「バフェットからの手紙 - 「経営者」「起業家」「就職希望者」のバイブル」ローレンス・カニンガム
2005/04/27公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★★☆(87点)
要約と感想レビュー
書名のバフェットとは、世界一の投資家として知られるウォーレン・バフェットのことです。バフェット氏は自らが経営する投資会社バークシャー・ハサウェイ社の株主へむけて「会長からの手紙」を出しており、それをテーマ別にわけたのがこの本というわけです。
本のまとめかたとしては今一なのですが、「会長からの手紙」はバフェットの投資の考え方を感じる最高のテキストになっています。これまで読んだバフェット本では、バフェットの発言や言葉を引用するだけなので、バフェットの考え方をダイレクトに感じることができませんでした。
・私たちは株式売買益を目的として投資先を選ぶときも、企業全体を買収するときと同様の評価基準であたっています。(p152)
この本を読むと、株式投資と本の"せどり"(古書を仕入れてきて、それを転売する)は似ているな、と感じました。本当の価値よりも値段が安い本を見つけたらそれを買って、本当の価値よりも高くなったら売る。本当の価値を知っている人にしかできない芸当なのです。
・私たちが捜し求めているのは、いまから10年、20年後に、確実に傑出した競争力を持つであろうと私たちが信じる事業なのです。(p161)
バフェットが、「喜んで10年間株を持ち続ける気持ちがないのなら、たった10分でも株を持とうなどと考えるべきではない」というくらいですから、本当の価値を知っていなければならないのです。本当の価値を知っているからこそ、市場の価格変動に動じないわけです。
株をやっている人、やろうとしている人は買うべき一冊でしょう。たった2000円弱ですから、株の手数料を考えれば、買って損はありません。
この本で私が共感した名言
・過小評価された株式に関して最悪なのが買収に利用されることだとすれば、最良なのはそれを買い戻すことである。(p37)
・皮肉屋なら「株主への支払いを低く抑えれば、オプションを所有する経営者の利益は増える」とさえ言うかもしれません。(p108)
・ありきたりの商品を扱う事業において、規制がなければ、企業はコストを削減するか、さもなくば消え行くしかないのです。(p201)
【私の評価】★★★★☆(87点)
目次
プロローグ―株主に関する企業原則
第1章 ガバナンス(企業統治)
第2章 投資
第3章 選択肢
第4章 普通株
第5章 買収
第6章 評価
第7章 会計
第8章 税務
第9章 バークシャーの歴史
第10章 最後に
著者経歴
ローレンス・A・カニンガム(Lawrence A. Cunningham)・・・1992年より米ニューヨーク州マンハッタンのイェシバ大学ベンジャミン・N・カルドゾ・ロースクール教授。サミュエル&ロニー・ハイマンセンターのディレクター。 1998~92年までクラバス・スウェイン&ムーア法律事務所で会社法・証券法弁護士として活躍する。会計、金融、コーポレート・ガバナンスについての著書、論文多数。
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