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「いい会社をつくりましょう」塚越 寛

2005/11/29公開 更新
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いい会社をつくりましょう


【私の評価】★★★★☆(88点)


要約と感想レビュー

 伊那食品工業を経営している著者は、長期安定・低成長を目指すとしています。実際に健康ブームで寒天の需要は大幅に増えています。それでも、伊那食品は急激な成長を排し、着実な成長を目指しているのです。著者はこれを「年輪経営」と表現し、実際に伊那食品工業は47年増収増益を達成しているのです。


 インターネットで急成長を目指す企業や、リストラでV字回復を目指す流れとは、全く正反対の考え方です。しかし、よく考えると、日本はもはや食べ物がない、物がないという時代ではなく、 何でもある、そういう時代になりました。そういう時代には、こうした着実な経営が求められているのかもしれません。


年輪経営・・・私は木の年輪から、確実な低成長をつづけることの正しさを学びました。(p107)


 短期の高成長ではなく、長期の安定低成長を目指すためには、国でさえも、好況をなくして、できるだけ安定した経済政策が必要であると著者は提言します。


 国は民間企業の活性化のために税金を使った施策を打つことがありますが、例えば家電エコポイントによる液晶テレビの需要の先食いを誤解してシャープが液晶に大型投資をして失敗した事例などはその典型でしょう。不況対策ではなく、好況を抑えるのが政府の仕事であるという著者の考え方は、現在の政府の成長を目指す経済政策とは、まったく正反対の考え方のように感じました。


・私は、「好況対策」こそ、国が本来なすべき経済対策だと考えています。いわば、山の突出した部分を削り、成長の曲線をゆるやかにすることです。景気の波は小さく、平坦に近いほど良いと思います。(p84)


 『企業とは社会の公器です』というコトバを聞いて、松下幸之助の本を読んでいるような感覚を覚えました。この経営者ありて、この企業ありなのでしょう。社員はいつも「果たしてこの経営者に自分たちの生活や将来を預けて大丈夫だろうか」という目で社長と会社を見ているのです。


 着実な低成長経営というのは、今の時代に合っているのではないかと共感する部分がありましたので、★4つとしました。


この本で私が共感した名言

・末広がりの八の字経営とは、急激な成長を抑えようという考え方です。(p66)


・私の日々を支えてくれている座右の銘は、江戸末期の篤農家で実践的な思想家であった、二宮尊徳先生の言葉です。遠くをはかる者は富み近くをはかる者は貧す・・・(p14)


・スーパーなどの駐車場に車を止めるとき、当社の社員は店から一番離れたところへ止めて、店までスタスタ歩きます。(p149)


・「どこの国はいやだ」「これからはどこの国に進出すべきだ」というように、国で選ぶ傾向があります。しかし、当然のことですが、国よりも人を選ぶべきだと思います。(p126)


・池上(房男)さんは常づね、「目的と手段をとり違えてはいけませんよ」とおっしゃっていました。(p50)



【私の評価】★★★★☆(88点)


目次

はしがき いい会社をつくりましょう―後輩に伝える経営理念
プロローグ 経営理念の共有は「いい会社」の土台
第1章 目的と手段
第2章 自然体経営
第3章 開発型企業として"種まき"を
第4章 モラール経営
第5章 「かんてんぱぱガーデン」に込めたこころ
エピローグ 学ぶ目的
忘己利他の経営で、苔むす会社に―新訂版の発刊にあたって



著者経歴

 塚越 寛(つかこし ひろし)・・・1937年生まれ。21歳で社長代行として赤字会社の伊那食品工業の建て直しに尽力する。83年社長に就任。05年会長に就任。伊那食品工業は47年間連続の増収増益を達成している。


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