「農協の大罪」山下 一仁

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農協の大罪 (宝島社新書)
【私の評価】★★★★☆(81点)


■多くの本を読んできましたが、
 農協を良く言う本を
 読んだことがありませんでした。


 農業へ参入しようとする人のジャマをする。
 自分で農産物を売ろうとすると妨害する。
 農業の指導ではなく、借金をさせようとする。
 この本でその理由がわかりました


・農協を通さずに直接スーパーなどに出荷しようとしたら、
 農協はこれらの農家の農協口座を閉じ、
 プロパンガスの供給を止め、
 共同利用の用水の使用を禁じ、
 文字通り『村八分』にした。
 こうした例は全国に無数にある(p88)


■著者が指摘する農協の大罪は、
 農協は農業を発展させることを
 目的としていないということです。


 農協の目的は、米の価格を税金で高く維持し、
 農家に高い肥料や飼料を売り、
 農家から資金を集めて、投資し、
 利益を上げることなのです。


 したがって、米の価格を高くするために、
 お金を払って減反もするし、
 外国からの安い米が入らないようにするわけです。


・「高米価」「兼業」「農地転用による巨額のキャピタルゲイン」
 という三種の神器により、米兼業農家の所得(792万円)は
 勤労者所得(646万円)を大きく上回るまでになったが・・・
 企業的農家の育成は妨げられ、
 農業は衰退した。(p64)


■日本の農業のGDP(国内総生産)は4.7兆円ですが、
 この金額は農業保護に使っている金額と
 ほぼ同じだそうです。


 つまり、農業関係者は税金をもらうだけで、
 付加価値をほとんど生んでいない
 ということなのです。


・農家戸数は285万戸、農協職員だけで31万人、
 農協の組合員は約500万人、准組合員は約440万人もいる。
 GDPに占める農業の割合は1%にすぎないのに、
 日本の成人人口の1割が農協の職員、組合員、
 准組合員ということになる。(p25)


■農業もここまできたか、という感じですが、
 外国から食料が来なくなったらどうするかについては、
 自分で考えなくてはならないのでしょう。


 庭で野菜でも作ってみます。
 本の評価としては、★4つとしました。


─────────────────

■この本で私が共感したところは次のとおりです。


・最初に農水省の課長補佐になったときの
 小さな出来事をいまだに思い出す。
 上司に「君は農協が農家や農業のために
 仕事をしていると思っているのか」と一喝された・・・
 農協による農協のための支配にうんざりしている
 農水省の同僚諸氏も多いのではないかと
 思っている(p204)


・元農協幹部が独自の農協を北海道で設立し、
 韓国から国内の3分の2の価格で肥料を輸入している。
 現在でも、JAの飼料価格は市場価格の
 4割高だったとか、農家が飼料や肥料を
 海外から輸入したら5分の1ですんだ
 という話もある(p86)


・同じように高い農産物価格で農家を保護した
 EU(欧州連合)は、作りたいだけ作らせて、
 できた過剰生産物に補助金をつけて
 国際市場へ輸出した。
 自給したうえで輸出するのだから、
 EUの食料自給率が100%を
 超えるのは当然である(p44)


▼引用は、この本からです。

農協の大罪 (宝島社新書)
山下一仁
宝島社
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5 本来の目的を忘れた巨大組織の権益
4 農協・農林族議員・農水省のトライアングル構造を切り口鋭く批判する
5 老衰する農業
5 お見事!
5 行政で農政担当者のバイブルになりうる本

【私の評価】★★★★☆(81点)



■著者紹介・・・山下 一仁(やました かずひと)

 1955年生まれ。77年農林省入省。
 農林水産省ガット室長、欧州連合日本政府代表部参事官、
 地域振興課長、農村振興局整備部長、農村振興局次長などを歴任。
 08年農林水産省退職。経済産業研究所、東京財団の研究員となる。


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