントロールする方法などは、ロバートが教えたのだと思います。(コトケ)(p78)
・どうすれば相手がすくむのかがわかってしまうのです・・かなわない相手だと思うと弱気になり、彼に認めてほしいと願うようになります。そうなったとき、褒めて祭り上げれば、あとはもう意のままというわけです(ジョアンナ・ホフマン)(p198)
・スカリーは、ふたりが似ていると感じた。「彼には、自分が若いころのイメージを重ねて見ていました。私もせっかちで頑固、傲慢で性急でした。アイデアが次から次へと湧いてきて、ほかのことをみんな押し流してしまったのです。期待に応えてくれない人には、私も容赦しませんでした(p245)
【私の評価】★★★☆☆(75点)
目次
第1章 子ども時代 捨てられて、選ばれる
第2章 おかしなふたり ふたりのスティーブ
第3章 ドロップアウト ターンオン、チューンイン
第4章 アタリとインド 禅とゲームデザインというアート
第5章 アップル1 ターンオン、ブートアップ、ジャックイン
第6章 アップル2 ニューエイジの夜明け
第7章 クリスアンとリサ 捨てられた過去を持つ男
第8章 ゼロックスとリサ グラフィカルユーザインターフェース
第9章 株式公開 富と名声を手にする
第10章 マック誕生 革命を起こしたいと君は言う......
第11章 現実歪曲フィールド 自分のルールでプレイする
第12章 デザイン 真のアーティストはシンプルに
第13章 マックの開発力 旅こそが報い
第14章 スカリー登場 ペプシチャレンジ
第15章 発売 宇宙に衝撃を与える
第16章 ゲイツとジョブズ 軌道が絡み合うとき
第17章 イカロス のぼりつめれば墜ちるだけ
第18章 ネクスト プロメテウスの解放
第19章 ピクサー テクノロジー・ミーツ・アート
第20章 レギュラー・ガイ 凡夫を取り巻く人間模様
第21章 『トイ・ストーリー』 バズとウッディの救出作戦
著者経歴
ウォルター・アイザックソン(Walter Isaacson)・・・1952年生まれ。ハーヴァード大学を経て、オックスフォード大学にて学位を授与。英国『サンデータイムズ』紙、米国『TIME』誌編集長を経て、2001年にCNNのCEOに就任。ジャーナリストであり伝記作家。2003年よりアスペン研究所理事長。ベストセラー『ベンジャミン・フランクリン伝』『アインシュタイン伝』『キッシンジャー伝』などがある。
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この人は天才だ、と確信。
ただし、自分の身の回り(会社の上司とか彼氏とか)には
いて欲しくない人間だなぁ、と(笑)
携帯をスマホに変えようと思っていた矢先に読んでしまい、
ドコモを解約しiPhoneに乗り換えました。
この天才がこれほどの情熱と時間と才能を使って作った製品を、使ってみたいと思ったからです。
「iPhoneが気に入らなかったら、
ディナーをごちそうするよ」
という名言があるそうですが、残念ながら
ジョブズにディナーをご馳走になることはで
きなさそうでした。
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