「日本の死体 韓国の屍体」上野 正彦、文國鎮
2007/06/07公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★☆☆(73点)
要約と感想レビュー
地方の警察医は近くの開業医
日韓における死体解剖の権威であるお二人の対談です。日本では、病院で亡くなるような場合を除き、変死体ということで、検視・解剖が行われています。監察医が変死体を確認するのは、東京、横浜、名古屋、大阪、神戸であり、その他の地方は警察医が確認します。
ただし、警察医は警察の近くで開業している医師なので、それほど能力は高くない とのことです。だから地方の事件では見逃しが多く、後で殺人事件だったということがあるという。
日本の地方の警察医のレベルもあまり高くありません。単に警察の近くで開業している医師ですから。・・・だから地方ではいろいろな事件の見逃しがあって、数年前のあの事故は実は保険がらみの殺人事件だったというようなことがよくあります。(上野)(p107)
韓国の解剖までのハードル
一方、韓国では、犯罪に関係すると見られる死体だけが解剖されるようですが、国民感情として解剖を忌み嫌うことから、医務官は解剖するまでが大変な仕事のようです。
韓国では親戚が死ぬと泣き叫び、解剖すると言われれば二度死ぬと泣き叫ぶ。解剖される家族、国民全員が、解剖に反対するような雰囲気だからです。
実は、死体を解剖しようとして斧で殺されかかったことがありました。・・・「死体解剖をすると二度死ぬことになる」と言ってみんなが解剖されるのを忌み嫌うわけです(文)(p16)
韓国では家で死ぬ
また、面白いのは、日本は病院で死ぬことが多いようですが、韓国では必ず死ぬ前に家に連れて帰るそうです。死が近づいたら治療をやめて家に帰るのですから、これは一種の安楽死なのかもしれません。
日本では、病院で死ぬのが当たり前ですが、韓国人は、家族が病院で死ぬことを極端に忌み嫌うのです。人の顔形は似ている日本と韓国ですが、まったく文化も考え方も違う国ということがわかりました。まったく知らない法医学の世界と、日本と韓国の文化の違いを興味深く読みました。★3つとします。
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この本で私が共感した名言
・韓国では、父母が死んだときに泣き声がでなければ、あの一族は不幸者だと言われてしまうので、涙が実際にでていなくても、「アイゴー、アイゴー」と声をあげて泣く。(文)(p32)
・韓国の場合は国民の指紋を全部とって管理していますから、どんな死体でも指紋さえ残っているような状況であればコンピューターを使って三分以内にわかります。(文)(p46)
・日本の高校生が修学旅行に来ていた。・・・先生が今日のスケジュールなどについて話をしていたが、生徒はガヤガヤお喋りをしたりふざけてりして、先生の話など聞いてはいない。それを見ていた掃除のおばさんが、「10年後、日本は滅びるだろう」と言ったというのである。(p212)
▼引用は、この本からです。
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【私の評価】★★★☆☆(73点)
目次
1 あまりに違う死体解剖
2 封印されてきた死体の話
3 男女の死体は永遠の謎
4 日本の検死、韓国の解剖
5 世にも不思議な変死体の数々
6 日本と韓国の死生観
著者経歴
上野正彦(うえの まさひこ)・・・1929年、茨城県生まれ。医学博士・元東京都監察医務院長。東邦医科大学卒業後、日本大学医学部法医学教室に入る。1959年、東京都監察医務院監察医となり、1984年同院長になる。30年間にわたって変死体の死因解明につとめ、浅沼稲次郎事件、三河島列車二重衝突事件、ホテルニュージャパン火災、日航機羽田沖墜落事件などを担当。これまでに2万件以上の検死と5千体以上の死体の解剖を行ってきた。1989年、監察医務院退官後に出版した『死体は語る』(時事通信社)は65万部を超える大ベストセラーになり、現在まで法医学評論家、作家としてテレビや各紙誌などで活躍するとともに、再鑑定では300件以上の案件を請け負い、度々逆転判決を勝ち取り、「上野鑑定」という言葉が生まれるほどの実績を残し続けている。
文國鎮(ムーン・ゴクヂン)・・・1925年生まれ。1955年国立科学捜査研究所法医学科医務官となり、1967年同科長。その後、高麗大学教授などを歴任。大韓法医学会名誉会長、高麗大学名誉教授
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