「金ではなく鉄として」中坊 公平
2005/09/14公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★★☆(80点)
●ぼんぼん育ちで、体が弱く、不器用、
人見知りの劣等生であった著者が、
強きをくじき弱きを助ける
辣腕弁護士になるまでの物語です。
著者は、弁護士として独立したとき、
事業の見通しが甘く、債務超過に陥ります。
残金が、客からの預かり金に足りないのです。
●そうした状況に落ち込みながらも、
なんとか仕事に打ち込むうちに、
工場の債務処理の仕事と出会います。
その工場の作業現場で作業員の仕事を見ていると、
作業員がやる気をなくし、
手を抜いているのが見えてきました。
そこで、弁護士である自分が一緒になって
仕事に手を出してみると、
作業員の目が変わってきたのです。
・発奮した工員たちと一致団結して浮上の道を進めたのも、
現場に立ち続けたから。根本原因の発見も、
再生の道も、すべてそこにあった。
現場には本当に金が埋まっている。(p114)
●自分は強くない、能力もない。けれども、
現場に出れば、本質が見えてくる。
このとき、自分の仕事のスタイルが
見つかったそうです。
●著者が言いたいのは、本の題名のように、
金は尊いけれども、だれもが金ではない。
でも、価値の低い鉄は、
それはそれで生きていける道がある
ということでしょう。
・それぞれが自分の道を求めていくことが、
「自立」なのではないか・・・
私は、「金メッキせんでも、鉄は鉄なりに、生きていけるで」
と、今の子どもたちにも親にも伝えたい。(p10)
●現地現物の大切さと、人間、頑張れば必ず道はある!
という勇気をいただきました。
著者の素朴な文章に人間の魅力を
発見しましたので、★4つとしました。
■この本で私が共感したところは次のとおりです。
・種イモを植えるのに、
植える深さまで掘ってイモを置くか、
それよりさらに深く掘ってから少し埋め戻し、
その柔らかな土の上にイモを置くか。
最後に土をかぶせた畑の表面に違いはない。
しかし収穫を迎えたときその差は確実に現れる。
「スキを深く入れろ」は、
今も私の口癖になっている。(p39)
・(禎さん)曰く「公平さん、つかむな、放せよ」。
執着しすぎると多くの場合失い、
そこから自由でいると、
不思議に結果としてついてくる(p73)
・人が本気で頼ってくれる、頼ってもらえる、
というのは、とてもうれしいことなんやね。
初めて知った。(p113)
・お父ちゃん、ワシの人生、どやったろな(p183)
岩波書店 (2002/02/25)
売り上げランキング: 31,415
【私の評価】★★★★☆(80点)
●著者経歴・・・中坊 公平
1929年生まれ。森永ヒ素ミルク中毒事件の原告弁護団長、お年寄りから
約2000億円を集め倒産した豊田商事事件では破産管財人を務める。住宅
金融債権管理機構の社長で不良債権の処理を進め、瀬戸内海の豊島(てしま)
の産廃問題では住民側弁護団長。
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