「国防」石破 茂
2005/09/13公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★☆☆(73点)
要約と感想レビュー
この防衛庁長官、目が据わってるな~(怖)と思ってテレビ番組を見ていましたが、国会議員にはめずらしく自分の言葉で話しているのが印象に残っていました。この本においても、よく勉強しているな、というのが第一印象です。
そして当たり前のことを、当たり前に言おうとしている意思の強さを感じました。例えば、国会議員は地元への利益誘導を行うのが仕事ではなく、国際政治や軍事、諜報などのもっとレベルの高い仕事をするべきであると主張しています。
著者は、平和とは軍事力の微妙なバランスによって、なんとか維持されていると主張しています。「お互いに戦争し合っても何も得るものがないね」という、軍事力の微妙なバランスのもとに平和があっただけのことということです。
私は、平和のために軍事力は必要であるという考えに賛成です。できれば、安く、強力な軍事力が理想なのでしょう。私がそういう考えになったのも、半年ほどスイスに滞在したからです。スイスは永世中立であり平和国家のイメージがりますが、成年男子には銃と弾が貸与されています。
つまり、すべての家に銃があるのです!!それに、あちこちに射撃訓練所があって、定期的に射撃訓練することが義務付けられています。スイスに、武器を持った工作員を送り込むのは、相当な勇気がいると思いませんか。命令があれば、みんな銃を手に出てくるわけですから。
それに対し、日本では自衛隊がマスコミや共産党から、暴力組織と非難されています。
著者は日本での徴兵制度は憲法違反であるとしていますが、国を守ることは非難されるものではなく、崇高な称賛されるべき仕事ではないかとしています。こうした国防について、理想と現実にはギャップがあること。そして、そのギャップを埋めるためには、国民の協力が必要であることを教えてくれる一冊です。
著者は国会議員が、「私は地元のために小使いとなって・・」なんてことばかりやっていては、この国は潰れる、と思ったそうです。目、いや腹の据わった著者の今後の頑張りを期待して★3つとしました。
この本で私が共感した名言
・日本政府の見解は、徴兵制度は憲法違反です。・・・国を守ることは、意に反する奴隷的苦役だと言い切っていいのでしょうか。(p154)
・アメリカとは「自衛隊がアメリカを守ることはしないが、米軍は日本を守る」という主旨の、非対称的な相互条約を結んでいるという関係なのです・・・こんな条約を結ぼうという国は、他に世界中どこにもないでしょう。(p47)
・潜水艦は十六隻と決まっており、それを十六年周期で一年一隻ずつ退役していきます。なぜかというと、川崎重工と三菱が毎年一隻ずつ造れるようにしているからです。あまりにおかしいので「潜水艦は十六年以上もたせる」ということになりました。(p188)
【私の評価】★★★☆☆(73点)
目次
第1章 いまそこにある危機
第2章 イラク戦争とは何だったのか
第3章 「軍事オタク」の履歴書
第4章 防衛庁長官の日常
第5章 テポドンは防げるか
第6章 貴方も国を守ってください
第7章 自衛隊のユーザーは国民である
第8章 自衛隊の緊急出動
第9章 対米追随とならないために
第10章 また会う日まで
著者経歴
石破 茂(いしば しげる)・・・ 1957年生まれ。大学卒業後、三井銀行に入行。29歳で衆議院議員。2002-2004年防衛庁長官を務める。現在、自民党国防部会・防衛政策検討小委員会委員長。
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