「究極の「三方良し」経営」相川 佳之
2024/10/14公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★★☆(83点)
要約と感想レビュー
最短で両親に学費を返す方法
全国100院以上展開しているという湘南美容外科クリニックの創業記録です。医学部に進学した著者は、何の専門に進むのか悩みました。例えば、心臓外科に進んだら、最初の10年は雑務と教授の手術を見ているだけで、心臓に触るまでに10年かかると言われていたのです。
そこで著者は、早く技術を学んで稼げる道に進もうと考えました。著者が選んだのは救命救急医療、泌尿器科、美容整形の3つです。著者は、自分が背が低く、コンプレックスがあったのに病院でホルモン治療をしてもらえなかったことを思い出し、美容整形を選ぶのです。
著者は大学を卒業し美容外科病院で働きはじめますが、3年で独立を考えていました。周囲から無謀と言われても市場が拡大している今の波に乗ってみたいと思ったのです。
どの道に進んだら最短の時間で自分の技術を磨けるのか。どの道に進めば最短で両親に学費を返せるのか(p29)
美容治療の価格と内容を明記
当時、美容医療業界は治療価格が明記さず、お客さまによって価格を変えたりする病院もあったという。ネットの口コミもなく、美容医療は極めてグレーな業界だったのです。そこで著者は美容治療の内容や品質、価格を明確に表示することにしました。今では、無料で再手術ができるなどの保証制度も導入しているという。
しかし、最初はお客さまが1日に2,3人くらいしか集まらなかったという。著者は、自らチラシを配ったり、フリーペーパーに広告を載せてみたりしたという。そうやって自分で広告文を考えて、反応率を分析して、改善するということを自分でやっていたのです。まず、自分がやってみて、成果を出していくというところからはじめたことがわかります。
自分が情熱を持って動くことで、周囲のスタッフの心を動かし、組織が一丸となれた(p59)
スタッフとの信頼関係
最初はスタッフがまったく著者の言うことを聞いてくれなかったという。表面上は従いますが、心の底から納得してくれているようではなかったのです。そこで著者はスタッフとの信頼関係を構築するために、スタッフと一緒に食事に行ったり、旅行に行ったりしたという。
社員が増え、病院数も増えてくると全体研修やANAの接遇研修などを取り入れ教育に力を入れます。現在は、お客さまの声を集め、お客さま満足度調査も行っているという。そして、その結果はスタッフに共有し、お客さま満足度向上を図っているのです。
お客さまの声を集める・・褒められたら、スタッフのモチベーションが上がる・・不満があれば、それを改善につなげられる(p96)
自分を変えていける人を採用する
興味深かったのは、著者は「人は変えられる」と思っていましたが、難しいということがわかったという。何かがあったのでしょう。そのため、今は採用に力を入れており、仕事ができるだけでなく、成長意欲がある人、自分を変えていける人を採用するようにしているというのです。
また、院長選びは公募制とし、手を上げた人を、お客さま満足度、スタッフ満足度、技術力、経験年数などで点数化して決めているという。技術力よりも、お客さまやスタッフに丁寧に接することができる人を選んでいるのです。そうした人のほうが、長期的に見て成果を上げてくれるというわけです。
やや表面的な内容でしたが、美容整形についてもう少し調べてみたくなりました。相川さん、良い本をありがとうございました。
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この本で私が共感した名言
・「整形はまだするな~美しさの秘訣は心のプチ整形から」と題する小冊子をSBCは希望する方に無料で配布しています(p148)
・わきがのレーザー治療・・技術の難度が高く、慣れないドクターがやると、お客さまがやけどを負ってしまう・・信用は簡単には挽回できない(p68)
・不妊治療をはじめました。もちろん価格は明快。すべての治療の価格をホームページ上に公開しています(p174)
【私の評価】★★★★☆(83点)
目次
第1章 「世界一」を目指す原点
第2章 「圧倒的成長」を支えた人と組織
第3章 「日本一」の目標を達成する技術
第4章 究極の「三方良し」を目指して
著者経歴
相川佳之(あいかわ よしゆき)・・・1970年生まれ。神奈川県出身。日本大学医学部卒業。麻酔科研修後、都内大手美容外科に勤務。2000年に神奈川県藤沢市に湘南美容外科クリニックを開院。わずか20年で日本・海外含めて101院(97拠点)を展開。医療サービスの提供は美容医療にとどまらず、総合医療まで拡大。2035年に1000クリニック&100病院、日本一の総合医療グループを目指す。SBCメディカルグループ代表。日本美容外科学会学会長(2015年)。日本美容外科学会理事。先進医療医師会参与。日本再生医療学会理事長補佐。パッションリーダーズ理事。
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