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「木のいのち木のこころ」西岡 常一、小川 三夫、塩野 米松

2010/04/30公開 更新
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木のいのち木のこころ―天・地・人 (新潮文庫)


【私の評価】★★★★☆(87点)


要約と感想レビュー

樹齢2000年の檜を使う宮大工

法隆寺の宮大工として、法隆寺金堂、薬師寺金堂などの修復を行った西岡常一さんとお弟子さんの一冊です。樹齢2000年の檜を使う宮大工の世界に日本の技術のすごさを感じました。


まず、一つは宮大工は「木」の使い方を究めているということ。現在は、集成材やプレカットで合理化が進んでいますが、宮大工から見ると、木の個性を殺している。100年使える木を30年で殺しているということになるというのです。木の個性を生かせは、樹齢100年の木は100年使える。樹齢50年の木は50年使えるというのです。


木は人間と同じで一本ずつ全部違うんです。それぞれの木の癖を見抜いて、それにあった使い方をしなくてはなりません。そうすれば、千年の樹齢の檜であれば、千年以上持つ建造物ができるんです(p15)

三百年後の姿を思いながら造る

人の育て方も、本質を悟らせるために、簡単に教えるようなことはしません。刃の研ぎ方も、手本を見せるだけで、試行錯誤をするのは本人の努力次第。徒弟制度とは先輩をみながら、自分を磨いていく限りのない道なのです。


仮に檜を使って塔を造るときには、少なくとも三百年後の姿を思い浮かべて造っているという。三百年後には設計図通りの姿になるように考えて、木を組んでいくのです。だから本来は、職人が学者よりも上だという。職人こそが建物を考えて建て、それを学者が研究しているだけなのです。


おじいさんがよう言ってました。「言うて聞かせて、やって見せないかん」て。(西岡)(p86)

儲け仕事に走ったら心が汚れる

しかし、これだけの宮大工でも日当が2万円弱だったとは信じられません。そのために仕事のないときは農業をやって食いつないでいたというのです。儲け仕事に走ったら心が汚れるということで、民家は一軒も作らなかったという。公務員に税金から給料を払うのなら、宮大工に給料を払いたくなりました。


宮大工はいなくなっても、建物は千年以上残る。そして、その建物を見れば、志を持った人なら学ぶことができるそうです。西岡さん、よい建物と本をありがとうございました。


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この本で私が共感した名言

・丸暗記には根がありませんのや。根がちゃんとしてなくては木は育ちませんな。・・・人でも木でも育てるということは似ているでしょうな(西岡)(p94)


・おじいさんは私には一回も褒めんかったけど、母親には「よくやってる」というようなことを言うんです。それを私は母親の手伝いなんかしているときに、何気のう母親が伝えてくれるんですな。これが利きますのや。(西岡)(p99)


木のいのち木のこころ―天・地・人 (新潮文庫)
西岡 常一 小川 三夫 塩野 米松
新潮社
売り上げランキング: 1999


【私の評価】★★★★☆(87点)


目次

宮大工という仕事
木を長く生かす
木の二つの命
礎石の大切さ
木の触り心地
飛鳥の工人に学ぶ
古い材は宝もの
千年の命の木を育てる
宮大工棟梁の自然観
道具と大工の魂



著者経歴

西岡 常一(にしおか つねかず)・・・1908年生まれ。1995年没。法隆寺金堂、法輪寺三重塔、薬師寺金堂、同西塔などの復興を果した最後の宮大工。


小川三夫(おがわ みつお)・・・1947年、栃木県生まれ。高校のとき修学旅行で法隆寺を見て感激し、宮大工を志す。21歳の時に法隆寺宮大工の西岡常一棟梁に入門。唯一の内弟子となる。法輪寺三重塔、薬師寺西塔、金堂の再建では副棟梁を務める。1977年、独自の従弟制度による寺社建築会社「鵤工舎」を設立。数々の寺社建築の棟梁を務める。2003年「現代の名工」に選出。2007年棟梁の地位を後進に譲る


塩野 米松(しおの よねまつ)・・・1947年生まれ。聞き書きの名手で伝統文化・技術の記録に取り組んでいる。


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