「できる社長のお金の守り方 オイシイ話はなぜ稼げないのか」服部真和
2024/10/28公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★★☆(84点)
要約と感想レビュー
搾取ビジネスとは
著者は行政書士として、新規ビジネスの相談を受けてきましたが、世の中には怪しいビジネスや提案が多いというのです。著者はそれを、搾取ビジネスと表現しています。
例えば「ダイエットに利く」とか「ガンが治る」という表現で多くの商品が売られていますが、著者は肥満やガンが治る薬があるなら、なぜ病院に売らないのでしょうか、と問いかけるのです。
人が搾取ビジネスにつかまるのは、「ルーティンワークに追われているとき」や「不安を抱えているとき」だという。お金に窮すれば「すぐ儲かる」ビジネスに惹かれるし、ガンで死と直面すれば、藁をもつかむ思いでガンが治るという民間治療薬を高額で購入してしまうのです。
人はとにかく悩んでいるときに思考停止に陥り、権威性のあるものにすがってしまう(p32)
裏を取らないと騙される
著者も行政書士として、手続きを依頼されて、すべて完了したら逃げられ費用を回収できなかったことがあるという。著者が騙されたのは、所有者の大企業や国会議員秘書といった「権威性」を信じてしまったからだというのです。
著者が提案する騙されない方法は、複数の場所から裏を取ることです。文献を調査してもいいし、人に聞いてもいい。現場を確認する必要もあるのでしょう。
また、根本的には「成功したい」や「稼ぎたい」といった欲求ではなく「自分らしく、こうありたい」という主観的承認欲求を大切にすることが、騙されるリスクを低くし、幸せに近づけるというのです。
情報は「複数個所」から取る・・資料や文献を調べる方法・・人や現場から得る方法(p162)
意識高い初心者は騙されやすい
この本で紹介している怪しいビジネスを紹介しましょう。セミナー商法としては、初心者は相場がわからないことにつけ込んで、高単価で売りつける「ヒヨコ狩り」という方法があるという。そもそも投資やFX、不動産、仮想通貨などで簡単に儲かることはありえず、「こうすれば儲かる!」なら自己資金で儲けているはずなのです。
また、事業再構築補助金を手伝うと称して着手金を取ったうえで、「成功報酬は補助金の15~35%」という高額報酬を取るものも本質を逸脱しており搾取に近いという。
さらに、このようなビジネスを行っている人たちは、騙されやすい意識の高い系の人たちや初心者のリストを共有してをターゲットにしているというのです。
リストを共有・・パチンコ必勝法・・ブレスレット、水素水、セミナー商法、ネット広告(情報商材)・・ターゲットを囲い込む(紹介し合う)(p115)
クセつよな生き方で自分を輝かせる
著者の提案は、一攫千金などないと理解し、地道に着実に自分の特性や得意なことを活用してビジネスを行うことです。著者は自分の特性を活かす生き方を「クセつよな生き方」と命名しています。自らを輝かせ、自分に合う人を引き寄せることができる可能性があるのです。
そのためにも、自分の人生を振り返って他者から求められたこと、感謝されたこと、趣味、仕事、学習などで得た知識、経験などを掘り起こすのです。参入しようとする業界のトレンドや需要の調査も必要でしょう。同業者がどのように市場で商売をしているのか、どんな切り口が受け入れられているかを把握してみましょう。
自分らしく生きたいものです。服部さん、良い本をありがとうございました。
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この本で私が共感した名言
・搾取ビジネスにハマってしまう人が「情報弱者」と「意識高い系」に多く、両者とも裏を取ることが少ないからです(p152)
・日本には、1000種類ほどのネットワークビジネスがある・・搾取構造になりやすい(p146)
・コンテンツ自体に「地に足のついた実績があるか」「一貫性があるか」といったバックボーンの裏取りが重要です(p141)
・履歴事項全部証明書・・登記・供託オンライン申請システムというWebサイトからオンラインで請求も可能(p83)
【私の評価】★★★★☆(84点)
目次
第1章 なぜ「搾取ビジネス」の被害者になってしまうのか?
第2章 搾取ビジネスを仕掛けてくる「シロアリ集団」を撃退せよ
第3章 決断は遅くていい。必ず裏取りをして相手の背後をつけ
第4章 情報収集は慎重に確実に。油断すると誰でもカモられる
第5章 最強の戦略をあなたに! ビジネス防御完全マニュアル
著者紹介
服部真和(はっとり まさかず)・・・1979年生まれ。京都府出身、中央大学法学部卒業。2009年に行政書士登録。現在、服部行政法務事務所、シドーコンサルティング株式会社、synclaw株式会社を経営。京都府行政書士会参与(元副会長)。日本行政書士会連合会デジタル推進本部委員(元理事)。事業者に対して、法規制のコンサルティングと行政手続を支援し、業界団体やプラットフォーマーと協力し各省庁や自治体への政策提言をおこなっている。新規事業創出を支援し、1000人を超える経営者たちから信頼を得てきた。民泊トラブルなどに関し京都市からの要請を受け、民泊地域支援アドバイザーとして事業者と地域住民の調和の実現にも寄与。約 300 件の民泊案件に関わり、話し合いの合意率は100%を誇る。
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