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「イーロン・マスクの面接試験」ウィリアム・パウンドストーン

2024/03/07公開 更新
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「イーロン・マスクの面接試験」ウィリアム・パウンドストーン


【私の評価】★★★★☆(83点)


要約と感想レビュー

面接にうまく対応する方法

イーロン・マスク関連の本を読んでいます。この本のタイトルは、ちょっとだけタイトル詐欺の匂いがしました。なぜなら、イーロン・マスクの面接試験については、2箇所しか記載がないからです。


最初はマイクロソフトやスペースX社など、アメリカの企業では、面接官が応募者との相性が悪いと判断した時点で、採用プロセスは終了するとの記載があります。また、2つ目はイーロン・マスクお気に入りの採用プロセスでの質問として、「地球上で、南に1マイル、西に1マイル、北に1マイル歩いて、出発した場所に戻る場所はどこ?」というクイズを紹介しています。


そもそも英語のタイトルが、「面接クイズにうまく対応して就職する方法」であり、イーロン・マスクの質問は、紹介する面接クイズ一つなのです。この本に書いてあるクイズ・質問を解いて予習しておけば、面接官にもっともらしい回答ができるという寸法なのです。
 

イーロン・マスクは、テスラとスペースXの従業員全員と面接するという方針を長い間とっていたが、それは清掃員にまで及んでいた(p61)

アメリカの就職プロセス事例

アメリカの就職プロセスは、性格テスト+面談というパターンが多いようです。ただ、性格テストは仕事の成果との関連性が低いとの評価もあり、やはり面接が重要です。面接のよくあるパターンは、行動に関する質問です。「仕事で十分な時間がなかった時にどう対処したか」「不当な要求をする上司や顧客に、どう対処したのか」質問するのです。また、答えのないような質問、クイズのような質問、数学の問題のような質問をする企業もあります。


実務を重視する企業では、ワークサンプリングといって、応募者にマーケティング計画の作成、アプリのプログラム作成、契約書作成などの実務課題を与える企業もあります。また、オーケストラでは、応募した演奏家がカーテンの後ろで演奏して、その演奏だけを審査員が聞いて、採用可否を決めるというブラインド・オーディションという方法も紹介されています。


(面接官は銀色の物体を持っている)これがアルミなのか鋼(スチール)なのか、どうやって見分けますか?(p124)

面接クイズの事例と回答

後半7割は面接クイズの事例と回答でした。ケンブリッジ大学とオックスフォード大学では、なぜ動物には車輪がないのですか?とか、地球に穴を開けて、その中に飛び込んだらどうなりますか?といった変な質問が出されるという。


ウォール街の金融関係の企業では、数学の確率に関する質問をするという長い伝統があるという。ゼネラル・エレクトリックを創業したエジソンは採用にあたって、「レ・ミゼラブル」の作者は?強力な毒物を3つ挙げてください?20×30×10の部屋にある空気の重さは?最大のアメジスト鉱山がある州は?といった雑学クイズのような質問をしていたというのです。クイズを楽しめるのなら、最高の一冊でしょう。


ゲームに参加して10ドル受け取りました。そのお金の一部をパートナーに送ることができます。送ったお金は3倍になってパートナーに渡されます。パートナーは、あなたにお金の一部を返すチャンスが与えられます・・10ドルのうち、あなたはいくらを送りたいと思いますか?(p14)

採用面接はなくならない

採用面接とは変な間を採用しないための仕組みですが、完璧な採用試験、完璧な採用面接は存在しないのでしょう。そもそも著者は、採用の面接とは、従業員が自分たちが採用に関与したと感じさせるためのプロセスであると定義しています。つまり、人事部が勝手に採用したのではなく、現在の従業員たちが面接を通じて自分で選んだという証拠づくりのプロセスなのです。


結局、採用面接は続くのであり、アメリカの企業に就職したい皆さん、この本を読んで準備しておきましょう。パウンドストーンさん、良い本をありがとうございました。


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この本で私が共感した名言

・あなたのデート相手が、ウェイターをどう扱うかを見てみよう。それが相手の本当の姿だ(p45)


・アマゾンのジェフ・べゾスは、「間違った人間を採用するくらいなら、50人を面接して誰も採用しない方がましだ」と言っている(p44)


・暗号解読者・・1941年、「デイリー・テレグラフ」紙は、10分以内にクロスワードパズルを解いた人に100ポンドを与えるというコンテストを行った。成功したのは5人。彼らは政府から連絡を受け・・秘密工作を依頼された(p59)


▼引用は、この本からです
「イーロン・マスクの面接試験」ウィリアム・パウンドストーン
ウィリアム・パウンドストーン、青土社


【私の評価】★★★★☆(83点)


目次

1 評価の歴史を振り返る
2 心理ゲーム
3 パズルと問題解決



著者経歴

ウィリアム・パウンドストーン(William Poundstone)・・・アメリカのサイエンスライター。MITで物理学を学んだ後、ライターになり、ニューヨーク市に住んでいる


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