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【書評】「マンション売却の錬金術:「マンションを売りたい」と思ったら最初に読む本」 高田一洋

2026/07/08公開 更新
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「マンション売却の錬金術:「マンションを売りたい」と思ったら最初に読む本」 高田一洋


【私の評価】★★★★★(90点)


要約と感想レビュー


不動産会社は売主の利益を考えていない

不動産関係の仕事をしている友人がいるので、話のネタになると思い手にした一冊です。


著者は東京で「不動産の売主の利益を最優先にする」方針を掲げて仕事をしているといいます。


逆に言えば、普通の不動産会社は売主には「高く売りますよ」と言いながら、買主には「良い物件をご紹介します」と、あちらを立てればこちらが立たずという板挟みになっているのです。


不動産会社の収入は仲介手数料であり、売買価格の3%+6万円です。1億円の物件を仲介した場合、約300万円の収入となります。


したがって不動産会社は「高く売れますよ」と言って媒介契約を締結したら、すぐに「問い合わせが少ないので価格を下げましょう」と促し、早く売り切って利益を確定しようとするのです。


そこには売主の利益よりも、不動産会社の利益を最大化しようとする思惑があります。


私の会社では、売主の利益を最優先する方針を掲げています(p29)

マンションを売りたいときの落とし穴

この本では、不動産の売主にとっての思いがけない落とし穴を数多く教えてくれます。


「あなたのマンション、高く買います」というチラシは、売却相談を引き出すための撒き餌に過ぎません。


一括査定サイトも同様で、住所と携帯番号を入力すると複数の不動産会社から立て続けに電話がかかってきます。実態は不動産会社に見込み客の個人情報を1件あたり1万5000〜2万5000円で売却する仕組みなのです。


「手数料半額にします」という勧誘にも注意が必要です。仲介手数料を値引く裏には、自社だけで販売活動ができる「専任媒介契約」を獲得し、売主と買主の双方から手数料を受け取る「両手仲介」を狙う意図が隠れていることがあるといいます。


また、告知義務の範囲外である「上の階の足音が気になる」「近所にクレーマー気質の住人がいる」といった住み心地に関わる問題も、不動産会社は積極的に伝えないそうです。


告知義務・・・それ以外の事象、たとえば10年前に発生した火災や、物件とは関係ないが近隣で起きた事件については、原則として買主への説明義務はありません(p39)

不動産会社の選び方

では、どうやって不動産会社を選べばいいのでしょうか。


著者は「査定価格が高い会社を選ぶのではなく、本気で動いてくれる担当者と組むこと」が最も重要だと言い切ります。最初に高い査定価格を提示しておきながら、契約後すぐに値下げを求めてくる不動産会社は珍しくないのです。


また、専任媒介契約は担当者が責任を持って売り切る意識を持ちやすくなるという利点がありますが、メリット・デメリットの説明もなく契約締結を急かしてくる場合は、その背景に自社の都合があると疑ったほうがいいといいます。


他社との連携を断って自社顧客にだけ物件を紹介する「囲い込み」をする会社もあります。説明に違和感を覚えたら、すぐに契約へ進まず第三者に相談することが大切だと著者は述べています。


不動産会社と担当者の選び方・・・査定価格が高い会社を選ぶのではなく、本気で動いてくれる担当者と組むこと(p4)

マンションを高く売る方法

タイトルのマンションを高く売る方法は、価格設定と印象づくりの両方を著者は説明しています。


価格設定については「松・竹・梅」の3段階で考えることを勧めています。「松」がスーパーチャレンジ価格、「竹」がチャレンジ価格、「梅」が成約目標価格です。


8000万円ならすぐ売れるが9000万円なら時間がかかる。この違いを理解した上で、自分がどんな売り方をしたいかを考えるのです。


印象づくりも同様に重要です。窓をきれいに磨いただけで50万円高く売れた事例もあるといいます。カメラマンとライターはプロに依頼し、ポータルサイトの1枚目の写真には特にこだわることが大切です。


不動産の購入検討者は複数の物件を同時に見ている状態であり、記憶に残らなければどれだけ条件が良くても選ばれないからです。


エアコンや浴室乾燥機などの設備が即決の決め手になった事例も多く、細部の演出が結果を左右することがよくわかります。


全体的に本年のぶっちゃけ度合の高い本だと思いました。高田さん、良い本をありがとうございました。


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この本で私が共感した名言


・時間をかけて1億円で売るよりも、7000万円で複数件を短期間で成約させるほうが、結果的に(不動産会社の)利益が大きくなる(p17)

・Instagram、X(旧Twitter)、TikTok、YouTubeといったSNSで物件を探す人が急増し、特に若い世代では、検索の起点がすでにポータルサイトからSNSへ移っている傾向すら見られます(p183)


・ホームステージングとは、家具や小物、照明などを使って室内をモデルルームのように演出する方法です(p215)


・個人が中古住宅を売却する際でも、「既存住宅売買瑕疵保険」に加入することで、引き渡し後に見つかった瑕疵によるトラブルに備えることができます(p204)


▼引用は、この本からです
「マンション売却の錬金術:「マンションを売りたい」と思ったら最初に読む本」 高田一洋
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高田一洋 (著)、ぱる出版


【私の評価】★★★★★(90点)


目次


第1章 9割のオーナーはマンションを売るときに損をしている
第2章 なぜ「都心6区」のマンションは毎年上がり続けるのか?
第3章 壁の色と照明を変えただけで即完売
第4章 「単身者向け」か「ファミリー向け」か、買い手の暮らしをイメージして演出する
第5章 オンライン広告は不動産売却の空中戦
第6章 成約からの逆算。売り方を変えれば、結果は変わる
第7章 住む場所が変われば、人生が変わる


著者経歴


高田一洋(たかだ かずひろ)・・・一心エステート株式会社代表取締役 不動産コンサルタント。1983年福井県生まれ。金沢大学工学部を卒業後、大手コンサル会社に入社、その後、取引先リストグループに惹かれ入社。不動産売買仲介営業・マンション販売・営業管理職・支店長を経て、一心エステートを創業。創業当初から金融機関・不動産会社へのコンサルティングを行い、ARUHI住み替えコンシェルジュでセミナー講師などを務める。東京都心の不動産仲介実績を上げている。人気YouTubeチャンネル「東京不動産マニア」に出演中。


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