「監察医が泣いた死体の再鑑定:2度は殺させない」上野 正彦

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監察医が泣いた死体の再鑑定:2度は殺させない

【私の評価】★★★★★(93点)


■著者は、東京都監察医務院で30年間、
 変死体の死因解明をしてきた
 鑑定のプロフェッショナルです。


 退官後に300件以上の再鑑定を行い、
 何度もの逆転判決を勝ち取りました。


 この本では、そのいくつかの事例を
 教えてもらえます。


■再鑑定で不思議だったのは、
 しごく当然のことのように
 鑑定を否定していることです。


 著者は理由として、
 地方では監察医制度がないこと。


 大学の教授は殺人事件のような
 司法解剖しかしたいため、
 病死や自殺、災害事故などの
 検死、解剖の経験が少ないことを
 挙げています。


 鑑定のプロを育てる仕組みに
 課題があるのですね。


・監察医制度がない地方では、青酸毒物による
 自殺者などの解剖経験があまりないから
 見誤るのも無理はない。しかし、
 このように検査結果が変転すると
 捜査は大いに混乱をきたすことになる(p193)


■また、一つ気になったのは、
 著者が何度も、依頼人の要求に合わせた
 鑑定はしない、と断言していることです。


 ということは、・・
 要求に合わせた鑑定をする人が
 いるということ?!


 「真実はいつも一つ!」
 をリアルで実現しいる著者に
 驚きました。


 上野さん、
 良い本をありがとうございました。


───────────────


■この本で私が共感したところは次のとおりです。


・被害者の首についた索条痕が斜めについている・・
 他人が殺した場合、私がこれまで検視してきた
 結果からしても、斜めにつくことはない。
 他人が絞めた場合は、ネクタイを締めるように
 索条痕は水平
に頸部を一周する(p137)


・溢血点の形状の違いを見抜けるようになるには、
 数多くの検死、解剖を体験しなければならない。
 なぜならば、この現象をそこまで分析し解読した
 教科書や文献がないからである。(p151)


溺れて亡くなると、肺は溺水で満たされ、
 浮袋の役目はなくなり、水中に沈む
ことになる・・
 殺されて川に捨てられた。
 肺には空気が入った状態だから、
 死体は沈まない。(p84)


・溺死体の場合、肺に水を大量に吸引し、
 水を含んだスポンジのような溺死肺
 (水性肺水腫)という状態になる。
 溺死肺の重量は、800から1200グラムと
 かなり重くなる。(p81)


監察医が泣いた死体の再鑑定:2度は殺させない
上野 正彦
東京書籍
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【私の評価】★★★★★(93点)


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■目次

1.顔から消された痕跡
2.見逃された証拠品
3.誰が嘘をついたか
4.執念の再鑑定
5.疑惑の踏切
6.海外で起きた謎
7.小さな溢血点
8.溺れたのか殺されたのか
9.兄の涙



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