【書評】「チームX(エックス) ─ストーリーで学ぶ 1年で業績を13倍にしたチームのつくり方」 木下勝寿
2026/09/14公開 更新
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【私の評価】★★★★★(96点)
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要約と感想レビュー
1年で新規購入者を13倍にした方法
化粧品や健康食品をネット販売する会社が、1日の新規購入者数を1年間で13倍にしたときの体験談です。
2020年、著者が創業した「北の達人コーポレーション」は、4年間で売上を5倍の100億円まで伸ばしたものの成長が停滞。1日平均1000人だった新規購入者が、163人まで減少していました。
定期購入の顧客が多いため、すぐに売上が激減するわけではありません。しかし、新規購入者の減少は将来の売上を考えれば危機的な状況でした。
著者は、その原因を「反応のよい広告パターンを繰り返しているうちに、同じような広告ばかりになり、反応率が悪化していった」と分析しています。
新人も過去の広告を参考にし、先輩から「OK」と言われる広告をつくること自体が目的になっていました。つまり、社員が自ら考え、動くことのできない「企業組織病」に陥っていたのです。
採算性のいいものをつくろうとする場合、以前つくって成功したものを踏襲してつくると、当たる確率の高いものができる・・・ネット上では同じような広告ばかりで、どんどん反応率が悪化していった(p5)
KPIの試行錯誤
そこで著者は、まず個人の仕事にKPIを導入します。最初に設定した評価指数は、「目標達成率×集客人数」でした。
すると、広告費を増やして「集客人数が増えました!」と目標を達成する人が現れました。しかし、広告費をかけすぎたため、赤字案件が続出してしまったのです。
そこで、一人の集客にかかったコスト(CPO)の上限を決め、上限より安く集客できた人数から、上限を超えた人数を差し引く評価方法に変更しました。
このように実際にやってみた結果を見ながら、「本当に評価されるべき人が評価されるKPI」へと改善していったのです。
ただ、仕事の成果をKPIで数値化することに拒否反応を示し、挫折感を覚える人もいました。
KPIに関係のない仕事を一切やらない人もいれば、逆にKPIに関係のない仕事をして、「評価されていないけれど、会社にとって大切な仕事をしている」と自己満足する人もいたという。
一方で、KPIをゲームのように捉えて成果を競ったり、成果を上げるためにメンバー同士で積極的に協力したりする人もいました。さらに、「自分たちの仕事が正しくKPIに反映され、公平に評価されるようにしよう」と改善案を提案する人も現れます。
このように、メンバーは二極化していったという。
会社全体最適の経営を目指すためには、KPIを一度決めて終わりではなく、試行錯誤を繰り返しながら、正しいKPIへ修正していく必要があるのでしょう。
KPIで一番大事なことは「見える化」である(p89)
自らコンテンツを生み出す人材育成
次に取り組んだのが、「新規メディア攻略チーム」の結成です。反応のよい広告をつくり出すために、チームが最初に行ったのは、自分が興味を持った広告をピックアップすることでした。
なぜ、そのツイートに目を留めたのか。なぜ、続きを読んだのか。なぜ、クリックしたのか。その理由を一つひとつ分析したのです。
こうして、「なぜ自分はこの広告に反応したのか」を言語化し、それを新しい広告づくりに生かす方法を「着眼法研修」として新人研修に組み込んでいます。
また、新人教育では、研修が終われば自動的に現場へ配属するのではなく、「自力で成果を出せるようにならなければ、現場に配属されない」というルールに変更しました。その結果、新人は自分から主体的に勉強するようになったという。
また、中途入社組の中には、それまで、「なんで、こんな若造に指導されなくてはいけないの?」「自分の意見のほうが正しい」「商品が悪い」などと言う人もいました。
ところが、数字で判断される明確な「配属条件」を設定した途端、余計なプライドや自負を捨て、成果を出すために取り組むようになったというのです。
自社オリジナルの教育プログラムこそ、自社の強みの源泉(p300)
オーナーの力を「組織の力」に変える
ベンチャー企業が10年続くのは6%なので、成功している会社は、オーナーの個性やこだわりに特徴があるはずです。
例えば「北の達人コーポレーション」では、「びっくりするほどよい商品ができたときにしか発売しない」というミッションを掲げています。
また、「稼いだ金以上に使わない」というルールがあるため、資金繰りに困ることもなかったし、多くの仕事を自分で経験したことで、「多大な経験という資産を得た」と断言しているのです。
しかし、会社が大きくなれば、オーナー一人がんばるだけでは成長に限界がきます。次の世代へ承継していく仕組みが必要になるのです。
著者は、オーナーの手を離れて会社が成長し続けるためには、2人のトッププレーヤーが必要だと言っています。
一人は、プレーヤーとして目の前の成果を上げる。もう一人は、教育担当として新人を育て、チーム全体の底力を引き上げるのです。
KPI、教育、共通言語化、組織風土と、内容は盛りだくさんで消化しきれませんでした。木下さん、良い本をありがとうございました。
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この本で私が共感した名言
・「毎回必ず達成できる人」の「思考アルゴリズム」は、作戦Aがうまくいく確率は25%、残り75%を埋める作戦Bを並行して用意する(p98)
・アピール上手な人だけが評価され、真面目にコツコツやっていてもアピール下手な人は評価されていなかった(p65)
・リーダーについてくるフォロアーがいて初めて風土が生まれる(p45)
・手を広げるより、最も効率のよいものに絞り込んだほうがいいことに気づいた(p214)
・ヤフーなどのニュースメディアや、インスタグラムのような画像や映像中心のSNSメディアでは、・・・流し見して目立つところに目がいくので、「目立つ広告」がいい(p51)
▼引用は、この本からです

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木下 勝寿 (著)、ダイヤモンド社
【私の評価】★★★★★(96点)
目次
プロローグ 私たちの身に起きていたこと
第1部 最悪期から復活までの道のり
PHASE 1 自力で飛べない鳥
PHASE 2 「チームX」の開始
PHASE 3 「共通言語化」という壁
PHASE 4 あと一工夫が生まれる風土
第2部 ダブルギネスへの挑戦 ── 異次元の成長期
PHASE 5 偉業への挑戦
PHASE 6 変更に次ぐ変更
PHASE 7 エックスデー
PHASE 8 メッセージ
第3部 5つの「企業組織病」と5つの「Xポイント」
「企業組織病」とは何か?
企業組織病1 職務定義の刷り込み誤認
企業組織病2 お手本依存症
企業組織病3 職務の矮小化現象
企業組織病4 数字万能病
企業組織病5 フォーマット過信病
「フォーマット過信病」を克服するには?
チームXのポイント1 KPI
チームXのポイント2 教育の仕組み
チームXのポイント3 共通言語化
チームXのポイント4 タスク管理
チームXのポイント5 風土
著者経歴
木下 勝寿(きのした かつひさ)・・・北の達人コーポレーション(東証プライム上場)代表取締役社長/エフエム・ノースウエーブ取締役会長。神戸生まれ。大学在学中に学生企業を経験し、卒業後は株式会社リクルートで勤務。2002年、eコマース企業「北の達人コーポレーション」設立。東証プライム上場を成し遂げ、時価総額1000億円企業となる。
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