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「患者よ、がんと闘うな」近藤誠

2004/06/10公開 更新
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患者よ、がんと闘うな (文春文庫)


【私の評価】★★★☆☆(77点)


要約と感想レビュー

 病院に行くと医師の話を「はい、はい」と了解してしまうのは私だけでしょうか。本来、治療法は自分で選択するものですが、医療の情報・知恵・常識が少なすぎるので、とても自分で選択できるものではありません。結果して医師のいいなりとなってしまう場合が多いと感じます。


 そうした状況を改善する手法としては、重大な決断の際には、決して一人の医師の意見だけを参考にしないことだと思います。多くの違う分野の医師に相談したり、自分で本やインターネットで調べてみる。つまりセカンドオピニオンとしてたくさんの情報を集め、多くの意見を基に自分で判断して決断すべきであると思います。


この本で私が共感した名言

・出てきた結論は、手術はほとんど役にたたない、抗がん剤治療に意味があるがんは全体の一割、がん検診は百害あって一利もない、などです(p1)


<効果のある手術、抗がん剤もあるはずですが、すべてが効果があるわけではないようです>


・胃がんや肝がんや大腸がんといった日本人がよくかかる、ありふれたがんのほとんどは、抗がん剤が無意味なグループに分類されています。(p27)


<特に抗がん剤は気をつけましょう。副作用だけは確実にありますから>


・患者のがわから不要な手術を避ける方法を伝授しましょう。それは医師の第二の意見(セカンド・オピニオン)を聞くことです。・・・病院をかえて放射線治療医の意見を聞くことが役に立ちます。(p77)


<聞きにくいでしょうが、重大な決断のときはセカンド・オピニオンを聞くべきでしょうね。特に病院を変えることが大切です。>


・医療産業が成長分野として注目している在宅医療は要注意です。彼らは、経済的理由もあって、点検の管をつけたまま患者を家へ返そうと計画しているのですが、それでは病院での点滴過剰による苦しさを家へ持ち帰るだけにすぎません(p93)


・どういう臓器のがんでも、どういう病期でも、リンパ節切除が正当化されるには、リンパ節切除で治る率があがるとか、延命効果が生じるとかの結果がなければなりません。(p113)


・患者としては「新しい薬」と言われたら、第一相か第二相試験なんだと、ピンとくるようにしておきましょう。(p162)


<第一相試験とは量を変えて副作用を見る試験です。当然即死もあります。第二相では副作用がない量でがんに効果があるかどうか確認する試験です。・・・ということは、第二相までは効果が確認できていないということですね。>


・原子力産業では作業従事者が、毎年五ミリシーベルト程度ずつ被ばくしていて後年白血病が生じると、業務上の疾病として労災補償の対象になります。五ミリシーベルトというと、胃や大腸検診では一回で被ばくする程度の線量なのです。(p176)


<原子力産業では年間20ミリシーベルト以下を目標にしているようです。検診4回分ですね。法令限度は年間50ミリシーベルト以下、5年平均で100ミリシーベルト以下(年20ミリシーベルト)>


患者よ、がんと闘うな (文春文庫)
近藤 誠
文藝春秋
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【私の評価】★★★☆☆(77点)



著者経歴

 近藤誠(こんどう まこと)・・・1948年生まれ。1973年、慶應義塾大学医学部卒業。同年、同大学医学部放射線科入局。1979-1980年、米国へ留学。1983年より同大学医学部放射線科講師。がんの放射線治療を専門とし、乳房温存療法のパイオニアとして知られる。患者本位の治療を実現するために、医療の情報公開を積極的にすすめる。


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