「動物保護運動の虚像―その源流と真の狙い」梅崎 義人
2011/04/25公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★★☆(84点)
■梅崎さんが、長年、動物保護運動を
取材してきてわかったことは、
環境保護運動のバックには、
金と権力と戦略を持ったアメリカの
資本家グループがいるということです。
そのグループは
68年にローマクラブを発足させ、
69年にアメリカで「国家環境政策法」を採択させ、
70年にアース・デイを開催させ、
71年に「成長の限界」を刊行し、
72年に第一回国連人間環境会議を開催させ、
73年にワシントン条約を制定した
74年に世界人口会議を開催し、産児制限を決議、
と計画的に活動しているのです。
・第一回国連人間環境会議で、
日本は商業捕鯨モラトリアム勧告の採択という
煮え湯を飲まされた。・・・
世界一の富と権力を手にしている
ロックフェラー・グループを中心とする、
アメリカの東部エスタブリッシュメントが
仕掛人である(p63)
■こうした流れのなかで、
大量の資金が環境保護団体に流れ、
環境保護団体は「成果」を出すために
キャンペーンを展開。
それは捕鯨反対であり、
アザラシ猟反対であり、
象牙の売買禁止でした。
・アザラシ猟反対キャンペーンは大成功に終わった。
カナダ東北、グリーンランドに住むアザラシの民、
イヌイットは唯一の換金商品である
アザラシ毛皮の最大市場を失い、経済的だけでなく
精神的にも大きな打撃を受けた(p135)
■私は、この本が主張するように、
ロックフェラーなどの資本家グループが、
有色人種の発展を阻止するために環境保護運動を行い、
人種差別を戦略的に行なったとは思いません。
たぶん、
まじめに環境保護運動を考えてきたのですが、
白色人種の国を攻撃することが
心情的に難しく、攻撃しやすいところを
攻撃しただけなのだと思います。
そうでなければ、これだけ国際的に
このような感情的なごまかしの論理で
恥ずかしい活動とその支援を
できるはずがありません。
情報を公開して、
現実を多くの人に知っていただき、
バランスの良い政策に修正されることを
願うのみです。
梅崎さん、
良い本をありがとうございました。
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■この本で私が共感したところは次のとおりです。
・われわれはクジラの次のキャンペーン用動物を探していた。
キャンペーンの対象になるのは、
身近な動物で親しみが持て、
しかもカリスマ性がなければならない。
(オーデュポン協会海洋資源部長カール・サフィーナ)(p238)
・1 まず、保護したい動物を大げさに美化する。
そして資源が絶滅しかけているという危機感を打ち上げて
国際世論を喚起する。
2 IWCや「ワシントン条約」の会議で、
多数派工作をして数の力で狙いを達成する。
3 ・・・抵抗を試みる国には、国内法による
制裁発動を持ち出し、無理矢理に従わせる(p9)
・日本は"絶滅"に瀕しているクジラを獲り続けており、
象牙とべっ甲を世界で一番多く買っている最も憎むべき国に
映るのだろう。クジラは資源に心配のないミンク鯨だけを獲り、
象牙とべっ甲は資源管理がしっかりしている国だけから
輸入している実態を、理解しようとはしない(p190)
・環境保護運動は・・・多くの犠牲者を出した。
日本の捕鯨業者、イヌイットのアザラシ猟師、
プリビロフ島のアリュート人、
象に依存するアフリカ山間地の住人、
タイマイ増殖事業に従事するキューバ人などが、
生活の基盤を奪われている(p265)
・ソ連、ノルウェー、アイスランド、スペインなどの白人
捕鯨国の席には目もくれず、唯一の有色人捕鯨国である
日本の代表団に向かって染料水をかけた・・・
アメリカが第二次大戦中に日本に原爆を落とし、
白人交戦国のドイツ、イタリアに落とす意図が
全くなかったのと同じことだ(大和勇三)(p19)
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【私の評価】★★★★☆(84点)
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