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「バウドリーノ」ウンベルト・エーコ

2011/04/24公開 更新
本のソムリエ
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バウドリーノ(上)バウドリーノ(下)


【私の評価】★★★☆☆(77点)


要約と感想レビュー

12世紀、中世、十字軍の時代、神聖ローマ皇帝フリードリヒの生涯を、そのフリードリヒの養子バウドリーノが歴史家ニケタスに語るのです。塩野七生さんの本で十字軍の時代は読んでいましたが、どうしても表面的になりがちでした。


その点、歴史小説のようなこの本なら、当時のキリスト教の権力争いや、当時のローマやパリのイメージがふくらみます。


・コンスタンティノープルに比べれば、ローマは瓦礫の山、パリは泥だらけの村にすぎません・・(p44)


当時は、権力を得るために、武力と権威を使っていました。戦争に負ければ、略奪、虐殺される。地球が丸いのか、平坦なのか、わからなかった。中世を身近に感じることができるのです。


震災避難中にて、適当な書評ですみません。エーコさん、良い本をありがとうございました。


この本で私が共感した名言

・世俗世界は・・・嘘しかつかない嘘つきを断罪するが、このうえなく大きなことについての嘘をつく詩人を賞賛する。(p59)


・善をなすために皇帝は権力を行使できるが、権力を保つには悪をなさねばならないのです(p326)


・司祭ヨハネはきっと実在している、ペルシャ人とアルメニア人の土地の向こう側に・・・フリードリヒを東方へかりたてよ(p76)


・人生があまりにも短く、世界じゅうを移動することがかなわない以上、それらを知るには、あらゆる書物を読むしかないと悟るのです(p91)


バウドリーノ(上)
ウンベルト・エーコ
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バウドリーノ(下)
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【私の評価】★★★☆☆(77点)


目次

1 バウドリーノは書きはじめる
2 バウドリーノはニケタス・コニアテスに出会う PDF
3 バウドリーノは子供の頃に書いたことをニケタスに説明する
4 バウドリーノは皇帝と話し皇妃に恋する
5 バウドリーノはフリードリヒに賢明な忠告をする
6 バウドリーノはパリに行く
7 バウドリーノはベアトリスに恋文を〈詩人〉には詩を書かせる
8 バウドリーノは地上楽園を想像する
9 バウドリーノは皇帝を叱責し皇妃を誘惑する
10 バウドリーノは三賢王を見つけシャルルマーニュを列聖する
11 バウドリーノは司祭ヨハネのために宮殿を建てる
12 バウドリーノは司祭ヨハネの手紙を書く
13 バウドリーノは新しい町の誕生を目のあたりにする
14 バウドリーノは父親の牝牛でアレッサンドリアを救う
15 バウドリーノはレニャーノの戦いへ
16 バウドリーノはゾシモスにだまされる
17 バウドリーノは司祭ヨハネが手紙を書いた相手が多すぎることを発見する
18 バウドリーノとコランドリーナ
19 バウドリーノは自分の町の名前を変える
20 バウドリーノはゾシモスに再会する
21 バウドリーノとビザンツの魅惑
22 バウドリーノは父親を亡くしてグラダーレを見出す
23 バウドリーノは第三回十字軍へ
24 バウドリーノはアルドズルニの城に行く
25 バウドリーノはフリードリヒが二度死ぬのを見る
26 バウドリーノと賢王たちの旅
27 バウドリーノはアブハジアの闇に入る
28 バウドリーノはサンバティオン川を渡る
29 バウドリーノはプンダペッツィムに到着する
30 バウドリーノは助祭ヨハネと面会する
31 バウドリーノは司祭ヨハネの王国への出発まで待機する
32 バウドリーノは一角獣を連れた貴婦人に会う
33 バウドリーノはヒュパティアに会う
34 バウドリーノは真実の愛を発見する
35 バウドリーノ対白フン族
36 バウドリーノとロック鳥
37 バウドリーノはビザンツの宝物を増やす
38 バウドリーノは決着をつける
39 バウドリーノは柱頭行者になる
40 バウドリーノはもういない



著者経歴

 ウンベルト・エーコ(Umberto Eco)・・・1932年、北イタリアのアレッサンドリアに生まれる。世界的な記号論学者にしてヨーロッパを代表する知識人。評論・創作に幅広く活躍する


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