「天下取りの商法: ゼロから1000億円へ」藤田 田
2024/06/26公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★★☆(89点)
要約と感想レビュー
銀座のユダヤ人
「銀座のユダヤ人」と呼ばれた、日本マクドナルド創業者の藤田田(でん)さんの一冊です。「ユダヤの商法」が新装版になっていたので、続編と言われるこちらの本を読んでみました。
まず、驚くのはドライブ・スルーもレジのPOSシステムも、著者が松下やソニーに頼んで作ったということです。テレビ電話で客の注文を受けるシステムは、松下とソニーに頼み、POSシステムは松下通信工業に作ってもらったのです。
現在では常識となっている20分間程度のビデオ教育でパートタイムを即戦力にする仕組みも、当時から日本マクドナルドにはあったのです。注文受付の子が、「ありがとうございます」といったあとに「コカコーラはいかがですか」と一言付け加えることもマニュアル化されており、当時からマニュアルが徹底されていることがわかります。
さらに、社員をやる気にさせる社員フランチャイズ制度もあり、独立したい社員は独立し、プロの会社員でいたい人はマクドナルド社内で出世する仕組みとなっているのです。
私は松下通信工業に500店舗分は保証する、と約束した・・新しいレジスターシステムを作り出した。POS、ポイント・オブ・セールス・システムである(p29)
子どもに味を覚えさせればこちらの勝ち
著者は、常に金儲けのアイデアを考えていることがわかります。まず、昭和59年に年商1000億円を売るという戦略目標があって、実際に達成したという。この本では2000年に5000億円を売り上げると書いていますが、実際には2010年に達成しています。
日本マクドナルドの戦術は、生まれてくる日本人の子どもにハンバーガーとシェイクの味を覚えさせることです。毎年100万人の子どもが生まれるとすれば、10年先には1000万人のお客様が増えるというわけです。
遊具のあるマクドナルド店舗がありますが、おもちゃの景品で家族客を集めるなどは、子どもを集めようという戦術に沿ったものだったのでしょう。
毎年生まれてくる150万人に、ハンバーガーとシェイクをねじこむつもりで商売をやっている。小さいころにハンバーガーの味を覚えさせればこちらの勝ちだ(p45)
これからはコンピューターの時代
著者の時代の一歩先を読むアイデアマンぶりがわかる一冊でした。例えば屋内のルームランナーは、コンピューターやテレビと組み合わせて、走りながら景色をみられるようにすれば、売れるだろうとしています。
他にも、日本には約3%の色盲の人がいることを指摘し、青黄赤の信号機を〇△×の形にかえるだけで色盲の人たちが自動車を運転できるようになると指摘しています。自動車の購入者が全人口の3%分だけ確実に増えるというわけです。
高校生の孫正義が藤田田に相談に行き、「これからはコンピューターの時代」と孫にアドバイスしたというのも、著者の時代を読む鋭い感覚なら当然だったのでしょう。藤田さん、良い本をありがとうございました。
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この本で私が共感した名言
・社員がいいことをしたと思えば、どんな小さなことでも、その社員を表彰する・・表彰には、カネはかからない(p106)
・平和な時代は不景気である。景気が悪いことは平和の代償なのだ・・この平和で景気が悪い環境の中で金を儲けなければならない。それにはどうするかは、自分で考えなければならない(p54)
・ユダヤ人と日本人・・教育レベルが高く、勤勉である・・ともに民族的な大敗北の経験をもつこと、優秀さゆえに世界の国々から嫉妬と羨望のまなこでみられ、恐れられていること(p94)
【私の評価】★★★★☆(89点)
目次
第1章 金儲けはデコボコ道への挑戦だ
第2章 マクドナルド・ハンバーガーは文化だ
第3章 よく働く社員は宝だ
第4章 黙っていては出世できない
第5章 私は頭で天下を取った
第6章 こんな発想があなたにできるか
著者経歴
藤田田(ふじた でん)・・・1926年、大坂生まれ。2004年没。北野中学、松江高校を経て1951年東京大学法学部卒業。「藤田商店」を創業。1971年「日本マクドナルド社」を創立。世界のユダヤ人から「銀座のユダヤ人」と呼ばれる。昭和46年に私はハンバーガーを持ちこんだとき、10年たったらパンと肉のハンバーガーを1000億円売って見せると予言した。私は予想通りハンバーガーの売り上げ1000億円到達の金字塔を打ち立てた。次は、西暦2000年に5000億円を売り上げてみせる。私は世のため人のため、あえてノウハウを公開することにした。本書一冊で儲かるコツが分かるのだから、定価分の投資は安いものである。
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