「グローバル・トレンド2025」米国国家情報会議編
2011/03/08公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★☆☆(76点)
要約と感想レビュー
■米国の国家情報会議が制作した
「2025年の世界情勢予測」です。
国家情報会議とは、情報機関からの情報をもとに
中・長期的な予測を行っている組織とのこと。
とくに中国、インド、ロシアに関する
記述が多く、これからの世界は確実に
多極化していくようです。
・継続する経済成長は、2025年までの12億人の人口増加と相まって、エネルギー、食料、水などの資源を圧迫するだろう(p11)
■面白いのは、
いくつかのシナリオを示し、
そのシナリオの結果、生ずるであることを
ドラマのように示していること。
一例とすれば、欧米が保護貿易を推進し、
中国とロシアが接近するというシナリオでは、
「上海協力機構の代表からNATO事務局長への手紙」
が創作とはいえ、面白いと思いました。
・中央アジアは、エネルギー確保のための激しい国際競争の場となっている。ロシアと中国は、(この地域に対する)外部の勢力、とりわけ米国の影響力を減らすために現在のところは協調的行動をとっているが、・・・中露両国間の競争は激化することもあり得る。(p133)
■将来の予測も面白いのですが、
こうした予測の報告の形式としても
面白いと思いました。
国家情報会議(NIC)の皆さん、
良い情報をありがとうございました。
この本で私が共感した名言
・食料の需要は2030年までに50%上昇すると予測している。安定した水の供給を確保する手段の欠如が、とくに農業用水に対して危機的な状況に達している(p20)
・近年の世界的な経済生産性の激増は、技術の進歩によるものと同様に、人的資源の育成-とくに成人女性や少女たちの保健衛生、教育、雇用機会の改善を通して-によってもたらされている。(p53)
・西ヨーロッパにおける現在のイスラム教徒の人口は合計で1500万人から1800万人である。最も多い割合である6~8%を占めるのは、フランス(500万人)とオランダ(およそ100万人)で・・・(p67)
・中国とインドが勢いを増し続ける可能性が高いと我々は考えるが、彼らの上昇気運は確実なものではなく、経済的および社会的な高いハードルを乗り越えることが必要だろう。このため、中国、インド両国は引き続き内政重視になるであろう・・・(p71)
・2025年までに中国は世界第2位の経済大国となり、有力な軍事大国となるであろう。そして、天然資源の最大の輸入国となり、また現在よりさらに公害をもたらす国となり得る。(p73)
・第1のシナリオ
現在の経済成長のパターンを続ける中国はますます日本の経済成長にとって重要となる。そして、日本政府は中国との良好な政治的関係を維持し日本製品の中国市場へのアクセスを増やすために努力するであろう。日本政府は2025年より前に中国政府との自由貿易協定を模索する可能性がある。(p82)
・中国の経済力の増加に加えてその軍事力の近代化計画は、近隣諸国の増大する懸念の原因になっている。(p179)
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【私の評価】★★★☆☆(76点)
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