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「STAP細胞はなぜ潰されたのか ~小保方晴子『あの日』の真実~」渋谷 一郎

2017/02/21公開 更新
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STAP細胞はなぜ潰されたのか ~小保方晴子『あの日』の真実~


【私の評価】★★☆☆☆(68点)


要約と感想レビュー

なぜ小保方さんだけが捏造したことになるのか

STAP細胞ですべてを失った小保方さんを支持する一冊です。小保方さんは『あの日』の中で自分の潔白を説明しています。小保方さんの主張は、STAP細胞を作ったのは私です。ただ、STAP細胞からSTAP幹細胞とキメラマウスまでは若山照彦教授と若山研究室が作っていた、ということなのです。


それなのに、なぜ小保方さんだけがSTAP細胞を捏造したことになり、若山照彦教授は無罪放免となるのでしょうか。STAP幹細胞、FI幹細胞そしてキメラマウスの作製にまったく関与していない小保方氏を犯人扱いをするのか、著者はまったく理解できないし、私も理解できないのです。


小保方氏は・・STAP細胞を作製し、若山氏に渡す。若山氏はSTAP幹細胞およびFI幹細胞を樹立して、若山研のメンバーとともにキメラマウスの作製や胎児や胎盤の形成を行い、論文化するという手順だ(p60)

若山氏の責任が全く問われていない

真相については理研の調査委員会が正式なものとなっていますが、この本で指摘する調査委員会報告書の疑問点は次の3つです。ます、マスコミはアンチ小保方氏と思われる関係者の情報リークだけを参考に報道して、印象操作されていること。二つ目はSTAP細胞とSTAP幹細胞が同列視され、若山照彦教授の責任が全く問われていないこと。最後に若山照彦教授から「あの日」への反論がないこと。


この本ではSTAP細胞事件は、反論や矛盾が検証されない中で処分が行われたという意味で、現代の村八分、魔女狩り、組織的いじめではないかというのが著者の意見です。自殺者を出した重大事件であることからも、多くの人が納得できる科学的な検証がなされていないことが残念です。


どちらが正しいのか。『あの日』の記述は・・『捏造の科学者』の記述は間違っていますよと指摘している・・『あの日』には若山氏の行動に対する疑問や批判箇所が随所に登場する(p156)

真相は見えてこない

もともと小保方さんの発見したSTAP細胞とは、細胞に酸でストレスを与え、奇妙な塊状の細胞(スフェア細胞)が万能細胞で強く発現する遺伝子(Oct4)を発現しているだけだったのです。そこから若山教授が、万能細胞である証拠のキメラマウスをつくったことでSTAP細胞が一躍注目されることになったのです。


したがって、小保方さんが「STAP細胞はあります!」と発言したのは、小保方さんがキメラマウス実験なしに論文化したように、ES細胞やiPS細胞に比べると弱いものの万能細胞っぽいものができるということなのです。『あの日』に書かれてあること以外で、小保方さんを支える新たな事実はないようです。新たな"sengoku38"が出てくるしか、真相は見えてこないのかもしれません。渋谷さん、良い本をありがとうございました。


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この本で私が共感した名言

・検証実験はほぼ論文通りに行われることになり、小保方氏も手足を縛られたような状況の下で検証実験に参加することになった。しかし、キメラマウスの作製に必要不可欠な若山氏の参加は見送られた(p116)


「NHKスペシャル調査報告STAP細胞不正の深層」(7月27日)で何が問題なのか。・・誤りであったと訂正された6月16日の若山会見をそのまま内容に盛り込んでいることだ。そして、登場人物のすべてSTAP細胞の存在に疑念を持つ人たちばかりであったこと(p186)


・いち早く論文不正問題を批判し、小保方氏を厳しく追及した分子生物学会理事長(当時)の大隅典子氏、同様にTwitterで理研の姿勢を厳しく批判した理研の高橋政代氏、「日経サイエンス」誌の編集者である古田彩氏、同じく科学ライターの詫摩雅子氏、笹井氏、小保方氏らを批判的に取り上げ、『捏造の科学者』で大宅賞を受賞した毎日新聞記者須田桃子氏らである(p244)


▼引用は下記の書籍からです。
STAP細胞はなぜ潰されたのか ~小保方晴子『あの日』の真実~
渋谷 一郎
ビジネス社
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【私の評価】★★☆☆☆(68点)


目次

第一章 STAP細胞を発見するまで
第二章 小保方氏の最も幸せな時間
第三章 STAP細胞は存在すると言える4つの理由
第四章 STAP細胞の何が問題になったのか
第五章 問題個所は本当に問題だったのか
第六章 STAP細胞の捏造報道を検証する
第七章 早稲田大学の博士論文取り消しは正しかったのか
第八章 『あの日』出版の衝撃



著者経歴

渋谷一郎(しぶや いちろう)・・・科学ライター、編集者。大学では電子工学科で基礎電子物性を専攻、レーザーや超伝導の応用技術を研究。量子論、科学思想、科学哲学にも関心を持つ。卒業後は電気関係の専門出版社に入社。後に独立してフリーとなり、電気、電子、原子力、宇宙、ロボット、コンピュータ、システム論、数学、進化、生物など先端科学技術分野を中心に、幅広い分野で、雑誌や書籍の企画、編集、執筆活動を展開


STAP細胞関連書籍

「STAP細胞 事件の真相」佐藤貴彦
「STAP細胞 残された謎」佐藤貴彦
「あの日」小保方 晴子
「小保方晴子日記」小保方晴子
「捏造の科学者 STAP細胞事件」須田 桃子
「STAP細胞はなぜ潰されたのか ~小保方晴子『あの日』の真実~」渋谷 一郎


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