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「全員で稼ぐ組織 JALを再生させた「アメーバ経営」の教科書 」森田 直行

2014/07/02公開 更新
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全員で稼ぐ組織 JALを再生させた「アメーバ経営」の教科書


【私の評価】★★★★★(92点)


要約と感想レビュー

 タイトルどおりJALを再生させた「アメーバ経営」の基礎がわかる一冊です。アメーバ経営は、組織を小さなアメーバに分割し、それぞれを一つの会社のようにリーダーが経営するというもの。そのため、アメーバ経営のポイントは、フィロソフィー教育とアメーバ管理会計の2つになります。


 フィロソフィー教育とアメーバ管理会計は一体であり、アメーバ管理会計により社内の部門間の関係が悪くなります。そうした部門間の調整を高いレベルの思想により解決していくための教育がフィロソフィー教育なのです。つまり、フィロソフィー教育とは、アメーバのリーダーに経営者としてあるべき考え方を教えるものなのです。


・稲盛経営12カ条
 第1条 事業の目的、意義を明確にする
 第2条 具体的な目標を立てる
 第3条 強烈な願望を立てる
 第4条 だれにも負けない努力をする・・(p62)


 アメーバ単位の収支は、社内取引により月次で発表され、計画との差を報告します。黒字であれば問題ありませんが、赤字であれば対策を打ちます。このどんぶり勘定と正反対の仕組みが、組織を赤字を出さない体質に変えるのです。


 それまで何も考えていなかった部門長が、自分の部門の収支に対し責任を持つこととなり、課題があれば対策を経営陣に説明することになるのです。社内取引により、部門長が経営者のような考え方を持たざるをえなくなるということです。


・月初に開かれる業績報告のための経営会議・・・前月の予定を達成できていれば会議はスムーズに進行しますが、下回っていた場合には、本部長はその理由と対策を示して、経営陣を納得させなければなりません(p59)


 さらに、熱血漢の稲盛さんが社長だと、各本部長も真剣勝負にならざるをえないのでしょう。月次で数字が出てきますので、リーダーは逃げ道がありません。アメーバの経営者として、リーダーは結果に対する責任を取らなくてはならないのです。


 稲盛さんはアメーバ経営の目的は、自分のような経営者の目線で考えることができる人を増やしたかったと言っているように、アメーバのリーダーはアメーバの経営に責任を持たなくてはならないのです。


・稲盛さんは、自分の部門の実績を人ごとのように発表する本部長に向って、「君は人ごとみたいに言うとるが、これは君のリーダーとしての結果なんや」と叱責しました。・・「この結果が出たのは私のせいじゃありません」・・「おまえがその結果を出しているんだ!」と怒りを爆発させました(p96)


 事例も多く、内容もシンプルでうまくいく方法は単純なのだと思いました。その当たり前ができないから、苦しんでいる組織があるのでしょう。まずは月次の決算から真似していきたいと思います。


 森田さん、良い本をありがとうございました。


この本で私が共感した名言

製造現場がマーケットプライズで動くことによって、利益に対する意識と責任が生じてきます(p49)


・製造業の場合、製品の生産高は製造アメーバに計上され、販売を担当した営業アメーバには販売額の5~10%前後の手数料が支払われる仕組みになっています(p21)


・人件費は経費に含まれません。その理由は、組織を小さく分けているため、個人の人件費の開示につながってしまうからです(p21)


・アメーバリーダーの役割の一つめは、「部下を幸せにすること」です。では、「部下の幸せ」とは何でしょうか。それは「部下の生活を守る」ということです(p75)


・アメーバ経営を実現していくうえでは、 
 (1)組織の役割、責任の明確化、
 (2)採算部門、非採算部門の明確化、 
 (3)ダブルチェックが機能的に働く組織体制、
 (4)実績と活動が結びつく組織体制、の4つが重要です(p126)


・JALの再生計画の主な骨子
 ・航空機機種の削減・・
 ・機材のダウンサイジング・・
 ・路線ネットワークの最適化・・
 ・航空運送事業への経営資源の集中・・
 ・機動性を高める組織、経営管理体制の構築・・ 
 ・自営空港体制の大幅縮小(空港コスト構造改革)・・(p94)


・30万円を超える購買はすべて調達本部を経由するように変えました・・・社内では「調達させない部」などと揶揄されましたが、・・結果的に1年間で800億円の経費削減に成功しました(p101)


・関連会社は本体依存から脱却・・・親会社であるJALとの取引も「人件費+経費+数%の利益」で行うペイロール方式から、マーケットプライスを前提にした値決めを行うように変えました(p113)


▼引用は下記の書籍からです。
全員で稼ぐ組織 JALを再生させた「アメーバ経営」の教科書
森田 直行
日経BP社
売り上げランキング: 271


【私の評価】★★★★★(92点)



目次

第1章 アメーバ経営とはどんな経営手法なのか
第2章 JAL再生
第3章 導入事例に学ぶアメーバ経営
第4章 アメーバ経営は業界の枠を超える
第5章 世界に広がるアメーバ経営
おわりに
付録1 早わかりアメーバ経営
アメーバ用語集


著者経歴

 森田直行(もりた なおゆき)・・・KCCSマネジメントコンサルティング(KCMC)会長。1942年、福岡県生まれ。1967年、鹿児島大学卒業後、京都セラミック(現・京セラ)に入社。アメーバ経営の仕組みと情報システムの確立・推進を担当。1995年、社内ベンチャーとして立ち上げた事業をベースに京セラコミュニケーションシステム(KCCS)を設立し、社長に就任(現・相談役)。2006年、京セラ副会長。同年、KCCSのコンサルティング部門を分社化しKCMCを設立、社長に就任。2011年、KCMC会長。2012年、中国に京瓷阿美巴管理顧問(上海)有限公司を設立、董事長に就任


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