【書評】「熱狂的ファンのつくり方 〈新版〉1分間顧客サービス」 ケン・ブランチャード, シェルドン・ボウルズ (著)、 星野佳路
2026/07/09公開 更新
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【私の評価】★★★★★(98点)
要約と感想レビュー
この本がなければ星野リゾートはなかった
熱狂的ファンとは、顧客の満たされないニーズ、顧客が受け入れられているという感覚、居場所があるという安心感を満たすことで生まれます。
30年前に発行されたこの本を読んで、星野リゾートの成長が始まりました。星野リゾートのオーナー経営者である星野佳路さんは、この本を読んで自分のビジョンと理想のサービスを作り上げ、熱狂的ファンを集めることに成功したのです。
この本を読むと、なぜ星野リゾートでは団体客を受け入れないのか、なぜ部屋はすべて「ご当地部屋」なのか、なぜ食事処は個室なのか、なぜ大浴場にダイソンのドライヤーがあるのか?その理由がわかるはずです。
星野リゾートの成長は、この「1分間顧客サービス」の教えなしでは、実現できなかった(星野佳路)(p1)
自分の理想のサービスを決める
「熱狂的ファン」をつくるために、まず必要なのは自分の理想のサービスを決めることです。
理想のサービスが決まっていれば、どんなサービスを加え、どんなサービスを削るかの判断ができるようになります。
例えば星野リゾートの上質な温泉旅館ブランド「界」は、訪れた土地固有の文化を楽しみ、リラックスした時間を家族や友人と過ごしたい個人客向けのサービスに集中しています。
だからこそ大浴場に高価なダイソン製ドライヤーが設置され、一方で多くの温泉旅館が提供している団体客向けの宴会は「界」のサービスにはないのです。
ビジョンも理想のサービスもなければ、顧客のどのニーズを満たすかの判断がぶれてしまいます。スポーツカーメーカーなのに運搬車両も提供しようとしてしまう。そんな会社がうまくいくはずがないのです。
自分は何をしたいのかを決める(p35)
顧客のニーズを見極める
顧客ニーズは、顧客に聞いても簡単にはわかりません。人が本当に望んでいることは言葉になって出てこないことが多く、本心と違うことを言っている場合も少なくないからです。
この本では顧客の話を聞くときの「三つの落とし穴」が紹介されています。
顧客が本心と違うことを言う場合があること、「問題ありません」という答え、そして「沈黙」です。「問題ありません」も「沈黙」も、顧客からの確かなメッセージとして受け止めたうえで、誠実な質問を投げかけることが重要だといいます。
こうした見えない顧客ニーズを捉えた事例として、星野さんはスキーリゾート「ネコマ・マウンテン」を紹介しています。「ネコマ・マウンテン」のコンセプトは「待ち時間をなくすこと」です。
駐車場スタッフの常駐、オンラインチケットの導入、リフトの定員乗車の徹底、シングルレーンの設置、キャッシュレス券売機の導入、メニューをカレー・ラーメン・丼ものの三つに絞ること。
これらはすべて「待ち時間をなくす」というコンセプトを元に、顧客の見えないニーズを考えることから生まれた施策なのです。
「問題ありません」も「沈黙」も、顧客からの確かなメッセージであることを、しっかり意識することだね。そのうえで顧客に誠実な質問を投げかける(p81)
1%から理想のサービスをはじめる
理想のサービスを組織として提供するうえで最大のハードルは「一貫性」です。本書ではその一貫性を保つためのコツとして、二つのポイントが紹介されています。
一つ目は「1%からはじめる」ことです。
小さく始めるからこそ実行しやすく、一貫性を持ってサービスを提供できるのです。星野リゾートでも「ご当地部屋」は各旅館一室から試してみたといいます。好評で部屋単価が上がったため、「界」のすべての部屋を「ご当地部屋」としたそうです。
二つ目は、心がけや精神論ではなく「システム」で一貫性を保つことです。
具体的に何をするかを教え、正しくできるまでトレーニングする。システムで教えていることは必ずやるという最低ラインを設けつつ、そこに何を加えるかは従業員の個人裁量に委ねる。この仕組みが、組織全体での一貫したサービスを可能にするのです。
ブランチャードさんの理論と、それを実践した星野リゾートの実績が組み合わさることで、最高の説得力を持つ一冊となっています。ブランチャードさん、ボウルズさん、良い本をありがとうございました。
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この本で私が共感した名言
・不平不満を言うのはやめよう・・自分はどう生きたいかを考えよう・・高く舞い上がる鷲になれ!(p102)
・界を展開していくとき、当時高級旅館には当たり前であった「女将」をおかない決断をした・・・女将は個人でありその能力は属人的だ・・女将が変わったら常連との縁も切れてしまう(星野佳路)(p164)
・「食事処の個室」・・・食事の際に女性が改めてメイクやヘアを整え直したくないという意見や、浴衣姿での食事では他人の目を気にしたくないという要望は理解でき、個室は温泉旅館滞在を個人客に提供するというビジョンは沿ったものであると言える(星野佳路)(p166)
▼引用は、この本からです

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ケン・ブランチャード, シェルドン・ボウルズ (著)、
星野佳路、ダイヤモンド社
【私の評価】★★★★★(98点)
目次
第一の秘訣 自分は何をしたいのかを決める
第二の秘訣 顧客の望みを見極める
第三の秘訣 一歩先を提供する
著者経歴
ケン・ブランチャード(Ken Blanchard)・・・ケン・ブランチャード社の共同創業者にしてCSO(Chief Spiritual Officer、最高精神責任者)。大ベストセラーとなった『1分間マネジャー』のほか、『1分間顧客サービス』『1分間モチベーション』『1分間リーダーシップ』など数々の著書を世に送り出し、人材や企業の日常的マネジメントについて、幅広い層に多大な影響を与えている。コーネル大学で博士号を取得。同大の講師、名誉理事を務める。サーバントリーダーの育成を目指すLead Like Jesusの共同創立者でもある。
シェルドン・ボウルズ(Sheldon Bowles)・・・新聞記者としてキャリアをスタート。その後、ロイヤル・カナディアン・セキュリティーズ・リミテッドに入社、取締役兼副社長を務めた。その後、ドモ・ガソリン・コーポレーションで社長兼CEOを15年務め、同社をカナダ最大級の独立系ガソリン小売業者の一つに成長させた。現在は、事業関連の権利を売却し、執筆や講演活動などを行っている。
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