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「木に学べ―法隆寺・薬師寺の美」西岡 常一

2012/06/02公開 更新
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木に学べ―法隆寺・薬師寺の美 (小学館文庫)


【私の評価】★★★★★(95点)


要約と感想レビュー

仕事は見て盗む

法隆寺の棟梁、西岡さんのインタビューをまとめた一冊です。1300年という歴史を持つ法隆寺と、それを支える宮大工の世界に、日本の職人のすごさを見ました。


木を見る目。道具を見る目。人間を見る目を鍛えるため、仕事は修行であり、職人の先輩は教えてくれません。新聞、雑誌禁止、本も読まず、ひたすら仕事をするのです。自分で技術を盗むしかないのです。


仕事とは『仕える事』と書くんですわな・・・塔を建てることに使えたてまつるいうことです・・・『千年もってくれ、千年もってくれ』と打つわけです(p14)

仕事は見て盗む

この本の面白さは、西岡さんが法隆寺と薬師寺を案内してくれることでしょう。


法隆寺や薬師寺は、石の上に柱を立てています。柱が腐りにくくしているのです。現代の家のようにコンクリートの上に、木を横に寝かして土台としたら、二十年もしたら腐ってしまうというのです。


また、同じ法隆寺でも、飛鳥時代のものもあれば、室町時代のものもある。構造、形状にも、それを作った宮大工のレベルがわかるのです。西岡さんはやはり飛鳥時代のものが好きなようです。


法隆寺は朝鮮系だし、ここ(薬師寺)は中国大陸の西安から直接入った新しい様式です。尺度が法隆寺のほうが"高麗尺(こまじゃく)"で、薬師寺は"唐尺"でした(p144)

仕事は見て盗む

昔の人からのアドバイスとして、大工は木と話し合いができねば、大工ではないと言われたという。同じように農民は、作っている作物と話し合いできねば農民ではないと言われたというのです。


奈良県に行きたくなりました。この本を片手に、法隆寺を歩きたい。西岡さん、良い本をありがとうございました。


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この本で私が共感した名言

・器用な人はどんどん前へ進んでいくんですが、本当のものをつかまないうちに進んでしまうこともあるわけです。けれども不器用な人は、とことんやらないと得心ができない。こんな人が大器晩成ですな(p186)


・仏教は自分自身が仏様であるそれを知らんだけだと。神も仏もみんな自分の心の中にあるちゅうことを言うてるんですわ。(p249)


木に学べ―法隆寺・薬師寺の美 (小学館文庫)
西岡 常一
小学館
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【私の評価】★★★★★(95点)


目次

第1章 千三百年のヒノキ
第2章 道具を遣う心
第3章 法隆寺の木
第4章 薬師寺再建
第5章 宮大工の生活
第6章 棟梁の言い分
第7章 宮大工の心構えと口伝



著者経歴

西岡常一(にしおか つねかず)・・・1908年、奈良県生まれ。祖父を師に大工見習い、棟梁としての心得、口伝を伝授され、法隆寺金堂、法輪寺三重塔、薬師寺金堂や西塔などの復元を果たした最後の宮大工棟梁。文化財保存技術者、文化功労者。1995年死去。享年86


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