「炎立つ 1~5」高橋 克彦

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炎立つ 壱 北の埋み火 (講談社文庫)

【私の評価】★★★★☆(84点)


■平安時代の「前九年の役」「後三年の役」から
 源頼朝による奥州藤原氏の討伐までを
 テーマにした歴史小説です。


 舞台は蝦夷と呼ばれた
 奥州(東北地方)。


 物語は、奥州を支配していた
 安倍一族の婚礼の儀に
 陸奥守が招かれるところからはじまります。


 京の朝廷は、奥州から年貢を徴収するため
 胆沢城(岩手県)、多賀城(宮城県)に
 陸奥守を駐在させていました。


 蝦夷から見れば、
 朝廷からは搾取されつづけ
 人として扱われることはない。


 そうした扱いに耐えるか、
 耐えられなければ
 蝦夷の反乱となるのです。


 結果、
 安倍一族は滅亡しました。


戦には必ず終わりがある
 その終わりをどこに定めるかで
 将の器量が問われる。
 貞任にはそれがない。
 どこまでも果てなく続けるであろう。
 それで勝ちを収めたとてなんになる(弐p68)


■安倍氏と藤原経清を滅ぼした清原家の武貞と
 経清を夫とする安倍頼時の娘が
 息子(清衡)を連れて再婚しています。


 敵との婚姻という不思議な血縁は、
 読みながら納得できませんでした。


 やはりその後、清原家の兄弟間で
 跡継ぎ争いが勃発し、
 清衡が兄:真衡、弟:家衡を退けます。


 清衡は、父である藤原経清の藤原として
 平泉に移り、奥州藤原氏の歴史が
 ここに始まるのです。


 そこに生きた人々が、
 朝廷と戦うのか、恭順するのか
 悩み、決断しながら
 歴史を作ってきたことがわかりました。


・跡呂井(あてるい)を筆頭に安倍貞任さま、
 藤原経清さまと続いた蝦夷(えみし)の誇りを
 方々はお忘れか!いずれも帝に抗って堂々と
 戦さを挑まれた。(四p277)


■東北の歴史とは、
 中央からの攻撃と敗戦の歴史だと
 思いました。


 蝦夷征討(アテルイの敗戦)
 前九年の役、後三年の役(安倍氏の滅亡)
 奥州合戦(奥州藤原氏の滅亡)
 戊申戦争(幕府側の滅亡)


 さすがに大東亜戦争では、
 アメリカには勝てなかった。


 国家にしてみれば、初めての敗戦ですが、
 東北人から見れば、もう一つ敗戦の歴史が
 加えられたということです。


 高橋さん、
 良い本をありがとうございました。


────────────────────────────


■この本で私が共感したところは次のとおりです。


・だれに金を掴ませれば戦さを避けることが
 できるのか調べるのじゃ・・
 公卿どもは本心より武士の台頭を危ぶんでおる
 武士が力を持つのは常に戦さを通じてだ(壱p138)


・内裏が陸奥の民を蝦夷を蔑む限り、
 我らもまた安倍の心意気を
 忘れてはならぬのだ(五p20)


・「重任はどうだ?よき知恵でもあるか」
 実を言うとこの時点で宗任にはすでに策がある。
 が、相手に考える余裕を与えずにそれを強いれば、
 ただの命令となる。宗任はそれを嫌った。
 合議という形を重んじたのだ(壱p342)


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高橋 克彦
講談社
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【私の評価】★★★★☆(84点)



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■目次

1 炎立つ 壱 北の埋み火
2 炎立つ 弐 燃える北天
3 炎立つ 参 空への炎
4 炎立つ 四 冥き稲妻
5 炎立つ 伍 光彩楽土



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