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【書評】「現役プライベートバンカーがこっそり教える億万長者の資産運用」濵島 成士郎

2025/12/19公開 更新
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「現役プライベートバンカーがこっそり教える億万長者の資産運用」濵島 成士郎


【私の評価】★★★★☆(84点)


要約と感想レビュー


コミッション型とフィー型

日本初のRIA(米国式投資助言)サービスを提供している著者に、金融業界の実態を教えてもらいましょう。


RIA(Registered Investment Adviser)とは米国における「登録投資アドバイザー」という職業です。顧客の資産残高に応じた報酬(フィー)を受け取り、中立的立場で投資の助言を行います。


金融業界の儲けの型には、コミッション型vsフィー型があり日本の金融業界は、ほどんどがコミッション型です。株式も投資信託も保険も「ファンドラップ」も「保険の窓口」もコミッション(手数料)が収入源なのです。


コミッション型では手数料の高い商品を、より多く、より頻度高く取引してもらうことが、金融機関の利益になります。これが問題なのです。


コミッション型vsフィー型・・コミッション型ではより手数料の高い商品を、より多く、より頻度高く取引してもらうことが、会社の売上アップ(p178)

見えにくい抜かれる手数料

金融機関の営業員は、会社からノルマを課されているので、会社の利益と顧客の利益の狭間で、落としどころを常に探しているという。つまり、売りたい商品が、「これは顧客のためにならないのではないか?」と疑問に思っても、売らなければならないことがあるのです。


こうしたジレンマを抱え、著者を含め多くの金融機関の営業員が辞めていくという。


例えば、変額保険のような貯蓄型保険の手数料は10~30%程度と高いのです。外貨建て一時払い終身保険だと初年度のコミッション(手数料)は5~8%程度、初年度保険料の50%の商品もあるという。


投資一任口座である「ファンドラップ」やSMAの手数料は年1.0~2.5%程度で、組み入れる投資信託の手数料を合わせると、最大4%程度にもなるのです。つまり、顧客は投資した瞬間に手数料だけ抜かれて、相場が上がってもほとんど利益はなく、相場が現状維持でも資産は減ってしまうのです。
 

米国の生命保険商品で初年度保険料の50~100%相当をも代理店手数料とする例があるようです(p134)

富裕層のお金の哲学

富裕層のお金の考え方を見ていきましょう。まず、資産を増やすよりも絶対に損をしないようリスク管理を徹底しているという。


ですから、株式や債権といった伝統的な資産で長期的に確実なりターンを確保し、余力をオルタナティブ投資に振り向けるのです。だから、市場が暴落しても慌てて現金化するのではなく、リバランスして買い増し、割安になった優良資産を買い増すチャンスとしているのです。

 
ちなみにオルタナティブ商品とは、リートを含む不動産、ヘッジファンドやプライベートエクイティ、プライベートデット、暗号資産、コモデティ、インフラ、ワイン、音楽著作権、アートなどです。


富裕層は長期的な視点を持っているということでしょう。将来の事業継承や相続を考えて、事業や資産の持ち方を考えているのです。将来何倍にもなって返ってくるであろう知識や人脈や自分の時間といったお金以外の資産に投資するのです。


「あなたのネットワークがあなたの純資産だ」という言葉がありますが、まさに、富裕層は人とのつながりを大切な資産と考えています(p247)

あなたはお金で何を実現するか

富裕層向けのプライベートバンクだから、儲かるわけではないとわかりました。お金を確実に増やす方法は、存在しないのです。だから金融機関は手数料を取って商売しているのです。


プライベートバンクの役割は、無知や不注意からお金を減らさないため、富裕層のお金を管理してくれるだけなのです。


これからの時代は、子どもたちの健康な育成と、動物の救済・支援を目的に設立された「大谷翔平ファミリー財団」のように「お金で何を実現するか」をデザインする時代なのだと思いました。


濵島(はましま)さん、良い本をありがとうございました。


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この本で私が共感した名言


・十字軍に参加する騎士たちは、本国に残す財産の管理をスイスの修道院や聖職者に頼みました(p30)


・仕組債、特にEB債・・商品を組成する証券会社と、それを販売する銀行や証券会社の双方が手数料を獲得できます。一般的には5~6%程度、なかには10%近くも手数料を取られる(p106)


・日本の金融機関はこのCoCo債や劣後債、さらには償還までの期間が長い超・長期債を富裕層に売りたがっています・・手数料は内包・・7~8%程度は手数料を抜かれ・・(p113)


・知識への投資は将来、何倍にもなって返ってくる(p236)


▼引用は、この本からです
「現役プライベートバンカーがこっそり教える億万長者の資産運用」濵島 成士郎
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億万長者の資産運用」濵島 成士郎 (著)、すばる舎


【私の評価】★★★★☆(84点)


目次


第1章 富裕層御用達! プライベートバンクのリアル
第2章 富裕層のリアルな投資戦略
第3章 富裕層ビジネスに奔走する金融機関の舞台裏
第4章 担当者次第で資産が変わる! プライベートバンカーとの賢い付き合い方
第5章 財産は3代で消える!? 富裕層が実践する相続・資産防衛策
第6章 お金の使い方が違う? 富裕層たちの『お金の哲学』に学ぶ


著者経歴


濵島 成士郎(はましま せいじろう)・・・日本証券アナリスト協会認定シニア・プライベートバンカー。株式会社WealthLead 代表取締役。1965年神戸市生まれ、千葉県松戸市出身。國學院高校、信州大学経済学部卒業。1988年4月、新日本証券(現みずほ証券)入社。営業店、企画部門、人事部門に従事。福井、奈良、横浜西口、池袋西口の4店舗での支店長も含め、富裕層個人と公益法人の資産運用、中堅・上場法人RMに携わる。2011年の東日本大震災をきっかけに人生観が変わり、2017年末に退職。2018年3月、投資助言会社の株式会社WealthLeadを創業。中小企業経営者を中心に、日本初のRIA(米国式投資助言)兼IFAとして資産運用の助言とM&Aアドバイザリーを提供している。


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